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チーム導入を促す新ライセンス、データプレパレーションツール「Tableau Prep」も追加

資生堂のデータ活用事例も披露、Tableauが事業戦略を説明

2018年05月29日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 データ分析/BIツールのTableau Japan(タブロージャパン)は2018年5月17日、4月からスタートした新体制や新たなビジネス戦略、新製品「Tableau Prep」などを紹介する記者説明会を開催した。Tableauを導入、活用している資生堂の担当者も出席し、データ活用において抱えていた課題とTableauによる具体的解決策を紹介した。

Tableau Japan 社長の佐藤豊氏(左)、ゲスト登壇した資生堂 経営戦略部 市場情報グループの小川英樹氏

ライセンス体系変更でチーム導入を可能に、データプレパレーションツールも新登場

 Tableau Japanでは4月1日付で、2012年の日本市場進出から社長を務めてきた浜田俊氏が会長に、また佐藤豊氏が新社長に就任している。佐藤氏は、日本市場におけるTableauビジネスの方向性、そして新製品であるTableau Prepについて紹介した。

 体制変更後のTableauは、日本企業/社会におけるデータ活用をさらに活発化させる取り組みを進めていく。佐藤氏によると、浜田氏はアカデミック(教育機関)やパブリックセクター、地方創生といった、これからデータ活用に取り組むべき領域にフォーカスし、市場のインフルエンサーやオピニオンリーダーとの関係を構築し、新しいマーケットを開拓していく。また佐藤氏自身は、より直近のビジネスとして、エンタープライズ企業にデータ活用を浸透させていく役割を担うという。

 具体的なビジネスの方向性として佐藤氏は、「今後は『組織の中で』データが使われることを前提に考えたビジネス戦略を打っていく」と語った。「誰もがデータを見られる世界を作る」というのがTableauのビジョンだが、誰もがデータを分析/可視化できる組織内のプラットフォームとなるべく、まずはエンタープライズでの採用に注力していくという。

 「Tableauは、グローバルではビッグ4、5(各業界のトップ4社、5社)で当たり前に使われており、日本のエンタープライズにおいてもそうしていきたい。まずはエンタープライズ流域でアナリティクスツールの“圧倒的な標準”になることを目指す」(佐藤氏)

Tableau Japan 佐藤氏

 また、組織内のさまざまな役割を持つユーザーがTableauを通じてデータ活用に取り組めるように、他の業務アプリケーションへの埋め込み(組み込み)やAPI連携の形で「Tableauを意識せず使えるように」し、普及を促したいとも語った。TableauではエンベデッドライセンスやエクステンションAPIを提供している。加えて佐藤氏は、クラウド型(SaaS)で提供する「Tableau Online」の認知度を高めていくこと、Tableauのアプリケーション開発や教育などを手がけるパートナーエコシステムを拡大していくこと、などの目標も挙げた。

 こうしたビジネス戦略を実現していくために、すでに4月には3件の発表を行っている。

 ひとつはライセンスプログラムの刷新だ。新たなライセンスは年額サブスクリプション方式となり、データソースやワークブック、データフローを新規作成できる「Tableau Creator」、既存データソースからのデータ探索とワークブック作成が可能な「Tableau Explorer」、ダッシュボード操作やコメントのみが可能な「Tableau Viewer」が用意されている。Creatorは「Tableau Desktop」「Tableau Prep」「Tableau Server/Tableau Online」の各ツールが利用できるが、ExplorerとViewerはTableau Server/Tableau Onlineのみの利用となる。佐藤氏は「さまざまな利用シーンとユーザーの役割に応じて、大幅に価格を下げて提供する」と説明した。

 「これまでは、BIを使いたいが高価だから特定の人だけが使うというスタンドアロン導入が多く、チームでの共有ができていなかった。これを部門単位、チーム単位での導入へと進め、それがふつうのことになるようにしたい。究極的なゴールは、従業員全員がViewerを使える世界」(佐藤氏)

ユーザーの役割に合わせて「Creator」「Exploler」「Viewer」という3種類のライセンスが用意された(画像の価格は自社でホスティングする場合のもの)

 また、新たにTableau Prepツールが登場している。これは、データ分析に費やす総時間の約8割を占めると言われるデータプレパレーション(データの準備作業)の効率化を図るツールで、データフローの作成/編集からデータの結合、形式変換、クリーニングといった作業をGUIベースで行える。上述したCreatorライセンスで利用できるほか、既存ユーザーも2年間は無償で使えるようになっている。

 「これまでデータプレパレーションに8割の時間を費やしていたということは、欲しいときに欲しいデータがすぐ手に入らないということ。それではデータに基づくリアルタイムの意思決定ができない。そうした状況を変えるために開発されたツール」(佐藤氏)

Tableau Prepの画面。各種データソースからのデータ取得、加工、提供という一連のフローをGUIで組み立てられる

 4月の発表時にはTableau 2018.1もリリースされている。Desktopの機能がすべてServerにポーティングされ、Webブラウザだけですべての操作が完結するようになった。またTableau Onlineでは、「Salesforce」「Marketo」「Eloqua」「ServiceNow」などのデータを取り込み、即座にダッシュボードで可視化できる「Dashboard Starters」が追加された。佐藤氏は、Tableauでは今後3カ月ごとにアップデート(新リリース)を行い、イノベーションをさらに加速していくと述べた。

資生堂、ブランド/地域ごとに異なるデータ需要への対応をTableauで効率化

 同説明会には社内データ活用にTableauを採用している資生堂からの小川英樹氏が出席し、過去に抱えていたデータにまつわる課題をどのように解決していったのか、今後さらにどのような展開を考えているのかについて紹介した。

資生堂 経営戦略部 市場情報グループの小川英樹氏。Tableauの最上級トレーニングプログラム「ジェダイ アカデミー」2期生だという

 資生堂では、グローバル全体で800~900ユーザーのTableauアカウントを有しており、マーケティングや事業戦略にかかわる部門で活用しているという。

 小川氏が所属する市場情報グループ(CMI:Consumer & Market Intelligence グループ)は、グローバル各地域(リージョン)のトレンドやシェアなどの市場データを収集し、各地域を担当するブランドディレクターやビジネスリーダーに提供することで、意思決定をサポートするというミッションを担っている。取り扱うのは、社外の調査会社などから購入する市場データが中心となる。

 「たとえば、ビジネスの成長機会を特定してどこに投資をしていくべきか、当社のブランドのどこに課題があるのかといった判断を行うために、CMIグループは定性的/定量的を問わずさまざまなデータや情報を集約し、それを(意思決定のための)インフラとして提供している」(小川氏)

 CMIグループが設立された2009年当時、資生堂のビジネスはまだ日本市場が中心だった。しかし、資生堂ではグローバル化に対応する中長期戦略に基づき、2015年から「マトリクス組織」での事業オペレーションをスタートさせている。これは、4つの「ブランド軸」と6つの「地域軸」で構成されるマトリクスに基づき、個々に独立したマーケティングや製品開発を行うことで、地域ごとに強いブランドを育成していくというものだ。

資生堂のマトリクス組織(資生堂プレスリリースより)。ブランド軸×地域軸で組織を構成し、地域ごとにブランド育成に取り組む

 このマトリクス組織のスタートに伴って、CMIグループではある課題が持ち上がった。各ブランド事業、各地域で必要とされるデータはまったく異なるものだ。そのため、各地域/事業の部門がそれぞれ独自に市場データを保有しており「そうしたデータが社内にばらばらとたくさん存在する」(小川氏)状態だった。さらに、市場データを購入してくるベンダーも個々に異なり、各担当者が個別にサイトからデータを取得する作業も非効率だったと、小川氏は説明する。

 「そこで、ベンダーからデータを取ってくる作業はすべてCMIグループが行い、ワンストップですべての市場データが見られるものを作りましょうということで『CMI Data Viewer』を構築した」(小川氏)

 Tableauを使って開発されているこのCMI Data Viewerは、さまざまなデータソースから収集したデータを統合し、各地域/事業の担当者が簡単に分析することのできるツールとなっている。たとえば「ブランドダッシュボード」の画面では、各地域ごとにどのブランドが何%の市場シェアを持っているのか、シェアの増減推移はどうかといったデータを、グラフや表の形で簡潔に可視化する。

 また、商品開発部門の担当者向けに作ったという分析ツールでは、Tableau上で統合されたデータをブランド/商品カテゴリ/アイテムといった軸で可視化し、ドリルダウンして詳細なデータも調べることができる。「商品開発の担当から『たとえば米国市場で、どんな商品カテゴリが伸びているのか、どの競合ブランドのどの商品が売れているのかといったことを見たい』と相談され、そのまま担当者と一緒にプロトタイプを作っていった。出来たときには本当に喜ばれ、部門で拍手まで起きた(笑)」(小川氏)。

 さらに、各部門の担当者が毎月ExcelやPowerPointを使って作成していたレポートも、そのフォーマットをTableau上で再現することで、作成作業を不要にしたという。「これまではわたしが毎月、担当者にレポート作成用のデータを作って送っていたが、その作業もなくなった。データはCMI Data Viewer上で自動更新されるので、担当者がここに直接コメントを書き込むかたち」(小川氏)。

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