HBMが第2世代に進化
類似規格のGDDR6とうまく棲み分け
もともとHBMはAMDとHynix(メモリーチップ)、UMC(Silicon Interposer)、Amkor(実装)の4社の共同開発による独自規格であったが、2013年にJEDECに標準化の提案がなされ、2015年にJESD235Aとして標準化が完了したことで他のメーカーもこれに参加し始めてた。
HBMの世代では採用例はAMDのみであったが、第2世代として信号速度を2Gbps(第1世代は1Gbps)にするとともに、メモリー容量を最大8GB(第1世代は4GB)に増量したHBM2は、SK HynixのみならずSamsungも量産を開始しており、またさまざまなベンダーがHBM2対応のIP(SoC用のライブラリー)を提供するなど一気に市場が盛り上がりつつある。
ちなみに競合する規格はGDDR6ということになる。こちらは従来のGDDR系の最新規格で、最大16Gbpsの転送速度を持つ。ただ競合といっても、現実問題としてはあまり競合していない。理由はスペックと価格が大きく異なるからである。スペックを比較すると以下になっている。
HBM2とGDDR6の比較表 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
HBM2 | GDDR6 | |||||
信号速度 | 2Gbit/pin | 8~16Gbit/pin | ||||
バス幅 | 1024bit(128bit×8) | 16/32bit | ||||
メモリー容量 | 2/4/8GB | 4/8Gbit |
メインストリーム~ローエンドのビデオカードにはHBM2はややオーバースペックであり、価格も高めとなるので、こちらにはGDDR6が適当となる。その一方で、ハイエンド向けあるいは実装面積が厳しい用途にはHBM2が向いている。
インテルがKabyLake-GでHBM2を採用したのは、外付けでGDDR6をつないだらパッケージが相当大きくなるため、とてもではないがNUCや2-in-1には収まらないし、だからといってメインメモリーと共用にしたらこちらがボトルネックになって描画性能が上がらないためである。
ちなみにロードマップではこの先、さらに高速化されたHBM3やHBM4も予定されている。どこまで製品が出てくるかはわからないが、GPUやアクセラレーターなどの用途に広く使われていくことになるだろう。
※お詫びと訂正:記事初出時、表の一部に誤りがありました。記事を訂正してお詫びします。(2018年3月19日)
この連載の記事
-
第768回
PC
AIアクセラレーター「Gaudi 3」の性能は前世代の2~4倍 インテル CPUロードマップ -
第767回
PC
Lunar LakeはWindows 12の要件である40TOPSを超えるNPU性能 インテル CPUロードマップ -
第766回
デジタル
Instinct MI300のI/OダイはXCDとCCDのどちらにも搭載できる驚きの構造 AMD GPUロードマップ -
第765回
PC
GB200 Grace Blackwell SuperchipのTDPは1200W NVIDIA GPUロードマップ -
第764回
PC
B100は1ダイあたりの性能がH100を下回るがAI性能はH100の5倍 NVIDIA GPUロードマップ -
第763回
PC
FDD/HDDをつなぐため急速に普及したSASI 消え去ったI/F史 -
第762回
PC
測定器やFDDなどどんな機器も接続できたGPIB 消え去ったI/F史 -
第761回
PC
Intel 14Aの量産は2年遅れの2028年? 半導体生産2位を目指すインテル インテル CPUロードマップ -
第760回
PC
14nmを再構築したIntel 12が2027年に登場すればおもしろいことになりそう インテル CPUロードマップ -
第759回
PC
プリンター接続で業界標準になったセントロニクスI/F 消え去ったI/F史 -
第758回
PC
モデムをつなぐのに必要だったRS-232-CというシリアルI/F 消え去ったI/F史 - この連載の一覧へ