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アリババ会長が早大生に訴えた「僕のようなクズは起業するしかない」

文● 東方新報(ダイヤモンド・オンライン

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アリババのジャック・マー会長 ©東方新報

中国最大のEコマース企業であるアリババのジャック・マー会長は、早稲田大学で講演し、学生代表と語り合った。その中で、マー会長は、「秀才は就職すべき。でも僕のようなクズは起業するしかない」と語った。マー会長は、学生に何を訴えたのか、1995年に日本で創刊された中国語の新聞『東方新報』の取材班が取材した記事をご紹介しよう。

マー会長を一目見ようと
大隈講堂に長蛇の列

 4月末、阿里巴巴(アリババ)グループの馬雲(ジャック・マー)会長は、早稲田大学に招かれ、大隈講堂で学生代表の3人らと語り合った。この日は、マー会長を一目見ようと入場時間前から会場の外には長蛇の列ができ、1400席以上の座席も満席となった。

 午後4時、早稲田大学の鎌田薫総長があいさつを述べた後、いよいよマー会長が舞台に上がった。中国ビジネス界の大物と呼ばれているが身長は低く、頭は角刈りだ。

 マー会長と討論する3人の学生代表はいずれも博士課程の起業家で、データセキュリティとAI、食用と飼料用の昆虫、そして人体外骨格とVRの分野にまつわる企業を立ち上げている優秀な3人だ。

ジャック・マー会長(右から3人目)と早稲田大学の鎌田薫総長(左から3人目)と学生代表ら ©東方新報

 座談会は英語で行われた。マー会長は滑舌もよく、分かりやすい言葉で理路整然と話した。その講演スタイルは、まるで中国の有名な詩人、杜甫の「言葉で人を感銘させられなければ死んでも死に切れない」を体現したかのようだ。

 時に「トランプ大統領の中国語は、僕ほどじゃなかった」「僕の英語はまあまあだと思う」といった冗談を飛ばし、会場にはしばしば笑い声や拍手が巻き起こった。

 講演は1時間を予定していたが、最終的には1時間半ほどまで延長された。講演が終わる前に、マー会長は自撮り棒を取り出し、鎌田総長と会場の1000人以上と記念撮影をした。

マー会長の「名言集」
「秀才は就職、クズは起業」

 講演の全てをご紹介したいところだが、紙幅の関係からそれも難しい。そこで、講演の中でのマー会長が発した“名言”のいくつかをご紹介しよう。

●「僕のように勉強ができない人は、自分で起業するしかない」

 マー会長は、頭のいい人に対して独自の視点を持っている。「勉強ができる人はいい仕事が見つかる。だからわざわざ自分で起業したりしない。僕のように勉強ができないクズは、どこの会社にも入れない。だから自分で起業するしかない」と。

 その上で、起業に必要な素質は、「IQとEQ、そしてLQだ」と語った。このうちIQは優秀な頭脳、EQは困難を克服したり、他人とコミュニケーションを取ったりする能力、そしてLQは他人に気に入られる能力だ。

 これら三つのうち、どれが欠けてもいけないと訴える。「情熱と、人とは違う目線も起業家には必要な能力だ。起業家がすべきことはまさに物事に対して、人よりもどれだけ多くの違いを見いだせるかにある」と強調した。

座談会で話すジャック・マー会長(左)©東方新報

●「ゲイツもザッカーバーグも1人しかいないが、ジャック・マーはたくさんいる」

 マー会長は、「頭のいい人ほど他人を見下す傾向にある。彼らは他人の意見を受け入れない。だから起業家にはなれない。ビル・ゲイツやマーク・ザッカーバーグのような頭のいい起業家はきっと例外だろう。彼らは1人しかいないが、僕のようなのはたくさんいるだろう」と話した。

●「信頼できる人を選んでチームを組め」

「いかにして近くにいる人と信頼関係を築くか」という質問に対し、マー会長は、「短期間で信頼関係を築くのは現実的に無理だ。一つの長期的目標に向かって、同じ目線で一緒に歩んで行かなければならない」としながら、「チームのリーダーは必ずしもリーダー気質である必要はなく、チームのメンバーに忠誠心を求める必要もない」と語った。

●「能力が高ければ高いほど、責任も大きくなる」

「世界の穀物危機をいかにして解決するか」という問題に対してのマー会長の回答は、米コミック「キャプテン・アメリカ」の代名詞、「大いなる力には大いなる責任が伴う」と期せずして一致した。その上でマー会長は、「企業の大きさは、市場価値とは関係がない。大きな責任を負い、大きな問題を解決できる会社こそが“大きな会社”と呼ばれるのだ」と話した。

●「トランプの中国語は僕に及ばない」

 学生からスピーチのコツについて質問されたマー会長は、「スピーチの技術の良し悪しは言語能力とは関係がない」「僕の中国語はあまりうまくないし英語もまあまあだ。でもトランプ大統領の中国語よりは上手だと思う」と冗談交じりに答えた。そして、「スピーチで大切なことは、真実を話すことと、自分の考えをはっきりと伝えることだ」と語った。

●「ヒマラヤにエレベーターを作りたい」

 VRと視覚の共有についての話題では、「山の頂上からの景色がとても好きだ。でも登山は嫌いだ。ほかの山にはゴンドラがあるのに、ヒマラヤにはない。エレベーターを作ろうかと思ったこともある。でも君の技術があれば、その必要もなさそうだ」と笑いながら話した。

●「企業が成功する秘訣は女性社員の多さ」

 アリババグループ全体の47%は女性社員だ。マー会長は、「企業が成功しているか判断する重要な要素こそが、女性社員の人数で、その多さだと考えている」と答えた。

●「中退して起業するな」

 マー会長は、ビル・ゲイツやマーク・ザッカーバーグの真似をして「中途退学してまで起業しようとするな」と主張する。「退学して起業しようとした人が100人いたとすれば、成功するのはそのうちたったの5人だ。失敗した95人は人知れず消えていく。しかも成功した5人のうち4人も徐々に消えていってしまう。だから、まずは卒業してから」と話した。

●「アリババのチップ開発は、米国の制裁とは無関係」

「アリババがチップの開発を開始する」という発表について、会場の学生から尋ねられたマー会長は、「アリババはこの4年間、5社のチップ起業に出資してきた。発表は何ヵ月も前から準備していたもので、(米国が制裁を科した中国2位の通信機器メーカー)中興通訊(ZTE)に対する米国の輸出品規制措置の発表と重なったのはただの偶然だ」と話した。

(東方新報 取材班)

※『東方新報』は、1995年に日本で創刊された中国語と日本語2ヵ国語の新聞です。


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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