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ゼネコンのリニア談合で逮捕者、地検特捜部の次の狙いは?

2018年03月12日 06時00分更新

文● 週刊ダイヤモンド編集部(ダイヤモンド・オンライン

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地検と徹底抗戦の大成建設(東京都新宿区)。約3カ月間で25回の任意聴取に応じたにもかかわらず逮捕された、と怒り心頭に発する Photo by Hiroaki Miyahara

 今月2日、リニア中央新幹線の工事をめぐる談合事件が、とうとう大手ゼネコン幹部らの逮捕に発展。ゼネコン業界に衝撃が走った。

「まさか逮捕に踏み切るとは思わなかった。見せしめとしか思えない」と大手ゼネコン幹部は言う。

 見せしめと断じるわけは、東京地検特捜部により独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑で逮捕されたのが、談合に関わったとされる4社のうち、容疑を否認する2社、すなわち大成建設と鹿島のリニア担当者だけだったからだ。

「到底承服致しかねる。嫌疑をかけられている内容は独禁法違反に該当しない」

 逮捕という事態に、そう地検との対決姿勢をあらわにした大成に限らず、ゼネコン側には談合という意識は希薄だ。談合を認めた清水建設も社内弁護士が独禁法の課徴金減免(リーニエンシー)制度の活用を勧め、不承不承ながらだったという。4社以外のゼネコン幹部は心情をこう代弁する。「例えるなら、時速100キロ制限の高速道路を105~110キロで走っていたら捕まったという感じだろう」。

 逮捕に至った以上、起訴は避けられそうもなく、そうなれば対決の場は法廷へ移る。だが、立証のハードルは低いとは言い難い。

「独禁法違反の犯罪とはいえない」と地検を批判するのは、元検事の郷原伸郎弁護士だ。

「独禁法の『不当な取引制限』は、一定の取引分野で競争の制限があった場合を処罰の対象とする。リニア工事全体ではなく、(容疑となった)2駅の工事だけでは難しい。仮に、2駅を一定の取引分野と仮定しても、大成と鹿島は、受注した大林組と清水に協力しただけの立場。互いに持ちつ持たれつで合意を実行する『相互拘束の関係』とはいえない」

 片や、元公正取引委員会首席審判官の鈴木満弁護士は、「事案の重大性に加え、『談合決別宣言』を出した大手ゼネコンが、受注調整をしていたことを考えると悪質。ゼネコンの認識が甘過ぎる」と切って捨てる。その一方で「証拠がまだ不十分のため、逮捕に踏み切ったと考えられる。失敗すれば面目丸つぶれ。地検の威信に懸けて徹底的にやるということ」と言う。

次は南アルプストンネル?

 実際、地検による大成と鹿島への攻勢は「これからが本番だろう」と別の業界関係者は言う。前述のように今回の逮捕容疑は「品川駅」と「名古屋駅」の二つの新駅建設工事で、受注したのは大林と清水という白旗組。だが、両社はリーニエンシー制度を使ったが、調査開始後だったため30%の減免になり、有罪になれば数十億円規模の課徴金が科せられかねない。

「否認する2社に課徴金を科せられる事案が立件されなければ不公平」と前出の関係者。特捜部の次の狙いは、大成と鹿島が受注した南アルプストンネル工事の立件と目されている。リニア談合事件は、ゼネコンと地検いずれの汚点と刻まれるのか。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 宮原啓彰)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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