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新機能「Einstein売上予測」発表、リード/商談予測などと共に「営業活動サイクル全体をサポート」

セールスフォース、「Einstein」AI予測による営業支援機能を紹介

2018年06月21日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 セールスフォース・ドットコムは2018年6月20日、営業支援アプリケーションの「Sales Cloud」において、AI/機械学習技術「Einstein(アインシュタイン)」をベースに売上予測を行う新機能「Einstein売上予測」を発表した。今月提供開始するSummer'18リリースから搭載される。

 同日の記者説明会では、米セールスフォース・ドットコムでSales Cloud担当GMを務めるアダム・ブリッツァー氏が登壇し、今回の新機能を含め、Einsteinがユーザーの営業活動をどのように支援するのかを説明した。

Sales CloudのAI新機能「Einstein売上予測」。過去の成約/失注パターンや営業担当者の成果、案件の進行状況といった多様な情報に基づいて精度の高い売上予測を行う
米セールスフォース・ドットコム エグゼクティブVP 兼 Sales Cloud担当GMのアダム・ブリッツァー(Adam Blitzer)氏。

 Salesforceの各種CRMアプリケーションを支える「Salesforce Lightning」プラットフォームには、機械学習基盤である「Einstein Platformサービス」が組み込まれており、各アプリケーションはこれを利用して業務の自動化や予測分析などの機能を実装している。ユーザー自身でカスタムAIモデルを作成できる「myEinstein」もある。

 Einsteinについてブリッツァー氏は、汎用AIではなくCRM機能に特化したAIを目指していること、あらかじめCRMプラットフォームに統合されておりユーザーが複数のツールを行き来することなく使えること、という2点のメリットを強調した。

Salesforce Lightningプラットフォーム。あらかじめEinstein基盤が組み込まれており、さまざまなアプリケーションでその能力を生かした機能を提供している

 営業活動の支援アプリケーションであるSales Cloudでは、これまでに、顧客とやり取りするEメールやカレンダーのデータを自動でCRMに取り込み、営業活動履歴や連絡先に反映する「Einstein自動活動キャプチャ」、リード(見込み客)リストの商談化確度を予測/スコア付けして優先度を明示する「Einsteinリードスコアリング」、個々の商談案件に対して成約率の予測/スコア付けを行う「Einstein商談スコアリング」といった機能を提供してきた。同社では、これらの営業支援機能を総称して「Sales Cloud Einstein」と呼んでいる。

 Einsteinリードスコアリングは、営業担当者が抱える「大量のリードリストを渡されても、どのリードからアプローチすれば良いかわからない」という課題を解決する機能だ。Einsteinは、Salesforce CRM上にある過去の営業活動履歴から“商談化しやすいパターン”を学習(AIモデルの構築)し、個々のリードに適用して予測スコアを算出する。たとえば、これまで特定の業種や部門、地域の顧客で商談化したケースが多ければ、それと同様の(似た)パターンに当てはまるリードも「商談化しやすい」と判断し、高いスコアを付けるわけだ。

Einsteinリードスコアリングの概要。商談化しやすいパターンを学習したEinsteinがリードにスコア付けする。高い/低いスコアが付いた「理由」も明示される

 ブリッツァー氏は、Einsteinは過去6カ月ぶんのリードデータに含まれる各項目のデータから毎月1回学習し、各リードに対する予測スコアもその都度更新されること、学習を重ねることで予測精度が高まっていくことを説明した。

Einsteinリードスコアリングの仕組み。過去6カ月ぶんのデータを学習してモデルを毎月再構築し、リードの再スコアリングも行われる

 米国U.S. Bankでは、法人向けの営業活動でこの機能を採用したことで、コンバージョンにつながる割合が採用前の2.35倍に高まった。また、ANAグループの国際輸送会社であるOCSでは、社内検証によってEinsteinの予測スコアが実際のコンバージョン率と相関関係にあることが実証されたため、「予測スコアが高いリードには営業担当者を割り当てハイタッチ営業を、低いリードにはマーケティングオートメーションを適用しロータッチ営業を行っている」(ブリッツァー氏)という。

国際輸送会社のOCSでは、Einsteinが高いスコアを付けたリードほどコンバージョン率が高いことを実証。現在ではスコアに基づいて注力すべきリードを判断し、効率的な営業活動につなげている

 Einstein商談スコアリングもリードスコアリングと同様に、過去の営業活動履歴から“成約しやすいパターン”や“失注しやすいパターン”を学習し、進行中の商談の成約確率をスコア付けするという機能だ。たとえば、顧客と営業担当者とのやり取りの頻度、顧客提案からの経過期間、金額規模の変化などの要素を過去のパターンと比較して、成約予測スコアが算出されるわけだ。

Einstein商談スコアリングの概要。進行中の商談をスコア付けし、優先度を明らかにする

 そして今回、新たにEinstein売上予測が追加された。従来の人間による売上予測では、個々の営業担当者が自らの経験に基づいて案件の成否を予想し、さらにマネージャーが個々の担当者の性格(予想が強気か弱気か)などを加味して数字に修正を加えていた。こうした仕組みではどうしても“希望的観測”のような要素も混じり、正確さに欠ける売上予測となってしまう。

 Einsteinの売上予測は、進行中の個々の商談に対する予測(前述の商談スコアリング)やその他の商談情報、各営業担当者が過去に残した成果などを勘案して、成約確度の高い商談の数字を積み上げて算出される。「この売上予測の数字には“気合い”も“希望”も入っていない。Einsteinが冷静に判断して算出したもの」(同社)。

Einstein売上予測のデモ画面。過去のパターンなどから既存商談/新規商談/金額変更(縮小)などの発生を予測し、その積み上げとして売上予測を出している

 セールスフォース社内では、およそ1年前からEinstein売上予測をテスト導入しており、ブリッツァー氏は「これを利用することでビジネスのやり方が大きく変わった」と語った。精度の高い予測ができるため、どの案件を注力/支援すべきか、どの地域が強いか弱いかといったことが一目でわかるという。

 ブリッツァー氏は、今回の機能追加によってSales Cloud Einsteinが「リードから成約まで、営業サイクル全体に対してAIによる支援を提供できる」と説明した。人間だけでなく、かといってAIだけでもなく、人間の判断をAIが補完することで“勝つ”ことができると語る。

 なお、Einsteinが正確な予測を行うためには、過去のデータがCRM上にデータが蓄積されている必要がある。ブリッツァー氏は、Salesforce CRMを導入して間もない顧客は、自社独自モデルの代わりとして「グローバル15万社のベストプラクティスである『グローバルモデル』を用意している」と説明した。利用開始当初はこの汎用モデルを用いてEinsteinの各種機能を利用し、ある程度自社の営業活動データが蓄積されて精度の高いモデルが作成できるようになった段階で切り替える、といったことも可能だという。

セールスフォースでは、Sales Cloud以外のアプリケーションでも順次Einsteinを組み込んだ機能を展開している

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