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基調講演で「企業に必要な4つの変革」「人とマシンの新たな関係」を語る、「Dell Technolgies World 2018」レポート

マイケル・デル氏、デルテクノロジーズの「総合力」を強調

2018年05月07日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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「『人とマシン』の時代に向け、テクノロジーでより良い世界を作っていく」

 もうひとつ、デル氏の基調講演で強調されたのが「より良い世界を作るためにテクノロジーを活用すること」、つまりテクノロジーの善用だ。AIが多くの人間の職を奪うのではないかといった悲観論、あるいはフェイスブックをめぐるプライバシー情報悪用への批判など、情報テクノロジーの急速な発展に対して懐疑的な見方が広がる中で、自らを「楽観主義者」だと語るデル氏は「より良い世界のビジョンを皆さんと共有したい」と語った。

デル氏は「より良い世界のためのテクノロジー」も訴えた

 同基調講演では、先月CMOに就任したアリソン・デュー氏も登壇し、デルテクノロジーズが世界3800名のビジネスリーダーを対象に実施した「Realizing 2030」という未来ビジョン調査の結果を紹介した。

デル CMO(最高マーケティング責任者)のアリソン・デュー(Allison Dew)氏

 調査によると、5年以内に自社で「人間とマシン(AIなどのマシンインテリジェンス)」の共同作業が始まるだろうと考える回答者は82%に及んだ。しかし、それにより生産性が向上し従業員の労働時間が短縮されると考える回答者は50%、また単純作業など従業員に好まれないタスクをマシン化することで労働満足度が向上すると考える回答者も42%にとどまり、未来に対する見方は2分されている。

 この結果に対してデュー氏は、多くの企業が人間とマシンの未来についてまだ明確なビジョンを持ち得ていない結果だと指摘し、より深い洞察と将来予測を実現していくために「Dell Technologies Institute」(デルテクノロジーズ研究所)という旗印のもとで継続的に調査研究を推進すると説明した。より良い世界のためのビジョン構築と技術イノベーションの支援を目的とするという。

「Realizing 2030」調査結果より。AIなどマシンインテリジェンスの導入による業務効率化の効果については懐疑的な見方もまだ強い

 また、デジタルトランスフォーメーションに関しても、多くの企業がそうした変革を望みながらも、57%の回答者が「変化のペースに追随するのに苦労している」、93%が「デジタルビジネスで成功を収めるための障壁と格闘している」などと答えている。 デュー氏は、そのガイドラインとして“4つのトランスフォーメーション”があると述べた。

「Realizing 2030」調査結果より。変革の必要性は感じながらも、多くの企業がその実践に苦労していることがわかる

 デル氏は、今後訪れる未来は「人かマシンか」ではなく、人間の可能性をテクノロジーのパワーで拡張していく「人とマシン」の時代になると強調し、デルテクノロジーズは人とマシンが共同で問題を解決し、人類の進歩に寄与するような未来を作っていく企業だと述べ、基調講演を締めくくった。

 「テクノロジーは善用も悪用もできる。悪用もできるからこそ、われわれは責任を持ってAIを利用していく必要がある。各国政府もそういう(悪用を防ぐ)規制を作る必要はあるだろう。ただし、善いものを抑え付けることは良いことではない。わたしは未来に対して楽観的だ」

南カリフォルニア大学で研究が行われている「Bravemind」プロジェクトのデモも披露された。米国退役軍人のPTSD(心的外傷後ストレス障害)治療にVRを活用するもので、同プロジェクトにデルテクノロジーズが10万ドルを寄付することも発表された

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 引き続き次回レポート記事では、今回のDell Technologies World 2018で発表された新製品/サービスの詳細をお伝えする予定だ。

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