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東京電力が反原発の新潟県知事辞任でも喜べない理由

文● 週刊ダイヤモンド編集部(ダイヤモンド・オンライン

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新潟県の米山知事の辞任
東電の命運を握る柏崎刈羽原発の再稼働は、新潟県の米山知事の辞任でさらに不透明になりそうだ Photo:JIJI

 東京電力ホールディングスの柏崎刈羽原子力発電所が立地する新潟県の米山隆一知事が、週刊誌に報じられた自身の女性問題の責任を取って辞任することになった。

 柏崎刈羽原発の再稼働に慎重な姿勢だった米山知事の辞任は、東電にとって“熱烈歓迎”のはず。ところが、実はもろ手を挙げて喜べる状況ではない。

 というのも、安倍政権はいわゆるモリ・カケ問題に加え、財務省の事務次官によるセクハラ疑惑など不祥事の“オンパレード”真っただ中。米山知事の辞任に伴う6月10日投開票の知事選挙では、与党自民党は超逆風での選挙を強いられるのは間違いないからだ。

 それは、候補者選びが難航していることからも見て取れる。

 与党は元新潟県副知事で海上保安庁次長の花角英世氏の擁立を目指している。ただ、ある政府関係者は「どう見ても自民党が勝てる状況ではなく、花角氏は出馬の決心を固められない」と明かす。

 安倍政権が窮地に陥る中、「火中の栗を拾う」与党候補はそうそう出てこないのだ。

再建計画の見直しも

 一方の東電にとって柏崎刈羽原発は、強力な利益創出装置だ。

 再稼働すれば1基当たり年間で最大900億円のコスト削減につながると試算。東電の再建計画「新々総合特別事業計画」(新々総特)でも、福島第一原発の廃炉作業や事故の賠償費用などを捻出する最大のドライバーとして位置付けている。

 つまり、柏崎刈羽原発は東電の命運を握っているといっても過言ではないのだ。

 柏崎刈羽原発の6、7号機については、再稼働の“ゴール”がおぼろげながら見えてきていた。昨年末、再稼働の前提となる原子力規制委員会の安全審査をクリア。残すは、安全協定を結ぶ新潟県、柏崎市、刈羽村の3立地自治体の承認だけだった。

 すでに関係者の間では、米山知事が県主導の福島第一原発事故の検証作業を終えた後、再選を果たして2020年秋ごろには再稼働へゴーサインを出す“シナリオ”がささやかれていた。東電もそのシナリオの実現に向けて、米山知事との関係構築に地道な努力を続けていたのだ。

 だが、それも米山知事の辞任で、仕切り直しになる公算が大きい。福島第一原発事故の検証作業について、新潟県原子力安全対策課の担当者は「今後の作業は未定です。新しい知事が決めることですから。われわれが先走るわけにもいかない」とお手上げ状態だ。

 原発そのものを否定する新しい知事が誕生すれば、柏崎刈羽原発の再稼働は不可能だろう。それは新々総特が画餅に帰することを意味する。そうなれば、新々総特の見直しは必至だ。再建に向けた東電の悩みは一層深くなりそうだ。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 堀内 亮)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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