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国交省肝いりの東京湾LNG拠点、東京ガスの及び腰で実現に暗雲

2018年06月12日 06時00分更新

文● 週刊ダイヤモンド編集部(ダイヤモンド・オンライン

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東京ガスの袖ケ浦LNG基地
東京ガスの袖ケ浦LNG基地。LNG燃料船の設計を基地の設備に対応させることで、改修せずに活用することができる Photo:Bloomberg/gettyimages

 国土交通省が船の液化天然ガス(LNG)バンカリング拠点の整備に掛かる経費を補助する公募を行い、5月25日に締め切られた。この申請者リストに、東京ガスの名がなかったことに波紋が広がっている。

 LNGバンカリングとは、LNG燃料船にLNGの補給を行うこと。2020年から船の排ガス規制が強化されるため、従来の船用重油よりも環境に優しいLNGを燃料とする船の増加が見込まれており、LNGバンカリング拠点の整備が急がれていた。

 拠点の実現化に向け、国交省はこれまで、東京ガスや日本郵船などと共に、東京ガスの千葉県の袖ケ浦基地をLNGバンカリング拠点のモデルケースとした検討会を重ねてきた。日本をLNG補給のハブにするための意気込みは強く、昨年12月には、拠点の整備費用の3分の1に補助金を出すという大盤振る舞いまで決めた。

 それが冒頭の公募で、東京湾を拠点とする住友商事などの「東京湾陣営」と、中部地区を拠点とする日本郵船や中部電力などの「中部地区陣営」が応募した。

 ところがこのうち東京湾陣営に、国交省の検討会の構成メンバーであり、当然参加するとみられていた東京ガスが参加していない。バンカリング拠点にエネルギー会社のLNG基地は不可欠なのに、だ。

「このままでは、東京湾でのバンカリング拠点構想は立ち行かない」(海運業界関係者)。そんな心配の声をよそに、住友商事は強気だ。実は水面下で、「LNGバンカリング拠点として袖ケ浦基地を利用する方向で、東京ガスから合意を得ている」というのである。

 一方、東京ガスは住友商事などに袖ケ浦基地の情報提供などをして連携する方針は認めたものの、「事業への参画は検討中」と、どこまでも及び腰だ。

「われわれがLNGバンカリング拠点を整備したって、それを利用するLNG燃料船が一定数なければ事業化は望めない」(内田高史・東京ガス社長)と、東京湾でのLNGバンカリング事業の採算性に懐疑的なのだ。

中電・東電の色気

 ただし、荷主さえ付けば東京湾の状況は一変する。「本来、船の往来が盛んな東京湾の方が中部地区よりポテンシャルは高い」(中部電力幹部)。中部電力が、東京湾陣営への参画に色気を出しているのも厳然たる事実だ。

 また、「事業の採算が取れるなら、東京電力との火力発電・燃料調達部門の合弁会社であるジェラを使って、東京湾のバンカリング拠点の整備に乗り出したい」(同)と構想を語る。東京ガスが煮え切らない間に、中電・東電連合のような他のエネルギー会社が機先を制する可能性は否めないのだ。

 政府肝いりのLNGバンカリング拠点の整備案だが、国際供給拠点になるまでの道のりは遠い。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 松野友美)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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