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マザーボード、ハイエンドとエントリー向けはどこが違う? ASUS製品で比べてみた

2018年06月29日 11時00分更新

文● 林 佑樹 編集●ジサトラショータ

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ROG CROSSHAIR VII HERO(WI-FI)

AMD Ryzen向けのマザーボード「ROG CROSSHAIR VII HERO(WI-FI)」。実売価格は4万円前後

 ROG CROSSHAIR VII HERO(WI-FI)は、Socket AM4、つまりAMD CPUに対応するX470チップセット搭載のハイスペックマザーボードだ。方向性としては、ROG MAXIMUS X FORMULAとよく似ている、ハイエンドなゲーミングユーザーをメインターゲットにした製品だ。

ソケットはAMDのCPUに対応するSocket AM4で、インテル製CPUは使用不可。ハイエンドらしく、大型のVRMヒートシンクを採用する

セーフブート用のスイッチなどもしっかりボード上に用意

 外観は、先に紹介したふたつのマザーボードの中間といったところで、チップセットとバックパネルの付近にAura Sync対応RGB LEDが用意されているほか、4ピンRGB端子とアドレサブルLED端子をそれぞれ1基ずつ備えている。このあたりはゲーミング向け製品のお約束ともいえそうだ。また、ボードの各所にシルクスクリーンラベルを採用しており、各種取り付け先の識別が容易だ。X470マザーは、構成によってはメモリースロットを選ぶことになるため、この点で分かりやすいシルクプリントは一見地味だがありがたい機能となっている。

 1世代前のX370時代は、主にRyzenを使用してメモリークロックを上昇させたい場合、搭載メモリーを選ばなければいけないことが多くあったが、後発のX470ではそうした事態は緩和されている。とはいえ、3600Mz/3466Mz/3400Mz/3200Mz/3000Mz/2933Mz/2800MzといったOC対象のメモリークロックではシビアな調整が求められるものの、この点には「ASUS PRO CLOCK TECHNOLOGY」と「5-WAY OPTIMIZATION」で対応しており、マザーボード上に専用クロックジェネレーターを用意することで、OC時の安定性だけでなく、メモリー動作についてもマザーボードレベルで対応を実現している。このあたりはハイエンド製品の面目躍如というところだろう。冷却に関わる機能については、ROG MAXIMUS X FORMULAと同じく、複数の熱センサーとファンコントロールによって安定性を得ている。

専用ヒートシンク付きのM.2スロットを備える

 M.2スロットについては、PCIe 3.0 x16スロット上部にあり、こちらも専用のヒートシンクが用意されている。M.2コントローラーの冷却についても安心できる作りだ。冷却面でのメリットはハイエンド製品の大きな特長のひとつだろう。

 加えて、オーディオ周りは上位クラスのUSBオーディオに迫るもので、ラインインでS/N比113dBと優れたものとなっている。ノイズの乗りやすいフロントパネル出力についても、定評あるESSの「Sabre Hi-Fi ES9023P」デジタル-アナログコンバーターとテキサス・インスツルメンツ「RC4580」オペアンプを採用している。ヘッドフォンでのゲームプレイが多いのであれば、この点はとても重要になる。充実したゲーミング環境を構築したいのであれば、音にもこだわったマザーを用意することをすすめたい。

RGB LED接続端子もしっかり用意。AMDは純正クーラーがRGB LED端子を使用するため、マザー上部にもコネクターが配置されていることが多い

背面はバックパネル一体型。使用が想定される第2世代Ryzenは内蔵GPUがないため、映像出力端子はない。

Wi-Fi接続用のアンテナも付属する

 実売価格は4万円前後。

ROG CROSSHAIR VII HERO(WI-FI)の主なスペック
フォームファクター ATX
チップセット AMD X470
メモリー DDR4-3600(第2世代Ryzen)~DDR4-3400(第1世代Ryzen) x4
拡張スロット PCI Express (Gen3) x16×2(x16で動作、第2世代Ryzen)
PCI Express (Gen2) x16×1(x4で動作)
PCI Express (Gen2) x1×2
ストレージ M.2×1(PCI Express Gen3 x4/Serial ATA 6Gb/s)
M.2×1 (PCI Express Gen3 x4)
SATA 6Gb/s×6
映像出力 なし
ネットワーク 有線LAN、Wi-Fi 802.11a/b/g/n/ac
実売価格 4万円前後

可能性を広げたいならハイエンド製品、安価に済ますならエントリー製品

 どちらのハイエンド製品も実売価格は4万円前後で、エントリー向けであるPRIME H370-Aとは約3倍の価格差があるわけだが、ハイクロックメモリーへの対応やM.2スロット・PCIeスロットの仕様の違い、ハイエンドならではの機能の充実など、最終的にできることが大きく変わってくるのがポイントと言えるだろう。グラフィックスボードのSLI/CrossFire XやCPUのオーバークロックといったエクストリームな楽しみ方をする際はもちろん、PCを綺麗にライトアップしたい、Wi-Fi機能が欲しい、見栄えにこだわりたいといった用途でもハイエンド製品が有利となる。

 とはいえ、用途が明確で基本的な機能のみを使う場合、予算に余裕がない場合などはエントリー向け製品も購入の選択肢には入ってくるだろう。いきなり両者の特性を正確に把握することは難しいが、PCカスタマイズ・チューニングの可能性を広げたいのであればハイエンド製品、とにかく安価に済ませるならエントリー向け製品を選択することをオススメしたい。

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