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ソニーは1兆円投資、東芝は売却…真逆の半導体戦略の明暗は?

2018年06月05日 06時00分更新

文● 週刊ダイヤモンド編集部(ダイヤモンド・オンライン

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半導体事業をめぐり、ソニーと東芝の道は正反対に分かれた。右はソニーの山形工場、左は東芝メモリの四日市工場 Photo:DW

 巨額投資の半導体事業を抱え込むべきか否か──。東芝が半導体事業を売却した一方で、2018年3月期に20年ぶりの営業最高益を計上したソニーは、今後も半導体事業に継続投資する姿勢が鮮明だ。

 ソニーは5月22日に公表した中期経営計画で、今後3年で累計2兆円以上の営業キャッシュフロー(金融部門を除く)を稼ぎ出す目標を掲げたが、このうち半導体中心の設備投資には1兆円もの資金を充てる方針だ。

 3年で稼ぎ出すキャッシュフローの源泉は主に三つある。まずは「プレイステーション(PS)4」に代表される、ゲームユーザーを会員とするネットワークサービス。それと、定額のストリーミング配信向けに収益力を高めている音楽コンテンツも安定的なキャッシュの創出源となる。

 また、テレビやカメラといったエレクトロニクス事業の採算も改善しており、「今後の成長資金を生み出すキャッシュカウ」(吉田憲一郎社長)と位置付ける。

 ソニーは、これらグループ全体で稼ぐ豊富なキャッシュを半導体事業に惜しみなくつぎ込む。

 ソニーの半導体事業は前期に過去最高の1640億円の営業利益を計上し、3年後も最大2000億円を計上する稼ぎ頭にする計画だ。だが、今期は減価償却費や研究開発費がかさみ減益の見込みで、前々期は赤字を計上するなど依然として変動が激しい。

 それでもソニーは半導体事業の巨額投資を続け、スマートフォン向けに高いシェアを持つイメージセンサーの生産能力を増強する。

半導体は分離が主流

 一方、東芝は稼ぎ頭の半導体事業を売却。切り離された東芝メモリは、半導体専業メーカーとして再出発する。

 東芝メモリは前期に4791億円もの営業利益を稼いだが、経営再建中の東芝が巨額の投資資金を本体で負担し続けることは不可能だった。グループ内部で豊富なキャッシュを生み出せるソニーと、経営危機で半導体の設備投資に耐えられなくなった東芝で、進む道が正反対に分かれた。

 ただ、世界的な潮流を見ると、半導体事業をグループから切り離す方が主流といえる。NECなどから分離したルネサスエレクトロニクスや、米モトローラと蘭フィリップスの半導体部門を源流とするNXPなど大手半導体メーカーは独立専業の経営体制が多い。

 むしろエレクトロニクスグループの一部門として運営する大手半導体メーカーは、ソニーのほかには韓国サムスン電子を残す程度で、世界的には希少な存在となった。

 半導体をグループに抱え続けるソニーは、3年で最大1兆円もの巨額投資を負担するリスクにどう向き合うべきか。傘下の半導体事業が外部資金を活用することを考えてもいいだろう。

(「週刊ダイヤモンド」委嘱記者 村井令二)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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