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小説の書き方を指南! サイバーセキュリティ小説コンテスト向け説明会開催

2018年05月21日 18時00分更新

文● MOVIEW 清水/編集●ASCII

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普遍的なテーマで、10~20代が読みやすいものを

 続いて河野氏がモデレーターを務め、「サイバーセキュリティ小説はこう作れ!!」と銘打ったパネルディスカッションを実施。「テーマの選び方」「キャラクターの作り方」「ストーリーの練り方」「事実・技術の取り扱い方」について登壇者それぞれの意見を聞いた。

「サイバーセキュリティ小説はこう作れ!!」パネルディスカッション

モデレーターのカクヨム編集部編集長 河野葉月氏(左)とパネリストのサイバーディフェンス研究所 名和利男氏(右)

パネリストの日立システムズ 本川祐治氏(左)と長崎県立大学教授 加藤雅彦氏(右)

 テーマの選び方については、河野氏が普遍的な要素を選ばないと作品の奥行きが出てこないと述べ、そこにサイバーセキュリティをからめていくかを考えるのがいいとアドバイス。キャラクターの作り方では加藤氏から、なぜサイバーセキュリティをやっているのかということ、その人物の思いがどこからきているのかを押さえるといいという意見が出た。

 本川氏は、スニーカー文庫の読者層である10代から20代が読みやすい対象がよく、必ずしもハッカーや技術者である必要はなく、巻き込まれるタイプでもいいと述べた。

 ストーリーの練り方では、たとえば金曜夜にサイト引っ越しの連絡がきて土日に対応というようなことが現実にあり、平和な日常から地獄にたたき落とされるような急展開をうまく取り入れられるといい、という加藤氏の意見が印象的だった。

 事実・技術の取り扱い方について本川氏は、いきなり量子コンピューターなどというと、実際の技術にさわれないことが多いので、超科学を扱うと大変だと述べた。また、名和氏はサイバーセキュリティについて取り扱っている映画を参考にすることをすすめ、『ボーン』、『ヒットマン』、『ミッション・インポッシブル』シリーズの最新作などが紹介された。

 パネルディスカッションの後は、参加者からの質問にパネリストが答える全体質疑応答があった。「実際に働く中で組むチームの人数」という質問には名和氏が理論に基づく自衛隊の分隊編成として最大10人、多くても13人でリーダーが必要、その下に3つ4つのファンクションを組むのがいいとアドバイス。さらに「17年前に予期されていたことを超えること」という質問でも、Google、Facebookの拡大やみんながモバイル端末を持っている現状は予想できていなかったと語った。

 全体質疑応答では複数の質問をする参加者が多かった。この機会にスペシャリストからより多くの情報を引き出そうという意欲にあふれる質問が多く、パネリストたちも応えようと真摯に対応していた。さらに全体質疑応答の後に、パネリストに対して個別の質疑応答があり、パネリストごとに質問したい参加者が行列を作っていた。

参加者からの全体質疑応答

パネリストへの個別質疑応答は行列ができるほど

 8月31日の締め切りに向けて開催された今回の説明会。参加した方々はより一層創作の意欲をかきたてられたに違いない。

サイバーセキュリティ小説コンテスト

ジャンル
 サイバーセキュリティに関連する小説であれば、SF、異世界もの、体験などジャンルは自由

応募
 プロアマ問わず。カクヨムへの会員登録が必要

大賞1名
 賞金100万円+書籍化

スポンサー賞
 マイクロソフト賞、サイボウズ賞、日立システムズ賞 各1名

応募期間
 3月31日~8月31日

主催
 特定非営利活動法人 日本ネットワークセキュリティ協会(JNSA)

運営
 株式会社KADOKAWA

後援
 サイバーセキュリティ戦略本部(協力:内閣サイバーセキュリティセンター NISC)

協賛
 日本マイクロソフト株式会社/サイボウズ株式会社/株式会社日立システムズ/株式会社シマンテック/トレンドマイクロ株式会社/株式会社日本レジストリサービス(JPRS)/株式会社ベネッセインフォシェル

コンテスト詳細
 https://kakuyomu.jp/contests/cyber_security

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