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松村太郎の「西海岸から見る"it"トレンド」 第220回

はやくも「山火事」シーズンに突入したサンフランシスコ・ベイエリア

2018年07月04日 10時00分更新

文● 松村太郎(@taromatsumura) 編集● ASCII編集部

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テクノロジーでの対応は?

 昨年に続いて今年も空気の質を気にする夏が訪れているベイエリアですが、テクノロジーによって空気の質の動向を知ったり、室内の空気を改善する手段はどうでしょうか。

 6月4日のWWDC 2018でAppleはiOS 12、watchOS 5などの新OSを発表しましたが、ここに搭載されている標準アプリ「天気」には、天気の項目の中に空気の質を表示する機能が盛りこまれることになりそうです。

 天気アプリの機能向上については特にスライドで紹介されたわけではなかったのですが、Apple Watch向けの新ソフトウェア「watchOS 5」の発表の最後に新機能のまとめスライドが表示された中に、天気アプリで空気の質を表示する新機能の文字がありました。

 どの地域でこの機能が有効なのかはわかっていないのですが、ベイエリアや中国では重宝されそうな機能ですね。

 また、昨年の山火事の際、室内の空気の環境を保つため、空気清浄機が軒並み売り切れになっていました。米国の空気清浄機(Air Purifier)の一つの性能基準として注目されているのが「HEPA」フィルタ(High Efficiency Particulate Air Filter)という表記です。

 これはクリーンルームの主たる空気清浄機にも用いられるフィルターで、定格風量で粒径が0.3µmの粒子に対して99.97%以上の粒子捕集率と言われています。実際、山火事の粒子はPM2.5ではなくPM10が主となっているため、そこまで小さなものを集める必要はないようですが。

 どうも米国の家電は「appliance」と言われるよりも本気度の高いデザインが好まれるようで、キャスターがついたデスクキャビネットのようなサイズのものが、デンと家庭内に置かれている様子もよく見かけます。それに比べると、日本の家電のスマートなこと。

 しかしIoTの文脈では、インターネットを通じてデータを取ったり、アプリからコントロールできる空気清浄機も出てきています。

 IoT電球でおなじみとなったフィリップスの空気清浄機は、アプリで室内、屋外の空気の質を確認し、空気清浄機をコントロールできる仕組み。どれだけ室内の空気が良くなったのかを比較できる点は面白そうです(https://www.usa.philips.com/c-m-ho/air-purifier-and-air-humidifier/air-purifier-2000?origin=7_700000001600303_71700000024424811_58700002632746738_43700022732918404)。

 また、Coway AirMegaといういかにも強そうな名前の空気清浄機は、Amazon Alexaに対応しており、Appleのウェブサイトによると、HomeKitもサポートしているようです(Cowayのウェブサイトでは特に言及なし)。

 とはいえ、日本の方が空気の質には気遣ってきたように思います。花粉、PM2.5など、毎年季節ごとに空気の質の悪化を招く地域であることも関係していて、置いておけば自動的に最適な空気にしておいてくれることが求められます。

 シリコンバレーの対応が若干場当たり的に感じるのは、やはり問題が発生してから対処するからかもしれません。問題がある場所でテクノロジー(解決策)が育つ、一例と言えるでしょう。


筆者紹介――松村太郎

 1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。米国カリフォルニア州バークレーに拠点を移し、モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。

公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura

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