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アスキー・ジャンク部リターンズ 第202回

たこやき風の定義とは?:

たこ入ってない「ペヤング たこやき風やきそば」が僕を悩ませる

2018年03月29日 12時00分更新

文● モーダル小嶋/ASCII

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 Wikipediaで「たこ焼き」を調べると、こう書いてあります。“たこ焼きは、日本生まれの粉物料理の一種である。小麦粉の生地の中にタコと薬味を入れて直径3-5cmほどの球形に焼き上げた、大阪発祥とされる料理である。直径には大小の2種類があり、近年は「ジャンボたこ焼き」と呼ばれる大型のたこ焼きを売る店が増えているが、家庭では焼きやすい小型のものが多い”。

 多くの人が、この説明にうなずくと思います。では、たこが入っていないたこ焼きがあるとしたらどうでしょうか。関西の人でなくても「?」となるでしょう。それぐらい矛盾した存在だと思うはず。

 まるか食品「ペヤング たこ焼き風焼きそば」。3月5日から発売されています。内容量は120g。価格は190円でした。

パッケージには、たこのイラストがあるじゃないですか

でも、「たこ」は原材料表示にないんですよね

 たこ焼き風の天かすが味の決め手という、まるで「たこ焼き」を食べているような商品とのこと。1食あたり、563kcal。ちなみに原材料表示には「たこ」の記載はありません。

 まあ、「たこ焼き風」ですから、たこ焼きそのものではないことはわかりますよ。しかし、たこが入っていないのに、たこ焼きらしくなるのかといわれると、よくわからないですよね。「〜ですよね」と同意をもとめる表現にしてごまかしましたけど、ごめんなさい、よくわからないです。

ソースがいつものペヤングのものではないですし、「後入れかやく」が斬新

 ペヤングらしくなく、「後入れかやく」として天かすがあります。いつものくせで、うっかりキャベツといっしょにそのまま入れそうになるのですが、「召し上がる直前にお入れ下さい」の指示を守りましょう。

 もう一つ特徴的なのがソースで、写真では「パッケージが違うだけでは」と思われそうですが、香りがかなり違う。比喩的な表現で申し訳ないのですが、屋台で売られているソースのような雰囲気。通常のペヤングには入っていない、かつおぶしエキス、魚介粉末、ビーフエキスあたりが決め手になっていると推測できます。

ソースは色こそ通常のペヤングと同じですが、香りはけっこう違います。

よくかき混ぜます。ソースにねばりけがないので容器の下のほうにたまりがち(ペヤングあるある)

見た目としては普通のペヤングですよね

そこに「たこ焼き風」の天かすを入れるんですよ

できあがりです。たこ焼き要素はありません

 天かすを入れましたが……なんでしょうね。天かすがのったペヤングですよね。かなり精度の低いAIあたりに画像認識をさせても「たこ焼き」とは判定しないのではないかと思います。ただ、天かすとソースの匂いで、いつものペヤングとは違うぞというムードはあります。写真ではとても伝わりにくいのですが。

持ち上げてみたけど……まあ、カップ焼きそばですよね

31歳男性のカップ焼きそばを食べている写真って必要だと思いますか?

いやその、これは、なんていうか……

 食べました。天かすがのせてあるカップ焼きそばです。

 読者からすれば、「ふざけてるのか?」と思うでしょう。でも、そうなんですよ。天かすとカップ焼きそば。少なくとも、たこ焼きの要素はありません。たこ焼き風というには、あまりにもカップ焼きそばなんです。

 ただ、ペヤングに天かすをのせたわけではない。ソースの味も香りも通常とは異なる。変な言い方ですが、ペヤング特有の酸味が薄く、普通のソース焼きそばに近い。そこに天かすが加わるわけですから、通常のペヤングとは一味も二味も異なる食感になっています。派生版としては大いにありです。まるか食品らしく、ジャンキーでチープだけれど、おいしい。

 今回は編集部の席が筆者と近い、家電担当の盛田さんとグルメ担当のナベコさんにも試食していただきました。

家電担当の盛田さん。お子さんが「わんわ」「ばっば」という言葉を話すようになったそうです

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 盛田さん「ソースの風味がおいしいですが、たこ焼き……たこ焼き……? たこが入っていないので『たこ焼き』ではなく『焼き』だと思うのですが、入っているのが天かすなので『揚げ』ですね。揚げ風味になります」

グルメ担当のナベコさん

 ナベコさん「だめな製品かと思っていたら、ペヤングのどぎついソースの風味(酸味がきついのかな)がおさえられ、通常より上品に。もしかしてソースに海鮮風味が加えられているのかもしれない。紅しょうががちりばめられ、屋台で食べる焼きそばのような味です。ただ、天かすがたこ焼きを表現しているらしいけど、言われなかったらちっともたこ焼きを感じない」

 食べ進めていくうちに、ぼくは傲慢だったのかもしれない、と思うようになりました。たこ焼きが食べたいのなら、たこ焼きを食べればよい。当たり前のことです。カップ焼きそばの、それも「ペヤング」のブランドらしさを残しながら、たこ焼きの雰囲気を生み出すことの目指した商品を「たこが入ってないじゃん」と切り捨てるのは乱暴ではないか?

 そもそも、たこ焼き味のスナック菓子がありますが、それらの中でもたこが入っているものは珍しいわけです。ソースと紅しょうが、その他もろもろの味を使って、「たこ焼きの味」にしているわけですから。「たこが入ってないじゃん」と怒る人はあまりいないでしょう。だったら、カップ焼きそばでそれをやってもよいはずでは。

 でも、なんだろうなあ。焼きそばって、ポテトチップスなどと比べれば、たこ焼きに近いといえば近いじゃないですか。鉄板を使う点においても、ソースで味が決まる点においても。だから、もうちょっとこう、たこ焼きに似せられるのではないか、せめてたこを入れるべきではないか。そんな、微妙な不満があるのかもしれません。それはそれで、理不尽な話とも感じられなくはないですが……そもそも「カップ焼きそば」は鉄板で焼いてないだろう的なツッコミもあると思いますし。

 たこ焼きではない気がする。たこ焼きの雰囲気を出そうとしていることはわかる。しかしたこが入ってないのはどうなのか。そもそもたこ焼き“風”とはどうやって決定されるものなのか……。たこやき風やきそばを完食してからも、ずっと、ぼくは悩んでいます。


モーダル小嶋

1986年生まれ。担当分野は「なるべく広く」のオールドルーキー。ショートコラム「MCコジマのカルチャー編集後記」ASCII倶楽部で好評連載中!

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