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三菱重工との合弁会社に日立が「改革派急先鋒」を送り込む真意

2018年03月19日 06時00分更新

文● 週刊ダイヤモンド編集部(ダイヤモンド・オンライン

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改革に挑む西野氏。大型ガスタービンの受注が減少する分、保守サービスを増やす必要がある Photo:kyodonews

 日立製作所の4月1日付役員人事が波紋を呼んでいる。その人事とは副社長の西野壽一氏を三菱重工業との火力発電機器合弁会社、三菱日立パワーシステムズ(MHPS)会長として送り込むというものだ。

 火力発電機器業界は世界的な再生可能エネルギーへのシフトで逆風下にあり、最大手の米GEは1万2000人、2位の独シーメンスは6900人を削減する。

 MHPSの業績も振るわない。2014年の設立時は世界一の火力発電機器メーカーになることと、20年の売上高2兆円を目指したが、現状の売上高は約1兆円だ。

 そんな中、MHPSは国内4カ所の工場の役割を見直し、効率化を図るが、日立には、「元三菱重工の長崎工場はなくせる」(日立中堅幹部)との声が根強くある。

 MHPS株式の35%を出資する日立は「MHPSをどう立て直すか三菱重工に問い続けているが満足のいく回答はない」(日立幹部)。

 日立の不満は拠点集約にとどまらない。GEは、顧客である発電事業者にガスタービンの保守や発電を効率化するサービスを提供して囲い込むが、MHPSはこの分野で出遅れている。

 その上、日立には電力需要を予測して発電を効率化する技術で実績があるのに、三菱重工はあくまで自社主導にこだわり、日立とは別のサービスをMHPSで始めた。

 IoT(モノのインターネット)を成長の柱にする日立にとって、データ解析による合理化で成果を出しやすい発電分野で実績を作る機会を失うのは大きな損失だ。

 このように課題が山積する中で日立が白羽の矢を立てたのが、ソフトな外見とは裏腹に「仕事には厳しく、怖い」と評判の西野氏だ。

 半導体の技術者である西野氏は、三菱電機と半導体事業を統合してできたルネサステクノロジ(現ルネサスエレクトロニクス)の役員として人員削減や生産拠点のスリム化を断行。NECの半導体子会社との統合でも各社の技術を整理する難交渉をまとめた。

重工・宮永社長と朋友関係

 4月からはMHPS会長に加え、電力事業出身者で占められてきた日立の電力部門トップ(=電力担当副社長)に初めて部門外から就任する。「20年の発送電分離で激変する業界に対応しろという東原敏昭社長のメッセージが込められた人事だ」(日立幹部)という。

 三菱重工関係者は改革派の西野氏に戦々恐々としているが、恐怖をさらに増幅するのが三菱重工の改革派、宮永俊一社長と西野氏が気脈を通じていることだ。

 日立と三菱重工の統合が11年に破談になった後、「やれる分野で進めよう」と当時の社長室長の宮永氏と戦略企画本部長だった西野氏が交渉を重ね、誕生したのがMHPSだ。もとよりMHPSの安藤健司社長は剛腕で知られる。西野氏が会長になれば抜本改革の役者がそろう。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 千本木啓文)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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