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紙の時代は終わらない、HPの研究者がそう自信をもって言う根拠は?

2018年03月26日 09時00分更新

文● 小林 久 編集●ASCII

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  • 本文印刷

プリンティング事業は今後も成長しうる

 取材の最後にHopkins氏は、プリンティング事業の今後の成長を約束した。

Hopkins 「ひとつ最後に申し上げたいのは、(新しい分野ではなく)既存のコア事業でもプリンタはグローバルに成長しうるという点です。それは一桁かもしれないが、縮小でも横ばいでもなく、成長を続けている。さらに産業用・商業用の印刷という新しい領域でデジタル印刷の伸びしろは多い。思い出してほしいのは、印刷物が常に皆さんの身の回りにある点。そしてこれらは従来のアナログ印刷からデジタル印刷へと確実に移行しつつあるのです」

プリントの市場規模(TAM)。一番の成長分野はGSBと呼ばれる商業・産業印刷で、デジタル印刷がアナログ印刷の2.5倍の成長を遂げている。またA3を含めたオフィス向け機器も微増。個人向けの規模は減少するが、モバイルプリンティングなど新しいカテゴリーが生まれつつある

 Hopkins氏は取材の中で、ディープラーニングで解析した最新の研究事例を引用し、紙はデジタルより理解しやすいとコメントしていた。Focus(集中)、Comprehension(把握)、Retention(記憶への残りやすさ)という3点でデジタルに勝ると語った。スマホを渡すとすぐに飽きてしまう子供でも雑誌や書籍は長く読み続けられるのだそうだ。

 同時に紙の書類は、前後をめくってページを行き来したり、仕分けして並べなおしたり、机に複数枚を並べて一覧するなど、電子では実現しにくい利便性を持つ。情報の理解や保持という観点でのメリットもあり、ビジネスの現場での有用度も決して下がっていない。こうした紙の特徴を適切に取り入れながら、デジタルとの連携をとっていくことが求められている。

 印刷は衰退する分野ではなく、これまでの枠を破り新たな革新の呼び水にもなる。そんな可能性を模索できる分野と言えそうだ。

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