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パナが展開する医療・ペット用消臭剤、実は「オヤジ臭」に効く

2018年03月13日 06時00分更新

文● 週刊ダイヤモンド編集部(ダイヤモンド・オンライン

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オストメイト向け携行が可能な
消臭シリーズの本格的拡充

左手の白いラベルのボトルが医療・介護施設のプロ向け、中央の黒いラベルのボトルが犬向け、そして右側のオレンジ色のラベルのボトルが医療現場の看護師などを含む一般消費者向け。一部は、既にアマゾンなどでも販売されている Photo by Hitoshi Iketomi

 この2月より、パナソニックは、“臭い”が気になって外出が億劫になりがちだというオストメイトの方々や家族向けに、携行が可能な「消臭剤」(二オフ)シリーズの本格的拡充に乗り出した。

 オストメイトとは、病気や事故などが原因で手術を受けて、お腹に便や尿の出口(人工肛門、人工膀胱)を付けている人たちの総称で、日本全国に20万人以上いるとされる。ストーマ患者ともいう。

 パナソニックの消臭剤は、「脱臭」(臭気を物理的な作用などで除去または緩和する)ではなく、「消臭」(臭気を化学的な作用などで除去または緩和する)に主眼を置く。

 平たく言えば、スプレーを吹きかけるだけで、ニオイ分子を化学的に組み換えて、その場の臭いを消すという即効性が“売り”だ。

 例えば、オストメイトの方々は、普通に社会生活を送っていることから、外見では全く区別できないが、既に括約筋を失っているため、いわゆる我慢ができず、流れ出る便や尿はお腹に装着したパウチ(袋)の中に貯めておかなくてはならない。その際、スプレーを吹きかければ臭いはなくなる。

 もちろん、身に付けるパウチは最初から臭いが外部に漏れないようになっている。だが、トイレの汚物流しなどでパウチを取り外す際には、便や尿は臭気を発する。そんな場合でも、臭いは消せる。

 消臭剤の開発主体となったパナソニックエコソリューションズ化研の永安孝弘開発・渉外グループ長は、「二オフは、臭いのある場所にすぐに利く」と強調する。

 同社は、50年前に旧松下電工(現パナソニックエコソリューションズ)の傘下に入った化学メーカーで、今も塗料や接着剤などの製造が中心だが、1980年代の半ばから化学の材料設計の技術を応用して消臭剤の開発を手掛けてきた。

隠れた用途は「おじさん向け」

 その延長線上に、2016年夏から始めた医療・介護施設のプロ向け消臭剤があったのである。

 翌17年には、犬の便臭や尿臭、ペット臭などを分子レベルで分解して消臭する「犬のトイレまわり向け消臭剤」へと用途展開した。

 パナソニックエコソリューションズ化研では、ペット臭の原因は「ノネナール」という物質にあると考えて、その場で化学的に処理する技術(方法論)を確立した。

 同社の塚本政介代表取締役専務は、「二オフ・シリーズが狙うのは、市場は既存の消臭剤市場とは別のゾーン(100億円)。だが、一般消費者の認知が進めば、市場は拡大する可能性がある」と打ち明ける。

 独自の技術でプロ向けの市場を狙うとはいえ、一般消費者向けでは米P&Gの「ファブリーズ」や花王の「リセッシュ」がどっしり座る消臭剤の市場規模(約600億円)と比べれば、パナソニックが新規参入する事業で100億円とは規模が小さい。加えて、新方式の消臭材は、技術が異なるとしても、先行する2社より価格が高い。

 ところが、「突破口」がないわけではない。先に、犬向けの消臭剤はノネナールという物質を撃退すると述べた。これは、人間のおじさんたちの加齢臭の撃退にも効果があるという。要は、ニオイ成分が犬のペット臭と同じなのだ。

 もっとも、常に世の中の消費者から嫌われたくないパナソニックとしては、「中高年男性の加齢臭対策に!」などとあからさまな宣伝はできない。しかし、市場でブレイクするには、臭いに別の香りを被せる従来の方式と異なり、瞬時に化学的に処理する“違い”を認識してもらう必要がある。

 いかにして、一般消費者に理解してもらうか。パナソニックは、後発である以上、特徴のある訴求ができなければ、市場からの退場を余儀なくされるだろう。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 池冨 仁)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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