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ビール副原料が4月から規制緩和も業界から不満が漏れる理由

2018年03月28日 06時00分更新

文● 週刊ダイヤモンド編集部(ダイヤモンド・オンライン

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新商品を発表するヤッホーの井手社長。水曜日のネコは発泡酒のままだが、「価値はしっかり伝えていく」という

 ハーブ、果皮、さらにはかつお節など、4月以降に発売されるビールの副原料が多様化する。酒税法改正によるビールの定義変更で、ビールに使える副原料の範囲が大幅に緩和されるためだ。

 ビール最大手のアサヒビールは、ハーブの一種であるレモングラスを使った「グランマイルド」を発売する。7%の高アルコールながら、ハーブを入れることで雑味の少ない後味に仕上げたという。

 個性的な味わいが特徴であるクラフトビールに注力するキリンビールは、「グランドキリン ひこうき雲と私 レモン篇」などを発売する。レモンピールを使った爽やかな味わいが売りだ。

 今まで対象外の副原料を使った商品は発泡酒の扱いだったが、法改正によりビール表記を狙えるようになる。安い印象のある発泡酒ではなく本流のビールとして売り出せることで、市場が活性化すると各社は期待を寄せる。

 大手各社が従来とは一味違う新商品をそろえる中、クラフトビールメーカーも勝負を仕掛ける。鼻息が荒いのは、13年連続で増収増益を続け、クラフトビール市場の拡大をけん引してきたヤッホーブルーイングだ。副原料にかつお節を使った、ビールと表記する「SORRY UMAMI IPA」を4月から数量限定で発売する。

 大手はある程度の販売数量を目指し、缶酎ハイなどでも人気のかんきつ系の副原料を新商品に使っているのに対し、「かつお節のような珍しい素材を活用できる柔軟さはヤッホーならではだ」とヤッホーの井手直行社長。かつお節のうま味成分が酵母の働きを活性化させることで、華やかな味わいを実現したという。

 もっとも、全てのクラフトビールが定義変更の恩恵にあずかれるわけではない。

人気商品がビール名乗れず

 ヤッホーの主力商品の一つで人気の高い「水曜日のネコ」は、副原料にオレンジピールとコリアンダーシードを使っており、現在は発泡酒の扱い。4月からビールを名乗る予定だった。

 ところが、表記変更はかなわず、4月以降も発泡酒のままとなる。今回の定義変更では、これらの副原料は麦芽の重量の5%までと定められているが、水曜日のネコは副原料の重量が規定を超過していたからだ。

 施行段階になってこうした例も目立ち、業界からは不満の声が漏れてくる。そもそも今回追加された副原料は、使用実績のあるものが中心で、品目は限定されている。ビールと名乗れない以上、対象外の副原料を使用した商品の開発はしづらい。

「海外ではもっと自由に副原料を使える。対象拡大を今後訴えていく」と、あるメーカー幹部。

 定義変更で市場が活性化すると前向きに捉える各社だが、本当のビール多様性の実現には、まだ課題があるようだ。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 山本 輝)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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