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SNSの事件事故投稿を解析し速報、報道130社が採用「AI記者」の実力

2018年05月29日 06時00分更新

文● 週刊ダイヤモンド編集部(ダイヤモンド・オンライン

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ベンチャー企業のスペクティが開発したニュース配信サービス
報道機関に提供されるスペクティの情報。情報が入るとAIが読み上げ音声でも伝えてくれる 画像提供:Spectee

 デビューからわずか2年で、報道機関が軒並み導入を決めたAI(人工知能)を活用したサービスがある。SNS上に投稿された災害や事件などの情報を収集して配信する、ベンチャー企業のスペクティが開発したニュース配信サービスだ。

 SNSの普及で、一般人が火災や事故などの現場の状況を撮影し、警察や消防の公式発表よりも早く伝えることは当たり前の光景になった。スペクティのAIは、SNS上にアップロードされた膨大な情報を精査し、災害や事件に関連していそうなものだけをリアルタイムで報道機関に伝えてくれる。

 提供する“第一報”は、「A市で火災が発生」「B市で交通事故」といったものから、「C市でワニの目撃情報」まで、ニュース素材になりそうなものを網羅する。

 支えているのはディープラーニングを活用した高い画像認識とテキスト解析の技術だ。スペクティのAIはツイッターやフェイスブック、インスタグラムなどを常時監視しているが、まず、イラストなどの加工された画像を除き、ニュース性がありそうな画像だけを解析する。同社の村上建治郎社長によれば、その数は「毎秒数千枚」。そして、解析した画像に煙や火、消防車などが映っていれば、AIが火災と判断するのだ。

 また、場所の特定には、画像に添えられた文章に加え、画像にある看板などの文字を認識して住所を割り出すこともしているという。

 配信された情報は人間の目でもチェックしており、情報にミスがあれば速やかに訂正している。

 2016年4月のサービス開始以降、速報性と正確性が評判を呼び、NHKをはじめとするテレビ局や大手新聞などが次々と導入を決定。「初動が速くなった」「画像で現場の状況が分かるので、無駄な出動が減った」と好評で、現在は約130社が採用しているという。

AIアナウンサーも登場

 同社が水面下で進めているのは、SNS上の投稿を基に、事件・事故の第一報を記事化することだ。

「警察発表などの正確な情報は報道機関に補足してもらう必要はあるが、第一報の原稿は定型文なので、ツイッターの投稿が5、6件あれば、ある程度はAIにも作れてしまう」(村上社長)

 これに加え、ニュース記事を自動で読み上げる“AIアナウンサー”のサービスを3月から始めた。約10万本のニュース動画を学習し、ニュース記事を上手に読むことに特化したAIだという。

「情報収集と記事編集、ニュースの読み上げまでAIができれば、ニュースの制作を自動化できる。新しい時代のCNNをつくりたい」と村上社長は野望を語る。

 スポーツの結果や決算発表を自動で記事化するAIは既に登場している。ニュースの花形である事件・事故の第一報を伝える仕事も近い将来、“AI記者”の独壇場になりそうだ。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 大矢博之)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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