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HPEやシスコ、デルEMCのサーバーも利用可能に。HCI市場にとどまらない適用拡大を狙う

NutanixがHCI基盤ソフトの単体販売を開始、HW選択肢を拡大

2018年02月28日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 米Nutanixは2018年2月27日、同社ハイパーコンバージドインフラ(HCI)製品の基盤ソフトウェア「Enterprise Cloud OS」について、ソフトウェア単体でのライセンス販売を日本市場で開始すると発表した。これにより、多様なベンダー製のx86サーバーをベースとした、大規模なNutanix HCI環境構築が可能になった。国内主要パートナー9社との販売契約(サブライセンス権許諾契約)締結も発表している。

 同日行われた記者発表会では、ニュータニックス・ジャパン社長の町田栄作氏のほか、SI/販売パートナー9社の代表も出席し、Nutanix環境の動作検証を共同で行う新たなパートナー協業プログラムも発表された。

発表会にはニュータニックス・ジャパン 社長の町田氏をはじめ、パートナー9社の代表も出席した

ニュータニックス・ジャパン コーポレートマネージングディレクター兼社長の町田栄作氏

 これまで日本市場においては、ニュータニックス自身が提供する「Nutanix NXシリーズ」、およびNutanixからソフトウェアのOEM提供を受けたサーバーベンダーによる「Dell EMC XCシリーズ」「Lenovo ThinkAgile HXシリーズ」「IBM Hyperconverged Systems powered by Nutanix」と、アプライアンス製品としてのみ提供されていた。

 今回、新たにNutanixソフトウェア単体でのライセンス販売が開始されるのに伴って、HPE ProLiantサーバー、Cisco UCSサーバー、Dell PowerEdgeサーバーの各特定モデルを対象に、Nutanixが動作保証と保守サービスを提供する。これにより、特に大規模な環境において、顧客が選択するハードウェア(x86サーバー)をベースとしたNutanixのHCI環境を構築できるようになった。

 今回新たに展開されるライセンス形態は、エンタープライズ向けの「Enterprise Purchase Agreement」「Volume Purchase Agreement」、ホスティングサービス事業者向けの「Hosting Service Agreement」、リース/レンタルサービス向けの「Consumption Service Agreement」の計4種類。エンタープライズ向けの2つのライセンスについて町田氏は、大別するとEnterprise Purchase Agreementが複数年に及ぶ契約向け、Volume Purchase Agreementが単年度や単発プロジェクト向けのものだと説明した。

今回提供を開始するソフトウェア単体ライセンス4種類の詳細。Nutanixベースのホスティングサービスも実現する

 ニュータニックスでは、同ライセンスの販売契約を国内主要パートナー9社(伊藤忠テクノソリューションズ、NECフィールディング、兼松エレクトロニクス、ソフトバンク コマース&サービス、TIS、東京エレクトロン デバイス、日商エレクトロニクス、ネットワールド、日立システムズ)と締結した。

 同時に、より幅広いハードウェア環境でのEnterprise Cloud OS導入を実現するために、新しいパートナープログラム「Nutanix Elevate Program」を開始した。これはパートナーによる動作検証を支援するプログラムで、Nutanixからは動作自動検証ツールや開発ツールなどを提供する。

 町田氏は、ニュータニックスではEnterprise Cloud OSに対応するハードウェアを認定ハードウェアリスト(HCL)のかたちで提供しているが、特に国内市場の顧客はトータルソリューションとしての動作検証も求めると説明。ハードウェアだけでなくアプリケーションも組み合わせたうえでの検証を、パートナーと共に進めていくものだと説明した。

 今回のソフトウェア単体ライセンス販売開始による新たなビジネス戦略について、町田氏は、国内コンバージドインフラ市場が高い成長を見せているものの、規模としては2021年でも約300億円(IDC Japan予測)にとどまることを指摘。Enterprise Cloud OSを、HCIだけでなくより広範な領域で提案していくと語った。

 「国内サーバー市場では現在、年間50万台、7000億円前後の出荷がある。ニュータニックスの主戦場は、実はその60%を占める1ソケット、2ソケットのサーバー領域。ここがEnterprise Cloud OSの適用領域だと考えており、“4200億円の伸びしろ”がある。パートナーと共に、この市場に対して、今までの3ティアシステム(3階層システム)からどう統合していくのかということを考え、提案していく」(町田氏)

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