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私たちの働き方カタログ第21回

8ヶ国のメンバーとグローバルに挑むヌーラボ

多国籍チームでの働き方は地雷を踏み続けて正解を目指す

2018年03月07日 09時00分更新

文● 大谷イビサ/Team Leaders 写真●曽根田元

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その会社にはその会社ならではの働き方がある。みんなの働き方改革・業務改善を追う連載「私たちの働き方カタログ」の第21回は、福岡のソフトウェア企業ヌーラボ。8ヶ国の外国人とともに働く環境について代表取締役の橋本正徳氏に話を聞いた。

ヌーラボ代表取締役 橋本正徳氏

好きな人を採用していったらたまたま外国人だった

 労働力不足にあえぐ日本での外国人労働者は2017年10月の時点で約128万人(厚生労働省調べ)と過去最高を突破。東京の新成人の8人の1人はすでに外国人という報道もされている。東京都内の飲食店やコンビニエンスストアを見れば、受け入れるか、受け入れないかという話ではなく、すでに外国人労働者なしでは日本経済が立ちゆかないことを素直に理解できるはずだ。こうした中、8ヶ国の外国人と日本人がいっしょに働いているのが、福岡のソフトウェア企業ヌーラボである。

 プロジェクト管理ルール「Backlog」やビジネスチャット「Typetalk」などを手がけるヌーラボは今年創業14年目を迎える。福岡本社のほか、東京、京都、ニューヨーク、シンガポール、アムステルダムに拠点を持つグローバル企業で、福岡本社にはインドネシア、ドイツ、フランス、スイス、オーストラリア、カナダ、台湾、スウェーデンなどのさまざまな国のメンバーが集まっているという。

 とはいえ、「グローバル展開しているから」とか、「人手不足だから」ということで、外国人を意図的に増やしたわけではない。「戦略が特にあるわけではないんです。好きな人を採用したら、たまたま外国の人だっただけ」と橋本氏は語る。

 当然、外国人といっしょに働くのを前提にした制度やテクノロジーも整えている。制度面では、外国人メンバーが故郷の国に戻るのを前提に、有給休日を初年度10日、2年目から20日間フル支給している。また、日本人には英語学習の手当、逆に外国人には日本語学習の手当を用意しているという。

 言語に関しては、チャットツールや社員総会などの会議はルールとして英語で進行されている。「日本人だけの簡単なミーティングは、もちろん日本語でOK。ただ、外国人が一人でもいるのであれば、マナーとして英語でやってもらっています。日常的でも普通に英語を話しているので、入社したばかりの人は驚くかもしれません」(橋本氏)。

最大限のダイバシティに配慮する理由とは?

 とはいえ、外国人労働者就労は法制度も複雑だ。「たとえばストックオプションを外国人のメンバーに渡しにくいし、就労ビザを取得するのも大変。グローバルカンパニーにとってみると、法制度が難しい気がします」とは橋本氏の弁だ。

 もっとも大変なのは日本と異なる文化。「たとえば、『最近太ったね』とか、『宗教はなんですか?』みたいな会話も、出身国によってはNG。トイレが男性と女性だけだとクレームが出ることもあります」(橋本氏)。これに対してヌーラボは、相手が開示していない情報は聞き出さないというルールを敷いており、いさかいを未然に防ぐようにしている。

 とはいえ、2ヶ国ならともかく、8ヶ国の多国籍チームともなると、出身国ごとに文化が異なるため、ルールやマナーは複雑になる。イスラム教の礼拝の時間を用意したり、忘年会でも全メンバーが楽しめるよう異なる業者にケータリングを頼んでいる。「(イスラム教徒向けの)ハラルにも厳しいハラルと、柔らかいハラルがあるので、料理は異なる業者に頼んでいます。使い回しもいやがられるので、全員新しい皿とトングを使ってますね」(橋本氏)とのことで、最大限多くの文化に対応する。

 単に共通言語を決めるだけではなく、ここまでダイバシティに配慮するのは、ヌーラボが目指すグローバルに向けた製品の設計思想がある。橋本氏は、「知らないことばかりで、正直地雷だらけ(笑)。でも、われわれはすべての人に使ってもらえるソフトウェアを目指しているので、ダイバシティは最優先。『もっとも多様性のある環境で使えるのは、うちのツール』と言いたいんです」と語る。


会社概要

ヌーラボは、Backlog(バックログ)・Cacoo(カクー)・Typetalk(タイプトーク)という3つの自社プロダクトを開発・提供している会社です。いずれもチームのコラボレーションを促進し、「働く」を楽しくする業務アプリケーションで、ベンチャー企業から大手企業まで、全世界たくさんのユーザーに使われています。

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