このページの本文へ

「ネットカルチャー教室」ただいま開講中第12回

ゲーセンで他人のプレイを見続けていたあの感覚

なぜ「ゲーム実況」を多くの人が見てしまうのか

2018年04月17日 17時00分更新

文● ノダタケオ(Twitter:@noda) 編集●ちゅーやん

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 YouTubeでは、カメラやスマホで撮影してパソコンなどで編集して投稿された「アップロード動画」だけでなく、パソコンやスマホからリアルタイムで映像を送り、瞬時に視聴してもらう「ライブ配信」も人気という話を連載第4回で紹介しました。

 「ライブ配信」という言葉は知っているけれど見たことがない人も多いのでは? どちらかと言えば、スマートフォンで動画を見ることに慣れた子どもたちのほうが大人たちよりライブ配信に接する機会が多いのかもしれません。

 そんなライブでもが見ている人が多いジャンルの代表格は「ゲーム(実況配信)」。

 ライブ配信の中でももはや“鉄板”のジャンルといえる「ゲーム実況」は、配信者となるプレイヤーが操作するゲームプレイ画面を、パソコンやスマートフォンの画面越しにライブ配信で視聴者が鑑賞する形を指します。このゲーム実況は、数あるライブ配信の中でも多くの人が見ている印象を受けます。

ゲームセンターで他人のプレイを鑑賞するのと同じ感覚

 「ゲームしているところを(ライブ配信で)見てなにが楽しいのだろう?」と不思議に感じる人へさらに説明をするならば、「アミューズメント施設でアーケードゲームを楽しんでいるプレイヤーの周りに立ち止まり、ディスプレイに映し出されるプレイ画面を鑑賞する」感覚に似ています。

 昔、人気となったアーケードゲーム「ストリートファイターII」のような対戦型格闘ゲームなどアクション系にせよ、今でいえば「太鼓の達人」のような音楽(リズム系)ゲームにせよ、立ち止まってみている人は「上手い!」とか「下手だなぁ……」というプレイヤーへの気持ち(ツッコミ)を“自分の心”のなかでしていた人たちも多いのではないでしょうか。

 一方、ライブ配信におけるゲーム実況は、アミューズメント施設へ行かずとも、パソコンやスマートフォンの画面越しに他人のゲームプレイを鑑賞します。

 ただアミューズメント施設とは異なり、ゲーム実況のライブ配信を視聴しているとき、そのパソコンやスマートフォンの画面を見ている自分の周りには一緒に観賞している人はいません。昔に感じたようなアミューズメント施設で見知らぬ人と“その場の空気を一緒に感じる一体感”は少し薄れます。その代わり、先の“自分の心”のなかだけで感じていた「上手い!」とか「下手だなぁ……」という気持ち(ツッコミ)を、ライブ配信ならではのコメント機能を通じ、配信者(プレイヤー)に対して、視聴者たちが一斉に伝えることができたり、ゲームプレイに対する感想や感動を共有したりできます。

 昔であれば、鑑賞している人の心のなかだけで完結されていた気持ちをライブ配信のコメント機能によって「可視化」されるところに、ゲーム実況の面白さがある、と言えるのでしょう。

国内だけでなく海外でもゲーム実況ジャンルのライブ配信は人気

 こうしたゲーム実況は「YouTube Live」だけでなく、さまざまなサイトでも見ることができます。例えば、国内であれば、株式会社ドワンゴが運営する「ニコニコ生放送」と株式会社CyberZが運営する「OPENREC.tv」といったライブ配信サイトが代表的。

 以前から多種多様なゲームコンテンツが好きな人たちが多く集まるニコニコ生放送は、チャット機能で投稿されたメッセージが画面上を横断する独特な文化(仕組み)によって、見ている人たちのコメントが多くなればなるほど、ネット越しとはいえ視聴者同士で一緒に見ているかのような一体感をより感じやすい場所と言えます。

 一方、ニコニコ生放送より後の2015年からサービスが始まった「OPENREC.tv」もゲーム実況ジャンルのライブ配信が多く集まるサイト。YouTube Liveと同じように、高画質なライブ配信することができるOPENREC.tvでは、動きが激しいシューティングやアクション系のゲーム実況のライブ配信がより多く集まっているように感じます。

 ニコニコ生放送やOPENREC.tvは主にゲーム実況のライブ配信を得意とする日本の人たちが集まる場所ですが、ゲーム実況の文化は日本だけに限らず、海外でも大きな人気があります。海外におけるゲーム実況のライブ配信が集まるのはAmazon.comが運営する「Twitch(ツイッチ)」。TwitchはYouTube Liveと同様に(日本での知名度はまだまだですが)海外では圧倒的な知名度を誇っているライブ配信サイトの代表格です。

プロの活動を目の当たりにできるのもライブ配信サイトならではの魅力

 昨今ではe-Sportsが非常に話題です。すでにご存知の方も大勢いると思いますが、e-Sportsにともなってプロゲーマーも出現しています。プロゲーマーはその名のとおり、ゲームの賞金制大会に出場したり、ゲームをプレイしたりすることによって生計を立てる人たちのこと。YouTubeやTwitch、OPENREC.tvなどでは、国内外の有名プレイヤーのゲーム実況も日々配信されています。さらには、多額の賞金がかかった大会の中継があることも。

 ゲーム実況と言うと「他人のゲームプレイを見るだけ」というイメージを持つ人もいるかもしれませんが、いまや世界を巻き込む一大ムーブメントになりました。それこそ、先述したように「アミューズメント施設でアーケードゲームを楽しんでいるプレイヤーの周りに立ち止まり、ディスプレイに映し出されるプレイ画面を鑑賞する感覚」がパソコンやスマホを通じて全世界の人と共感できるような時代になったのです。

 ゲームというと主に子どもたちが遊ぶもの、と捉えている人もいるかもしれませんが、「ゲーム実況」となれば大人こそが昔を思い出すかのようにハマれるライブ配信かと思います。子どもも大人も年令問わず夢中になれる大きなコンテンツなのです。

ライブメディアクリエイター
ノダタケオ(Twitter:@noda

 ソーシャルメディアとライブ配信・動画メディアが専門のクリエイター。2010年よりスマホから業務機器(Tricasterなど)まで、さまざまな機材を活用したライブ配信とマルチカメラ収録現場をこなす。これらの経験に基づいた、ソーシャルメディアやライブ配信・動画メディアに関する執筆やコンサルティングなど、その活動は多岐にわたる。
nodatakeo.com

カテゴリートップへ

この連載の記事
ピックアップ