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加速するドローン技術による未活用空域への進出

来るべきシンギュラリティに向き合うための「エクスポネンシャル思考」

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『空域という未活用空間への進出』#2

 飛行ログという名の地形データは国外に蓄積され、ある日それを悪用したテロリストに突然制御ソフトウェアが乗っ取られ、同時多発的に原子力発電所に突入される可能性だってあります。実際、中国製のドローンを大量購入したアメリカ陸軍がこの点を懸念して一斉に使用禁止にしたというニュースがありました。新たな時代のプラットフォームを作るためのデータ集めの点でも日本は出遅れています。

 現時点でのドローンはバッテリーの大きさや持続性が大きな技術的ハードルであり、パワーや積載重量に制限があります。そのため、まだモノを運んだり人を運んだりすることには制限があります。

 しかし、ドバイなどでは人を乗せて飛ぶドローン(エア・モビリティ)の実験も始まっていますし、垂直離着陸が可能かつ大きなペイロード(積載量)をもちながら太平洋を横断するようなプロジェクトもあります。これらが実現すると、離島や山岳地域の物流の大部分がドローンによって担われるようになるのも遠い未来ではないでしょう。私が経営に携わる会社も、エア・モビリティや長距離物流ドローンの開発を行なっています。

 また何十時間も高高度で飛び続けるドローンの存在は、今まで利用されていなかった空域にインフラを築く可能性を大きく広げることでしょう。現在、地上レベルにはインフラが整備され、成層圏より上には衛星がいますが、成層圏を含むその中間の空域はまだ全く未利用です。そこに何千、何万というドローンが飛び回り、常時浮いていてインフラとして機能した場合、そのメリットは計り知れないでしょう。

 さらに、ドローンと親和性が高く、少し恐ろしい技術が群制御・群知能です。

 2018年、編隊飛行を組んだドローンがシリアのロシア軍基地を攻撃したというニュースがありました。これらは一機当たり数万円で組み立てられるような手作りのドローンでした。また、韓国の平昌で行なわれた冬季オリンピックではインテルの1200機を超えるドローンの群飛行によるショーの映像が披露されました。2020年の東京オリンピックは数千機規模で群制御された小型ドローンによるショーも計画されていると聞きます。

 現実的には数千機のドローンやロボットを集中コントロールするのは通信帯域や演算速度の問題で非常に難しいと思われます。そうではなく、全部の機体に対して独自に判断するシステムと人工知能を搭載し、全体を集合知として動くように設定するのです。たとえば数千~数万のドローンや小型のロボットがイワシの群れやイナゴの群れのように行動すると考えればその途方のなさがわかります。

 エンターテインメントで使えば非常にきらびやかなショーになるでしょう。しかし、暗殺や軍事目的に使われた場合、爆薬を積んで押し寄せる数万機のロボットを防ぐことは非常に難しいに違いありません。

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