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iPhoneの2020年モデルがJDIの運命を握る理由

文● 週刊ダイヤモンド編集部(ダイヤモンド・オンライン

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JDIの東入來信博会長兼CEO
JDIの東入來信博会長兼CEO。アップル向け液晶で命脈を保ったかに見えるが、残された時間は少ない Photo:JIJI

「アップルはいつまで液晶を続けてくれるのか」──。これが経営再建中の液晶パネル大手、ジャパンディスプレイ(JDI)の内部で熱い議論になりつつある。

 2018年3月期は、過去最大となる2472億円もの最終赤字を計上した。最大顧客の米アップルが17年秋に発売したiPhoneX(テン)に有機ELパネルを採用したことで、液晶工場の資産価値の減損など構造改革費用1423億円を計上したことが主因。さらにアップルだけでなく、大口顧客の華為技術(ファーウェイ)はじめ中国スマートフォン向け液晶の出荷が急減し、年間1600億円規模の売り上げが消滅した。

 前期のフリーキャッシュフローは539億円のマイナスとなり、資金繰りが再び悪化。4月に海外ファンドや産業革新機構から550億円を調達し、これで当面の運転資金は確保したが、いよいよ売り上げの反転を確実にしなければ、危機が再燃する局面だ。

 反転の期待は、18年モデルのiPhone。今年秋発売の次期iPhoneは、有機ELモデルが2機種に増えて、液晶モデルは1機種に減るものの、足元の「X」の販売不振で液晶モデルの売れ行きが期待されており、JDIは今期の売上高は700億~1400億円規模の増加を予想する。

 関係者によると、次期iPhoneに採用されるJDIの新型液晶「フルアクティブ」を生産する白山工場(石川県白山市)はすでにフル稼働という。7月以降の出荷に向けて先行生産を開始しており、今期はアップル向けの液晶で、一命を取り留めるもようだ。

液晶継続を水面下で交渉

 だが、宙に浮いているのが、有機ELパネルの量産設備の投資判断だ。2000億~3000億円もの資金が必要とされるが、中国企業などとの資本提携交渉は暗礁に乗り上げており、当初見込んだ19年の量産には間に合わない。

 もっとも関係者によると、アップルはiPhoneのフルアクティブ液晶の採用を19年も継続する方針で、来期もJDIの液晶工場の稼働は確保できる見通しという。一方で中国スマホ向けの回復は見込めず、18~19年度はアップル依存が一段と強まる。

 昨年6月に就任した東入來信博会長兼最高経営責任者(CEO)は「有機ELシフト」を掲げて、過去最大の赤字を計上してまで液晶工場の巨額減損に踏み切ったが、結果的に液晶に救われている。

 現在JDI内部の最大の関心は、「20年のiPhoneに液晶が残るかどうか」(JDI関係者)という。水面下でアップルとは液晶継続を交渉中だが、仮に交渉が実らず19年を最後に液晶モデルが途絶えるなら、有機ELの巨額資金の調達は待ったなし。その見極めのためにJDIに残された時間は少ない。

(「週刊ダイヤモンド」委嘱記者 村井令二)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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