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K5新リージョンで構築する“新陳代謝するインフラ”を支える「Veritas Access」

富士通「K5」が新インフラにベリタスSDS製品採用、背景を聞く

2018年05月22日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 ベリタステクノロジーズは2018年5月17日、富士通のクラウドサービス「FUJITSU Cloud Service K5」の次世代ストレージ基盤として、スケールアウト型NAS SDS(Software-Defined Storage)である「Veritas Access」が採用されたことを発表した。富士通によると、Accessベースの新サービスは今年度下半期中にスタートする予定だという。

 今回、富士通側でK5 IaaSの開発/運用責任者を務める松本修氏の話を聞くことができたので、新しいK5インフラで目指すもの、Veritas Accessを採用したポイントなどを、ベリタスの発表内容を少し深掘りするかたちでお伝えしたい。

富士通K5 パブリッククラウドサービスのストレージ基盤としてVeritas Accessが採用される(図版はベリタス説明資料より)
(右から)富士通 クラウドサービス事業本部 ファウンデーションサービス統括部 統括部長の松本修氏、ベリタステクノロジーズ テクノロジーセールス&サービス本部 インフォメーション・アベイラビリティアーキテクトの星野隆義氏、同本部 常務執行役員の高井隆太氏

Software-Defined、オールフラッシュなど新リージョンでアーキテクチャ刷新

 今回のSDS採用の背景には、富士通が進めているK5クラウドのインフラアーキテクチャ刷新という動きがある。K5では今年7月に西日本第3リージョンを、また今年度第2四半期中に東日本第3リージョンを新設する予定だが、ここでSoftware-Definedベースの新アーキテクチャを採用して、従来比10倍のスケールアウトが可能な大規模化への対応や価格性能比の向上を図るという。

新リージョンではスケーラビリティの向上、SDN/SDS導入による効率化を図る(図版は富士通説明資料より)

 ストレージ周りのインフラに関して言えば、従来のハードウェアストレージによる構成をやめて、PRIMERGYサーバークラスタ上で稼働するSDSに切り替える。また、これまでのストレージはHDDベースで構成されていたが、新リージョンでは標準ストレージをオールフラッシュ(SSD)構成とする。これにより「価格性能比が現行世代の2倍になる」と、松本氏は説明した。容量単価は変わらず、速度が倍になるイメージだ。

 「購買単価だけで見るとまだSSDはHDDよりも割高だが、故障率が低い。故障しにくいので『ノードの保守をしない』方針とし、保守コストをかけて長年使い続ける代わりに、毎年新しいノード(サーバー)に交換していくモデルを採用する。われわれはこれを『新陳代謝するインフラ』と呼んでいるが、SSDのギガバイト単価が毎年下がっていくこともあって、実現の見込みが立った」(松本氏)

 ちなみにK5の新アーキテクチャでは、ストレージに限らずネットワークやコンピュート(サーバー)のインフラにおいても「新陳代謝」していく前提で設計がなされている。「3年間くらいで全体が入れ替わるようにしていかないと(サービスとして)成長していけない」(松本氏)。またハードウェア、ソフトウェアともにマルチベンダー構成を取る方針だ。

 Veritas Accessは、この新リージョンで提供するユーザーサービス用のストレージプール、およびコントロールプレーン用のノード間共有ストレージプールの基盤として採用される。ただし、ユーザープールについてはAccessだけでなく、ネットアップの「SolidFire」など他ベンダーのSDS製品も採用し、どれを使うかはユーザー自身で選択できるようにするという(複数のボリュームタイプが用意される)。

K5新アーキテクチャの図解。赤い部分がVeritas Accessの採用箇所

 Veritas Accessベースのストレージサービスは、今年度下半期からのスタート予定だ。料金はサービス開始時に発表されるが、松本氏は、Accessはコモディティサーバーで構成されるため「かなり有利な価格レンジを設定できると思う」と語った。K5では、すでに数ペタバイトクラスのブロックストレージが使われている。従来サービスと比べて価格性能比の高いAccessベースのサービスが始まれば、既存ユーザーのマイグレーションも相当数発生するのではないかと見ているという。

「新陳代謝するクラウドインフラ」実現のために密な連携を図る

 それではなぜ、さまざまなSDS製品の中からVeritas Accessを採用したのだろうか。プレスリリースでは「無停止でハードウェア増設/リプレイスが行える高い可用性」「マルチプロトコル対応」などのポイントが挙げられている。前述した「新陳代謝するインフラ」を実現するためには、サービスを停止させずにハードウェア交換ができる必要がある。

 そのほかにも松本氏は、K5での採用に当たってはいくつかの要件を提示したが、ベリタス側が「かなり前倒しでエンハンスメントに対応してくれた」ことも明かした。たとえばiSCSIプロトコル対応、イレイジャーコーディングの搭載などは、将来的な開発ロードマップとしては明示されていたものの、K5での採用に合わせて前倒しで対応されたという。

ストレージの格納効率を向上させるイレイジャーコーディングも、K5の要件に合わせて“前倒し”で実装されたという

 ベリタスでインフォメーション・アベイラビリティアーキテクトを務める星野隆義氏は、こうした俊敏な製品の改良はソフトウェア/SDSならではのものであり、特に“新生ベリタス”以後に活発化していると語る。

 「以前(のベリタス)は『自分たちが良いと考える機能』を提供していた。しかし、現在は『顧客が望む機能』を提供していくスタンスに変化している。そうしたなかで今回、富士通との思惑が一致して、こうした動きを取ることになった」(星野氏)

 今回の富士通とのプロジェクトにおいて、ベリタス側の窓口は日本法人が務めているが、「その背後にはグローバルな開発体制がある」と星野氏は説明した。プロジェクトマネージャーは英国、開発を手がけるエンジニアはインドや米国シリコンバレーにおり、松本氏ら富士通のメンバーとも直接、密なやり取りを行いながら開発や検証を進めているという。

 富士通が提供するクラウドサービスということもあり、K5ではミッションクリティカルシステムにも対応できる高い信頼性が求められる。松本氏は「かなりの品質評価をやっている」と語る。「新陳代謝するインフラ」を前提としているため、Veritas Accessの検証作業は複数世代のPRIMERGYサーバーおよびOSと組み合わせて行っている。

 「新しいハードウェア(サーバー)に追随するということは、新バージョンのOSにも対応していくということ。さらには(新旧の)それが混在する環境にも対応しなければならない。今回は、2世代のOSメジャーバージョン混在環境までを動作保証している」(星野氏)

協業を通じてK5ビジネスをさらに拡大、“360度データ管理”も

 富士通とベリタスは1994年から、データ保護製品「NetBackup」を中心とした20年以上にわたる協業関係にある。K5に関しても、すでにNetBackupのバックアップ先クラウドストレージとしてK5が選択できるようになっている。

 両社による今後の取り組みとして、松本氏はまずはNetBackupを導入している顧客に対するK5の活用提案を進めたいと語った。

 「従来のNetBackupライセンス販売だけでなく、サブスクリプションモデルで販売する新しいビジネスモデルにもチャレンジできないかと考えている。K5ストレージのギガバイト単価に(NetBackupの使用料を)上乗せするかたちで、サービスとして販売するというもの」(松本氏)

 また星野氏は、ベリタスが提供する製品のコンパチビリティリスト(検証済み製品リスト)に、K5クラウドを追加していきたいと語った。前述のとおりNetBackupでは対応済みだが、DR製品「Veritas Resiliency Platform」でも早期にK5へ対応していく方針だという。最終的にはさまざまな種類のサービス提供を通じて、K5を含むマルチクラウド上の顧客データに対する“360度データ管理”を実現することが目標となる。

ベリタスが提唱する“360度データ管理”を、K5を基盤に展開していくのが目標

 これまでの方針とは異なり、富士通では今回を機に、K5の採用パートナー(構成プロダクト)を積極的に公開していく方針に転換していく。顧客のプライベートクラウド構築など他のビジネスにおいて、K5における富士通自身の取り組みが“ショーケース”となることが期待できるからだと松本氏は説明した。

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