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セコムが中国の住宅警備市場に布石、武器は「画像解析力」

2018年04月16日 06時00分更新

文● 週刊ダイヤモンド編集部(ダイヤモンド・オンライン

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セコムは1992年に中国に進出。現在は25都市に拠点を置き、法人向けの警備をしている 写真提供:セコム

 日系ITベンダーが苦戦してきた中国のセキュリティー市場に国内警備最大手、セコムが風穴を開けようとしている。テクノロジーを駆使した警備で培った“ソフトの力”を武器に住宅向け警備事業を拡大する。

 冷蔵庫や空調などを統合制御する「スマートホーム・システム」を手掛ける中国家電大手、ハイアールがセコムに提携を打診。同システムに付加する、中国での警備サービスの開発、提供で連携した。

 ハイアールが評価した“ソフトの力”とは、監視カメラやセンサーで収集したデータから異変を察知すると、警備員が急行するノウハウと人員体制のことだ。

 実はセコムは画像解析のソフトウエアを自社で開発している。セコムIS研究所の目﨑祐史所長は「多様な環境で安定的に使えるという意味でナンバーワン。他社製は誤報が多く、使えるレベルにない」と言い切る。

 監視対象が暗かったり、虫が飛んでいたりすると問題の有無を判断しづらい。そうした環境で正確に状況を把握するこつは「警備をしている会社でないと分からない」と上田理執行役員。映像を見て警備員を急行させ、“誤判定”だった場合、警備員から非難の声が上がる。セコムはこうした失敗を生かして技術を進化させてきた。

 ハイアールは中国で2020年ごろから、年間6万~7万戸に家電の統合制御システムを納入する見込み。セコムはこのうち毎年1万~2万戸と契約し、日本と同水準の1戸当たり月額6000~7000円の警備料を得たい考えだ。

現地ハイテク企業逆襲も

 セコムの中国事業にはリスクもある。その筆頭が不動産バブルの崩壊だ。売り込み先が新築マンション中心なので、開発が中止になれば影響は甚大だ。

 中国の現地企業が強力な競合になる可能性も見逃せない。セコムの脅威になり得る企業は複数あるが、その代表が顔認証ソフトウエアを提供するメグビーである。

 メグビーの強みは扱うデータの量だ。なんと中国の警察が、犯罪防止や犯人の追跡にメグビーの画像解析技術を利用しているのだ。中国アリババ集団のスマホ決済システム、アリペイや中国配車サービス大手、滴滴出行もメグビーの顔認証技術を使っている。

 現時点で、中国のハイテク企業には手足となる警備員がいない。だが、プライバシーにさほど配慮せず莫大な情報を扱える中国は、画像を解析する人工知能(AI)の開発には絶好の場所だ。高性能AIを開発した企業が警備会社と組めば、侮れない相手になる。

 国内2位の綜合警備保障(ALSOK)や同社と組むNECも中国など海外市場に熱い視線を送る。反日感情もある中国でセコムが信頼を得てシェアを伸ばせれば、セキュリティー事業を成長分野に位置付ける日系企業にとっても朗報となる。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 千本木啓文)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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