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Twitch公式パートナーが語る本当に必要なスペックとは

ストリーミングチームRAD みみっち&クシエルが明かす配信環境の「実際」

2018年06月30日 11時00分更新

文● 宮里圭介 編集●ジサトラカクッチ

提供: サイコム

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みみっち氏とクシエル氏が使っているサイコムのPCはコレだ!

 配信者がどんなPCを使っているのか、そして、どうやって配信しているのか気になるところだ。そこで、両氏が今使っているPCや配信環境について細かく聞いてみた。

みみっち氏の場合:安定した高画質配信が可能なCore i7搭載の2PC構成

配信用:G-Master Hydro Z370
ゲーム用:G-Master Hydro Z270

 みみっち氏が使用しているのは、Core i7-8700KとGeForce GTX 1080を搭載した「G-Master Hydro Z370」と、Core i7-7700KとGeForce GTX 1080を搭載した「G-Master Hydro Z270」の2台。製品としては同じシリーズとなり、CPUの世代が違うだけだ。

 最大の特徴は、CPUとグラボの両方とも水冷化してある「デュアル水冷モデル」となるところ。高負荷時でも騒音がほとんど大きくならず、配信時でもマイクがPCの騒音を拾う心配なく使えるのがメリットだ。とくにゲームはCPU、そしてグラボに大きな負荷がかかるだけに騒音が大きくなるため、それを気にすることなく使える水冷モデルは心強い。

サイコムだからこそ可能なデュアル水冷。CPUはともかく、グラボまで水冷が選べるBTOパソコンメーカーは数少ない。

 また、Core i7-8700Kの6コア12スレッドという高い性能は、ウェブカメラを使った顔合成など負荷の高い処理を行なう際にも有利となる。少しでも凝った配信、高画質な配信を心掛けるのであれば、CPUは速ければ速いほど頼もしい。

 みみっち氏が配信用PCとゲーム用PCの2台に分けて使っているのも、少しでも視聴しやすい配信を心掛けているからだ。もちろん、Core i7-8700Kを搭載したPCであれば、1台でゲームをしながら配信も行なうことは可能だが、ゲームの負荷が高くなった途端に配信の画質やフレームレートが落ちてしまう、またこの逆に、配信にCPUパワーがとられてしまい、ゲーム画面がガクガクになるといったこともある。その点、2PCでの配信ならお互いCPUパワーを奪い合うことがないため、どちらも動作を安定させやすいのがメリットだ。

 「配信用のソフトにXSplitを使っていますが、多機能な半面、色々と機能を使おうとするとどんどん重たくなってしまうんですよね。今だとカメラ映像の背景を透過させるのにもXSplitを使っていますが、こういった機能を少しずつ追加していくと、Core i7-7700Kでもパワーが足りなくなってきます。ゲームももちろん高速なPCを使う方が快適になりますが、今のゲームですとCore i7-7700Kでも余裕で動作するものがほとんどですので、現状、配信用はCore i7-8700KのPC、ゲーム用はCore i7-7700KのPCを使っています」(みみっち氏)

クシエル氏の場合:高いCPUパワーで手間がかからず配信できるRyzen 7搭載の1PC配信

配信・ゲーム兼用:G-Master Hydro X470A

 クシエル氏が使用しているのは、Ryzen 7 2700XとGeForce GTX 1080を搭載した「G-Master Hydro X470A」。みみっち氏が使用している「G-Master Hydro Z370」との兄弟モデルとなるもので、デュアル水冷仕様というのは同じまま、AMDのCPUベースへと組み替えられているモデルだ。Ryzen 7 2700Xは今年の4月に発売になったばかりの第2世代Ryzenで、12nmプロセスへと微細化され、8コア16スレッドという強力なCPUをより高クロックで動作できるようになったのが特徴だ。

Ryzen 7 2700Xの魅力は、なんといっても8コア16スレッドというパワー。CPUへの負荷が高い実況配信では、この性能の高さが強い味方となってくれる。

 これだけ高いCPU性能があると配信でもCPUパワーを使い切ることはまずなく、ゲームを起動しても影響はほぼない。急激にゲームが重たくなっても全コアフルに使い切ることはないだけに、CPUパワーの奪い合いが起こらず、裏で動いている配信用ソフトの処理が遅れることもないわけだ。まさに、1PCでゲーム配信をやりたいという人にとってピッタリなPCといえるだろう。

 実は、2PC構成で配信していない理由はもうひとつある。2PC構成では、ゲーム用PCの映像を配信用PCへと入力し、その映像をカメラなどの映像と合成、処理してから配信するといった流れになるが、この映像を入力する際、音の遅延やノイズ、途切れといった問題が起こりやすいのだ。

 「今は配信者という立場でインタビューを受けていますが、実はヘビーリスナーでもあって、いろんな方の配信を見ています。そうすると、画質の低さとかフレーム落ちとか、音の遅延、ノイズなどが違和感として気になってしまうんですね。自分の配信を見返したときに、こういった違和感のある部分がとても嫌なんです。2PC構成だととくに音のトラブルが多くて、そこにこだわろうとすると、2PC構成よりも1PCでの配信の方が安定させやすかったんです」(クシエル氏)

 以前はCore i7-6700KとGeForce GTX 1080との組み合わせで1PC配信を行なっていたそうだが、これではゲームのシーンによっては動きが遅くなったり、配信に影響があったりといった問題が出ていたそうだ。それだけに、Ryzen 7のCPU性能の高さはゲーム配信PC向きだといえるだろう。

配信に使っているソフトは「XSplit」と「OBS Studio」

 見事に配信用PCのCPUも、そして配信する構成も異なっている両氏だが、さらに話を聞いてみると、配信に使うソフトも違っていた。みみっち氏が使用しているのは「XSplit」。有料となるものの配信用ソフトとしてはトップクラスの機能、性能を誇るもので、凝った画面作りや様々な効果をつけるといった用途で活躍してくれるものだ。

配信全般に使える「XSplit Broadcaster」と、ゲームに特化して使いやすくした「XSplit Gamecaster」の2つのソフトがある。ライセンスは共通で、どちらも1つのライセンスで利用可能だ。※クリックでウェブサイトへ

 「有料ということもあってフリーのソフトと比べると利用者数が少なく、探せる情報も限られてしまうのですが、実は公式サポートが日本語にも対応していて、困ったことがあれば日本語で質問できるというのが強みです。一人で解決できるならそれに越したことはないのですが、本家のサポートが受けられるというのは助かります」(みみっち氏)

 もちろん、マニュアルに書いてあるような使い方まですべて手取り足取り教えてくれるというわけではないが、機器構成を変えたら音声が出なくなったといったというトラブルや、設定パラメーターで悩んでいる部分を相談するといった場合にありがたい。

 設定が多く、機能も豊富にあるためとっつきにくさはあるものの、配信に慣れてきて凝った配信がやりたくなってきたときに、しっかりとその要望に応えてくれるという意味でも、「XSplit」は人気がある。

 これに対し、クシエル氏が使用しているのは「OBS Studio」というフリーソフトだ。無料で使えるソフトながらもしっかりとした配信機能を持ち、そしてなによりユーザー数の多さから、日本語での設定や使い方解説が多数あるというのが強みだ。

無料で使えるのがうれしい「OBS Studio」。Windowsだけでなく、MacやLinuxでも使えるとあって、ユーザー数も多い。画面の構成がシンプルでわかりやすいのも、初心者にうれしいポイントだ。※クリックでウェブサイトへ

 「始めてみようというときに、とりあえず無料で使えるというのが何よりのメリットです。また、XSplitと比べるとボタン数が少なく、設定できる項目も限られているぶん、使いやすいと思います。ユーザー数が多く、そのぶんユーザーのブログや解説記事なども豊富で、困ったことがあっても日本語検索でほとんどの問題が解決できるのがいいですね」(クシエル氏)

 ソフトを使いこなすには、欲しい情報がすぐに手に入るというのは重要だ。ユーザー数の多い「OBS Studio」なら同じことをやろうとしている人も多く、情報が豊富にそろっている。公式サポートという面ではXSplitにかなわないが、集合知ともいえるユーザーによる解説の数なら負けていない。

 とはいえ、さらに凝った配信をやろうとすれば、機能面からXSplitの方が有利となるのは確かだ。クシエル氏も設定を少しずつ試しながら、XSplitへと環境を移行しようとしているとのこと。

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