このページの本文へ

インバウンドマーケットEXPO2018第9回

Tech×サービスのインバウンドマーケット挑戦企業

「水orスマホ」進化する宿泊アメニティ

2018年03月12日 07時00分更新

文● 重森大 編集●北島幹雄/ASCII STARTUP

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 インバウンドマーケットEXPO 2018に出展していたブースで目立ったのは、やはり翻訳系サービス。続いて、日本国内でのコミュニケーションをサポートする無料SIMや無料スマートフォンのサービスだ。個別技術は目新しいものではないが、翻訳は精度が向上したこととクラウドの活用が進んだこと、コミュニケーションサービスにおいては、顧客導線と結びつけることで新たなビジネスを生み出そうとしているところに注目したい。それらが特にわかりやすかった3社のサービスをピックアップして、紹介しよう。

宿泊客向けに無料スマホを提供するハンディが日本でもサービスを開始

 スマホを使ったコミュニケーション系のサービスとしては、海外で実績を持つ「handy」がブースを出展していた。2017年夏から日本国内でサービスを開始、9月末までの1年間無償キャンペーンを実施してすでに23万台を国内に展開したという。1年間無償で利用できるとはいえ、かなりの普及スピードだ。

ホテルのフロントをモチーフにしたブースが目を引いた

 Handyは、ホテルの客室に備え付けることを想定した貸出用スマホ。宿泊客は自分のスマホの代わりにhandyを持ち出せば、通話やデータ通信を無料で使える。端末自体はAndroidベースになっているので、宿泊客が自分のGoogleアカウントを登録すれば、普段自分が使っているアプリをダウンロードして使える。アプリをダウンロードしてログインすれば、FacebookやInstagramへの投稿、Messengerを使った連絡にも、普段通りのアカウントを使えるのだ。しかも無料で。使用開始時に設定したチェックアウト日の12時になると自動的に初期化される仕組みになっているが、不安を感じる場合は宿泊客自身が操作して登録した情報の消去を確認することもできる。安全なだけではなく、安心感を重視したつくりと言えるだろう。

客室に備えるべきアメニティーはミネラルウォーターかhandyか、と訴える

 宿泊客が無料で利用できるhandy、利用料を負担するのはホテル側だ。部屋に備えるアメニティーのひとつとして手軽に備えられるよう、1台あたり月額980円という価格設定になっている。これは、ミネラルウォーターを1本用意するのとほぼ同程度のコスト負担だという。handyのキャッチコピー「Water or handy?」と、ミネラルウォーターを備えるかhandyを備えるかと問うものだ。

 通話やデータ通信を無制限に提供するhandy japanの収益源は、ホテルから得られる月額980円の利用料だけではない。全国各エリアに展開したhandy端末は、旅行客に直接アクセスできるパネルとなり、ここに掲載する広告が収益のもうひとつの柱となる。旅行客が手にしているスマホに直接広告を表示できるので、誘導効果は高そうだ。ただでさえ旅行客に絞り込まれているうえに、ターゲットエリアを限定しての出広も可能というから、広告媒体としての魅力は高い。今後の展開が楽しみなサービスのひとつだ。

初めてのハードウェアビジネスでインバウンド業界に挑むソースネクスト

 翻訳系サービスの多くは、スマートデバイスを前提としたものだった。スマホアプリやウェブアプリとして提供され、旅行者や観光地の日本人が手持ちのスマホにインストールして使うイメージだ。そうしたブースが並ぶ中で異色を放っていたのが、専用ハードウェアを用意してきたソースネクスト株式会社だ。同社はこれまでパッケージソフトをメインにビジネスを展開してきたが、今回初めて専用ハードウェアを開発、翻訳マーケットに投入してきた。

手のひらサイズのハードウェアは写真のブラックのほかホワイトカラーも選べる

 「初めて取り組む、ハードウェア在庫を持つビジネスということで、ソースネクストとしても気合を入れて開発を進めてきた」と担当者が語るのは、「POCKETALK(ポケトーク)」という翻訳機。対応言語は60を超え、一部は翻訳結果がテキスト表示になるものの、40言語以上は日本語と外国語の双方で音声入出力が可能だ。スマホアプリのように煩雑な操作は必要なく、ジェスチャーコントロールに対応したタッチパネル液晶とキー操作で直感的に操作できるのが特徴だ。

 ハードウェア内に音声認識機能、テキスト読み上げ機能を持たせ、翻訳自体はクラウド上の翻訳エンジンを活用する。聞き取りや発話の機能をハードウェア側に実装することで、クラウドとのやりとりをテキストだけにし、通信量を抑えレスポンスを高めている。また、翻訳エンジンは随時進化していくので、今後の翻訳制度の向上や対応言語の増加なども期待できそうだ。

 クラウドの翻訳エンジンを使う仕様上、インターネットへの接続が前提となる。日本国内で迎える側であれば、Wi-Fi環境を用意しておけば問題ない。もしくは同社がオプションとして発売する専用グローバルSIMを使って、海外に持ち出して利用することも可能だ。同社ウェブサイトでSIMパッケージをチェックしたところ、IoTに特化したネットワークサービスを提供するSORACOMのグローバルSIMが採用されている模様。利用可能な国や地域が広いので安心して使えるのが嬉しい。

ウェブサイトの多言語対応を自動で安価に提供するミニマル・テクノロジーズ

 インバウンド市場に対応する上で欠かせないのが、ウェブサイトを多言語対応させること。外国語での検索で見つけてもらうことを望むなら、必須といっていい。しかし、従来手法によるウェブサイトの多言語化はハードルが高かった。制作会社に多額の費用を支払い、制作、開発に長い時間を必要とするのが一般的だった。ページ数が多いサイトではそのコストが数百万円から数千万円にのぼることも。

 株式会社ミニマル・テクノロジーズは、こうした多言語化のハードルを下げ、ウェブサイトを最短5分で最大30ヵ国語に翻訳してくれるサービス「WOVN.io」を提供する。2014年6月のサービス開始以来、1万以上の事業者に利用されており、標準機能については2017年の12月8日から無料で提供されている。ポイントとなるのはシンプルなUIと、エンジニアを必要としない導入の容易さだ。簡単な会員登録をすませたあとは、新規プロジェクト作成画面でプロジェクト名、翻訳したいウェブサイトのURL、元言語と翻訳したい言語を3言語まで選択するだけ。有料版である「WOVN.io PRIME」であれば、最大30ヵ国語まで選択することが可能だ。

ミニマル・テクノロジーズブースにて

 設定だけではなく、ウェブサイトへの導入も簡単だ。WOVN.ioが提供する1行のスクリプトをHTMLに挿入するか、WOVN.ioが提供するライブラリを自社のサーバーに追加するだけ。これだけで、ウェブサイトの多言語対応をスタートできるのだ。ライブラリ方式での導入なら、外国語検索への検索結果表示にも対応するので、海外からの検索結果にもヒットする。また、元のサイトURLに言語コードを付与し、翻訳言語別にページURLを生成することもできる。

 HTMLそのものを変換するのではなく、ウェブサイトからのレスポンスを変換する仕組みにより、動的なウェブサイトにも対応。CMSを使ったウェブサイトや、会員ページのように毎回違う情報が表示されるサイトでも安心して使うことができる。

 肝心の翻訳機能だが、機械学習による精度の高い自動翻訳を使い、ウェブ全体を手間をかけずに多言語対応させられる。このように無償、自動翻訳とスモールスタートできることが魅力のひとつだが、使い込んでいけば柔軟性の高いサービスでもある。気になる場所を自分で手直ししたり、個別のページごとにプロに翻訳を依頼したりと、柔軟な対応が可能になっている。ユーザー辞書機能もあり、複数のページに表示されるコンテンツに対して、一括して翻訳を反映させることが可能だ。テキストを含む画像を対応言語ごとに置き換える機能も備える。

 まずは無償、自動翻訳から。その後ステップ・バイ・ステップで多言語対応をより完全なものにしていくといった進め方ができるのが嬉しいところ。いますぐ始められて、先々ではより自然な多言語対応を目指す、事業者のペースに寄り添ってくれるサービスと言えるだろう。

カテゴリートップへ


この特集の記事
注目の特集
ライトニングトーク
最新記事
  • アスキー・メディアワークス
  • 角川アスキー総合研究所
  • アスキーカード
  • アスキーの本と雑誌
  • 電撃オンライン - 電撃の総合ゲーム情報&雑誌情報サイト!
  • 電撃ホビーWEB - 電撃のホビー雑誌・書籍&ホビーニュースサイト
  • 電撃文庫 - 電撃文庫&電撃文庫MAGAZINEの公式サイト
  • 電撃屋.com - 電撃のアイテムを集めた公式ショッピングサイト!

IoTイベント(300x100)

アスキーストア(300x100)

スタートアップお勧め動画

ピックアップ