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ノンコーディングで高度なカスタマイズも可能

Excelとパワポの知識だけで業務アプリを開発できる「PowerApps」とは

2018年04月26日 13時00分更新

文● 吉田大貴 編集 ● 羽野/TECH.ASCII.jp

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PowerAppsとは

 「Microsoft PowerApps」をご存知でしょうか? PowerAppsは、Excelのような関数とPowerPointのような操作だけで、コーディングすることなくアプリケーションが開発できてしまうサービスです。2016年10月に提供が開始され、日本語を含む42か国語に対応しています。

 PowerAppsの最大の特徴は、OSやブラウザーの種類を問わず、どの環境でも使える点です。さらに、PowerAppsで作成して保存したアプリは、Windowsはもちろん、Mac環境のブラウザー(IE、Edge、Chrome、Firefox、Safari)で動きますし、iOSとAndroidなら専用のモバイルアプリが提供されています。PC向け、モバイル向けにそれぞれ別のアプリを作成する必要はありません。

PowerAppsはOSやブラウザーの種類を問わず、どの環境でも使える

 PowerAppsでは、開発画面上でアプリUIの完成イメージを見ながら作成し、そのまま動作確認もできます。例えばボタンを作るには、PowerPointでスライド上に四角い図形を配置するのと同じ感覚で、クリック&ドロップするだけです。そのため、アプリの開発期間が非常に短くなります。次の動画では、PowerAppsを使って「牛丼注文アプリ」(オーダーをメールで送信)を6分間で作り上げる様子を紹介しています(2分に再生速度を上げています)。

「牛丼注文アプリ」を6分間で開発(クリックでYouTubeを再生)

PowerAppsでできること

 PowerAppsでは、「コネクタ」を使って複数のデータ元を1つのアプリ画面にまとめることが簡単にできます。「コネクタ」を活用し、200種類以上のデータと連携します。

 PowerAppsのコネクタは200種類以上あり、Microsoft系のOutlookやSharePoint、Azure、SQL Serverはもちろんのこと、kintoneやSalesforceなどの外部サービスもデータ元として利用できます。コネクタにないサービスは「カスタムコネクタ」を作って接続可能です。さらに、オンプレミス環境のExcelやSQL Serverなどのデータも、「オンプレミスゲートウェイ」をインストールすることで、PowerAppsのアプリで利用できるようになります。

PowerAppsの「コネクタ」

 例えば、営業担当が今までカレンダー登録、出張申請、CRMのシステムをすべて別々に入力していて、さらに旅費計算のために乗り換え案内のサイトを見ていたとします。PowerApps利用すれば、これらの業務をすべて1つの画面にまとめてしまい、担当はスマホからすべて完結させることができるのです。

PowerAppsで経費精算のワークフローアプリを作成

本当に「ノンコーディング」

 世の中には、「ノンコーディング」や「コーディングレス」でアプリ開発ができるというサービスがいくつかありますが、少し高度な仕組みや自分好みのカスタマイズを加えようとすると、JavaScriptなどのコーディングが必要になることが多いです。

 PowerAppsでは、JavaScriptではなく、Excelの数式バーに数式を入力するような操作感で、アプリの細かい動作を設定できます。次の例は「ボタンをクリックすると画面を移動する」という設定です。

「ボタンをクリックすると画面を移動する」設定

自動でバージョン管理

 PowerAppsで作成したアプリは「保存」「発行」の2ステップでユーザーに展開します。まず、保存したアプリを自分で試してみて、動作に問題がなければ「発行」を押して、社内のユーザーに展開しましょう。

 保存したアプリは自動的にバージョン管理されるので、仮に発行したアプリで何か設定を間違えていた際は、ワンクリックで1つ前のバージョンに復元します。

例:バージョン25を利用者向けに発行、開発途中のものはバージョン28

PowerAppsのプランは3種類

 PowerAppsには、Office 365/Dynamics 365ライセンスで使える「無償プラン」、フル機能の「有償プラン」、無償で試用できる「コミュニティプラン」の3種類のプランがあります。

 Office 365やDynamics 365のライセンスをもっていれば、無償の「PowerApps for Office 365」プラン、「PowerApps for Dynamics 365」プラン利用できます。アプリの作成と実行だけに使う場合は、このプランで十分です。

 「有償プラン」が必要になる利用シーンは、kintoneやSalesforceといったMicrosoft製品以外と連携する「コネクタ」を使う場合や、テスト環境と本番環境と分けて管理したい場合、PowerAppsで提供しているCommon Data Serviceというデータベースを利用する場合などです。

 PowerAppsを1人で試しに使ってみたいケースでは、無償の「コミュニティプラン」があります。コミュニティプランでは、テスト環境で最上位の有償プランと同じフル機能が利用できます。ただし、作成したアプリを他のユーザーと共有できない制限があります。

 どのプランにもPowerAppsに加え、Microsoft Flowも含まれていますので、別々で購入する必要はありません。まずは、コミュニティプランでPowerAppsを試してみてください。

 PowerAppsの詳しい使い方は、Microsoftのこちらのサイトに掲載されています。また、筆者の個人ブログでは、PowerAppsのアプリに地図を埋め込む、チャットボットアプリを作るといった実用的なアプリの構成例と開発手順を紹介していますので、参考にしてください。

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 ASCII Team Leadersでは、2018年5月14日に、PowerAppsのハンズオンイベント「PowerAppsで誰でもノンコーディング開発!みんなの苦行「経費精算」を楽にするアプリを作ろう」を開催します。プログラミングの知識は必要ありません。企業の経理部門の方、業務で使うアプリケーションを自ら開発したい事業部門の方、ノンコーディング開発に興味をお持ちの方など、誰でも参加できるイベントです。ご参加をお待ちしております(※応募者多数につき、参加枠は抽選とさせていただきます)。

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