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欧州イノベーション・ミートアップ Viva Technology

フレンチテックに続け 世界での商機をつかむ JETROベンチャープロジェクトの成果

2018年06月25日 06時00分更新

文● ガチ鈴木 /ASCII STARTUP

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フレンチテックの勢いを感じるイベントに日本から参加

 フランスは若きマクロン大統領の「フランスをスタートアップ大国にする」という宣言のもと、La French Tech(フレンチテック)を急速に推し進めている。フランスの象徴でもある「にわとり」のマークを旗印に、パリを中心にフランス各地でエコシステムを構築、また世界中へネットワークを広げており、世界最大級の大規模展示会CESでも年々、存在感を増している。

 2018年5月24日から3日間開催された、テクノロジーイベント「Viva Technology 2018(Viva Tech)」はわずか3回目の開催で世界125ヵ国から10万人以上の来場者、スタートアップの参加者も約9000人を集めるまでの巨大イベントとなった。今後、世界のテクノロジーをリードしていくうえで欠かせないイベントになっていくのは間違いない。ここから、多くのイノベーションが生まれていくとさえ感じる勢いだった。

 ただ日本では決して多くの人が知り注目する存在ではなく、今回も日本からの参加者は数えるほどだった。本イベントの重要度をいち早くつかみ、形にしたのが日本貿易振興機構(JETRO)の取り組みだ。

 JETROはベンチャー、スタートアップ、中小・中堅企業向けにさまざまな支援プログラムを実施しており、今回は「欧州イノベーション・ミートアップ」という、参加企業に対し、欧州、世界進出を支援するプログラムを運営した。フレンチテックを形づくる現場での研修やアクセラレーターによるメンタリング、メインはViva Tech会場に「ジャパンパビリオン」をつくり、ブース出展ができるというもので、今後、より注目が集まっていくイベントへ早期に参加できたメリットは直接の成果以上に大きそうだ。

テック業界のVIPも注目するViva Tech

 今回のViva Technology 2018には基調講演に登場したマクロン大統領を始めとして、テクノロジー業界からVIPたちが集まった。基調講演にはマイクロソフトのサティア・ナデラCEO、各セッションにはGoogleのCEOやAlphabetの会長を務めたエリック・シュミット氏、IBMのジニ・ロメティーCEO、Facebookのマーク・ザッカーバーグCEOといった巨大企業に加えて、Slackのスチュワート・バターフィールドCEO、Uberのダラ・コスロシャヒCEOと急成長するテック企業も登壇するなど、シリコンバレーでもこれだけのメンバーが一堂に集まる機会はないほど、豪華なスピーカーが集まった。

フレンチテックのエコシステムを視察

 欧州イノベーション・ミートアップに参加した8社の日本企業は、日本でのトレーニングプログラムを経て、Viva Techの会期3日前からフランスに渡欧し、現地でプログラムに参加した。21日には、フランスの著名スタートアップアクセラレーター「NUMA Paris」による最終メンタリングとViva Tech会場で実施するピッチのためのプレゼントレーニングを実施。2日目はパリを離れ、地方都市のナントに移動し、現地企業やコワーキングスペースなどを視察した。3日目には巨大なキャンパス「STATION F」やハードウェア系ラボを訪問した。

 NUMAでのメンタリングではピッチの指導だけでなく、フランスにおけるビジネスのマインドセットやビジネスマナーについても幅広く学べるもので、「Whatを語るより、Whyを語れ」とのアドバイスを教訓としてえたのが、ハチたまの村木未蘭氏だ。「日本人は自社製品の発表をするとき『機能』の説明をしがちです。一方、フランスでは、それが機能面でどのように優れているかを説明するよりも、『なぜ』この製品を作ったのかを話した方が聞き手に響くとアドバイスを受けました。Viva Tech会場で実践したところ、手ごたえを感じました」と答えた。

 フレンチテックはパリだけでなく、ボルドー、リヨン、ナントなど各都市がフレンチテックの名称を用いて各地方都市がそれぞれの地域の特色を生かしながら、スタートアップ支援や産業育成をしている。今回訪れたナントはパリからTGVで1時間半ほど、ちょうど東京から名古屋くらいの距離にある中核都市。ナント駅を中心に伝統的な建物、住居、ビジネスとバランスよく調和している、いまフランスでも人気が高まっている地域という。実際、開発が進む地区もあり、経済が発展している様子も見られた。ここではPaaS企業の「Clever Cloud」、ソーシャルウェブ企業「Intuiti」、ECプラットフォームサービスを展開する「Lengow」、コワーキングスペース「La Cantine Numerique」を訪問。各企業のビジネスモデルだけでなく、フレンチテックというエコシステムがどう形成されているのか学べる機会となった。

 特にフレンチテックを象徴する存在になっているのが、巨大なキャンパス「STATION F」だ。パリ13区、旧貨物駅を改装した施設は、全長310メートル、地下1階地上3階、総面積3万4000平方メートルというイノベーション施設。すでに運営が始まっているため、入口部分しか入ることはできなくなっていたが、カフェにレストラン、前面にイベントスペースとシアター、来訪者とのミーティングスペースを設置している。スタートアップのオフィスはもちろんのこと、GoogleやAmazonなどの企業も中にオフィスを設置している。プログラムに参加した、BRAIN MAGICの齊藤祐也氏は「巨大な企業に成長した企業たちが、スタートアップと同じように共存する環境で、初心の気持ちを再認識できる場所であり、新しいものを発見するためのすみ切った眼を得るための挑戦のようにも感じられた」との感想を得ていた。

 このようにスタートアップ支援のエコシステムを拡大させるフランスとJETROは、Viva Techの会場にて、パリに拠点を置くアクセラレーター組織Paris&Coと提携し、日本とフランスのスタートアップ企業の相互進出やマッチングを支援する“グローバル・アクセラレーション・ハブ”を開設すると、覚書の署名式を行なった。フランスだけなく世界各地と展開を進めているプログラムで、JETROが現地アクセラレーターとパートナーシップを結ぶことで、日本のスタートアップが現地のエコシステムにスムーズに入り込んでいくことをサポートしていく。

世界の一流企業だけがブースを展開

 フランスのイノベーションツアーの締めとなったのが、前述したViva Techのジャパンパビリオンでのブース展示。Viva Techがほかの展示会イベントと比べてユニークなところは、ベンチャー企業単独で出展するブースがない点。大企業やベンチャーキャピタル、国別といった大ブースがあり、その企業とオープンイノベーションの取り組みをするベンチャー企業や支援を受けるスタートアップ企業などが、大ブースの中に小さいブースを設けて出展しているといったカタチだ。アクセラレータープログラムに参加する企業や事前にテーマを決めて公募で集めたベンチャー企業だけが出展できる。

 注目度の大きいイベントではあるが、その枠組みの中に入らないと出展できないというハードルの高さもあり、日本のスタートアップ企業の姿は日本でもアクセラレータープログラムを展開するフランスの大手通信会社Orangeのブース以外に企業ブースの中には見られなかった。会場のほぼ中央に設置されたジャパンパビリオンの中に、日本から8社のベンチャー企業がブースを並べており、世界の主要テクノロジーイベントで日本のスタートアップが存在感を見せられていたのではないだろうか。

 出展しているのはマイクロソフトやFacebook、アリババといったテクノロジー企業だけではなく、ルイ・ヴィトンやディオール、モエなどを要するハイブランドカンパニーのLVMHグループや、エアバス、ロレアル、鉄道会社LVMH、金融グループのBNPパリバ。フランスでも各業種から1社しか出展できない。そのほかモロッコ、イタリアなどの各国ブース、ブルゴーニュなどフランス各地域もブースを構えていて、そのブース内に多いところでは数十社の関連する、ベンチャー、スタートアップ企業が1コマずつ小さいブースを設けていた。

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