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「kintoneは世界を幸せにするかもしれない」は本当かもしれない

試行錯誤の業務改善がリアルに伝わるkintone hiveを君は体験したか?

2018年03月16日 09時00分更新

文● 大谷イビサ/Team Leaders

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サイボウズが主催するkintoneのユーザーイベント「kintone hive」の季節が今年もやってきた。福岡と仙台のkintone hiveに参加してきたが、業務改善を進めるチームリーダーたちの「リアル」を垣間見た圧倒的な説得力に大きな感銘を受けた。

「kintoneは世界を幸せにするかもしれない」

kintoneと出会って得た新しいITの価値

 3月7日に開催された福岡のkintone hiveには、九州に根を張ってビジネスを展開する5つの企業・組織が登壇。Excelによる営業管理からの脱出を目指したピー・シー・エー九州、ママの復職支援のためにkintoneを活用するママワーク研究所、失敗事例を惜しげなく語り尽くしたハウコム、病院での利用を根付かせる仕掛けを作ったカクイックス、用途ごとに連携するアプリを営業現場から作り上げたエコー電子工業など、kintone導入・運用のベストプラクティスと業務改善ノウハウ満載の内容だった。

 そして3月15日、初開催となった仙台のkintone hiveでは、kintone AWARD 2017でグランプリを獲得した京屋染物店の蜂谷悠介氏が凱旋セッションともいえる基調講演を担当した。染物屋という衰退産業の中で必死にもがき続けた社長が、kintoneと出会って、なんのために働くのかを改めて見いだすという一連のストーリーは、圧倒的な説得力を持って胸に迫る。チームとしての成長を目指し、働き方を変えていくため、「社長と同じ情報を社員にも持たせる」という方針は、時代を生き残るための組織作りに必要な考え方だと思えた。

kintone AWARD 2017を獲得した京屋染物店の蜂谷悠介氏

 仙台会場では、その後もパワフルなセッションは続く。「女性に生まれて損した」という衝撃的なタイトルで女性の生きがいと業務改善のストーリーを披露した辻野社労士事務所、田舎の縫製工場で新規ビジネスを切り拓いた廣瀬産業、営業現場の見える化と働きがいを実現した東北コピー販売、人口5000人の村の灯油屋を再生させた矢内石油など、どれも地方のビジネス課題や新しい働き方、組織のあり方を考えさせる素晴らしい内容だったと思う。コスト削減だけのITとは異なる、ITの次の役割を感じさせるセッションだった。

一足飛びに業務改善が進んだ成功談なんて出てこない

 情シスではなく、現場部門のユーザーが8割を占めるというkintoneのイベントなだけに、どのセッションも現場のヒリヒリした感触が生々しい。経営者やマネージャーの登壇も多く、内容も「ビジネスが衰退していく」「人がいなくなる」「テクノロジーが思うように使えない」「周りの人たちが理解してくれない」など正直逆境だらけ。「kintoneを導入したら、業務改善が一気に進んでみんなハッピー」なんて武勇伝はどこにも出てこない。さんざん試行錯誤し、手を尽くして作り直したあげく、ようやく手にした価値の尊さに、聴衆のわれわれは心を打たれる。

試行錯誤の結果が惜しげもなく披露されるkintone hive

 それもそのはず、どのセッションも自ら能動的に業務を変え、働き方を変え、生き方を変えてきた人の体験談ばかり。IT系のイベントに慣れた参加者はある意味面食らうかもしれない。しかも、失敗してもkintoneを捨てずにスクラップ&ビルドを重ねたユーザーの多いkintone hiveは、昨年に比べてもかなり「エモい」と言える。実際、福岡と仙台のkintone hive初参加したクラウドエンジニアに感想を聞いたところ、「普段聞けない話が聞けた。新鮮だった」と感想を漏らした。テクノロジーによるゲームチェンジに熱狂するAWSのイベントとはまた違った角度で、きちんと興奮できるイベントに仕上がっている。

 今年のkintone AWARDは、福岡、仙台、名古屋、大阪、東京のkintone hiveで、それぞれ代表が選ばれ、11月のCybozu Daysの本選に進むことになる。各地域で選ばれた登壇者の話がまとめて聞けるという点ではCybozu Daysも楽しみなのだが、惜しくも選に漏れた企業や団体の話も甲乙付けがたい。残り、名古屋、大阪、東京の3箇所はぜひ会場に足を運んでもらいたい。

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