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「いきなり!ステーキ」そっくり店も、ステーキ市場の熱き戦い

2018年03月12日 06時00分更新

文● 週刊ダイヤモンド編集部(ダイヤモンド・オンライン

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人気のステーキ業態。一瀬社長は「ステーキをブームではなく文化にする」と豪語する Photo:PIXTA

ステーキ市場が熱い。勢いに乗る「いきなり!ステーキ」は今年、200店舗の出店を計画し、怪気炎を上げる。他社からそっくりな店が登場し、さらにはブロンコビリーが頭角を現す。大人気市場はどう優勝劣敗を決するのか。(「週刊ダイヤモンド」編集部 山本 輝)

「これ、完全にうちのまねですよね」。大人気ステーキ店「いきなり!ステーキ」を手掛けるペッパーフードサービスの一瀬邦夫社長は電話口に向け、怒気をはらんだ声で問いただした。電話の相手は愛知県を中心にステーキ店を展開するあさくまの首脳。1月に東京・九段下であさくまの新業態店「やっぱりあさくま」がオープンした。その内装や量り売りのシステムがいきなり!にそっくりだと、一瀬社長は憤慨していた。

 実は昨年11月、特許を取得していたいきなり!の量り売りシステムが異議申し立てによって取り消されていた。あさくまの首脳は、いきなり!に似ていることを認めつつも、「裁判になってもこちらは負けませんけどね」と、あくまで強気だった。

 焼きたての肉を載せた鉄板のように、ステーキ外食市場が熱い。ホットペッパーグルメ外食総研が実施した調査によると、今年1月の「焼肉、ステーキ、ハンバーグ等の専業店」の市場規模は前年同月比で7.5%増(3圏域)。11ヵ月連続で前年比増と好調だ。

 そのけん引役がいきなり!だ。高原価率の商品を提供する一方、客の回転率を高めることで利益を生み出す特徴的なビジネスモデルで急成長している。

 手軽に食べられる厚切り肉が消費者の胃袋をつかみ、「肉マイレージ」という独自の会員カードシステムなども奏功。2017年度(12月期)には常識外れともいえる71店の新規出店を果たした。

 売上高は前年度比62%増の362億円。その成長力は他社から羨望の的となっている。勢いは止まらず、今年度は一気に200店の新規出店計画をぶち上げた。

 原動力はフランチャイズ(FC)店の拡大である。いきなり!は従来、都心部を中心に展開してきたが、17年からは郊外型店舗の展開にも成功し、出店の余地が大幅に拡大した。郊外店では、ラーメンチェーンの幸楽苑とFC契約を結ぶなどの外部提携も活用する。200店のうち、120店はFCで出店する計画だ。

 いきなり!人気にあやかりたい他社からの持ち込み案件も後を絶たないといい、ロードサイドの衣服店などとの協業も話題に上る。まさに引く手あまたである。

 懸念は急激な出店によるひずみだ。その一つが人材確保だ。

 いきなり!では現在月に約50人近い社員を新規採用しているが、それでも「その半分は退職していく」(ペッパーフードサービス幹部)という。外食業界で人手確保が課題になる中、店長級の人材の長期的な育成という宿題を抱える。

 全速前進ぶりに危うさも漂うが、それでもアクセルを緩める気配はない。片や同業のブロンコビリーは、目下、逆の局面にある。

懸念材料は正反対も勝ち組は
いきなり!&ブロンコビリー?

 ブロンコビリーのスタイルは、いきなり!とは別物。FCではなく直営店をじっくり育てる戦略で、名古屋を中心に展開してきた。

 サラダバーなどが人気のフルサービス型のステーキ店であり、地方の郊外を中心に出店。ここ数年で東京圏へと進出し、駅前立地なども増やしている。

 派手さはないが、店舗数は毎年約10店ずつ拡大。経常利益率は直近で12.7%と外食では群を抜いて高い。しかし、17年度(12月期)は8年連続の増収増益を逃した。千葉県など、ここ数年で出した店舗の集客力が弱く、軌道に乗らなかったことなどが影響した。

 同社の懸念は、いきなり!の逆。出店の勢いを加速できるかにある。

 ここ数年は期初に立てた出店計画が未達となることが多かった。17年には出店戦略を担ってきた店舗開発の責任者が退職したこともあり、「今後居抜き店舗が増えるなど、開発力に衰えが出るのでは」とある業界関係者は指摘する。

 ブロンコビリーの竹市克弘社長は「昨年4月に組織を再編し、新たに関西にも拠点を置いた。既に出店が決定している場所も多く、むしろ出店数は上振れを狙える」と意に介さず、今期は関西を中心に15店の出店を計画する。足元ではランチのキャンペーンなどで、客数は回復傾向にある。

 懸念材料が正反対のいきなり!とブロンコビリーだが、そろって成長性への期待は大きい。ある外食企業幹部は「ステーキ業態で将来性がある企業は、この2社に絞られた」と言い切る。「KENNEDY」を展開していたステークスが昨年破産するなど、優勝劣敗が見えつつあるという。

 肉消費の拡大は一過性のブームとみる向きもあるが、「ステーキ市場自体はまだまだ小さい」と竹市社長。拡大の余地は十分にあると言う。となると、第2、第3のいきなり!“そっくり店”が出てくるやもしれない。さらなる混戦もあり得よう。


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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