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ハードテック領域に挑む起業家限定のコンテスト「StarBurst DemoDay♯4」

空いている店にすぐ行ける空席IoTに期待集まる

2018年02月23日 15時00分更新

文● 松下典子 編集●北島幹雄/ASCII STARTUP 撮影●プロトスター

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 2月16日、StarBurst主催のハードテック領域に特化したピッチコンテスト「StartBurst DemoDay#4」が開催された。

 StarBurstは、産業・技術・社会構造のブレイクスルーを必要とする、ハードテック領域へ挑む起業家に対して、投資家とのマッチングを支援している組織だ。

 ウェブやITのような新分野のスタートアップとは異なり、既存技術をベースとしたレガシーな産業の中で革新を起こすには、長い模索期間と、まとまった資金が必要だ。そこで、事業化する前の最初期の支援に特化し、起業家と支援者をつなぐデータベースを構築し、メンタリングや発表の場を提供している。

 2015年12月より活動を開始し、過去2年間で起業家90社以上、支援する投資家・事業会社は200社以上、累計資金調達は48億円以上を達成している。

 通算4回目となる今回のDemoDayの登壇企業は、inahoGAUSSTRINUSCO-LABO MAKERアメグミBrainMagicバカン――の7社。各社6分間のプレゼンテーションののち、それぞれ2分間の質疑応答が行なわれた。

東京・丸の内のJPタワー11階セールスフォースで開催。スポンサー企業、投資家・事業会社、メディアなど多数の来場者が集まった

選択収穫ができる農業ロボットで人手不足を解消

 inahoは、色・サイズ・位置を認識して、選択収穫できる農業用ロボットを紹介。農業人口は年々減り続けており、あと10年で半数になるとも予測されている。とくに、色や形、大きさによる採りごろの判断、選別が必要な作物では、人材確保の不安から規模拡大が難しい。

 inahoの農業用ロボットは、圃場を自立走行しながら、センサーで野菜の色・サイズ、形を読み取り、AIで出荷対象かどうかを見極めて収穫できる。また、収穫時に作物を傷めないように、医療用のロボットアームの技術を応用して、繊細な動きを実現。汎用性が高く、あらゆる作物の農家へ導入可能だ。2020年1月からの販売を目指す、とのこと。

AIによる予測技術をSEOや電力の使用量に活用

 GAUSSは、AI競馬アプリ「SIVA」の開発元として知られるAIスタートアップだ。ドワンゴが主催する競馬予想プログラミング競技会「電脳賞」では、全日的中パーフェクトを達成している。

 BtoBでは、自社開発のAIを他社に提供・共同開発するアルゴリズムライセンス事業を展開。アパレルブランドANAPのウェブサイト向けに、商品説明文や検索ワードの作成を効率化する自動タグ付けシステムを提供。また、電力会社のみんな電力に、電力の使用量のAI予測をもとに、発電所に発電量を発注する、といった技術を提供。そのほか現在、10社以上と共同で事業開発をしている。

メーカー×クリエーター×ユーザーによる、オープン・バリューチェーンを推進

 TRINUSは、“技術とデザインの化学反応による驚くようなモノづくり”をテーマに、メーカーのもつ技術をベースに、クリエーターからデザインを募集、ユーザーからのフィードバッグを受けて、商品開発やクラウドファンディングを実施している。毎回、クリエーターから100を超える企画が集まるという。実現した企画事例では、廃棄古紙×文具デザイナーによる「花色鉛筆」、抗菌技術×ジュエリーデザイナーによる花器「PLANT'S JEWEL」などの商品がある。森永製菓のベイクド技術を利用した商品コンセプト募集など、大手企業とのコラボも展開中で、2月14日現在、5500万円の資金を調達している、とのこと。

使っていない実験機器を研究者に貸し出す、研究者のためのシェアリングプラットフォーム

 小さな大学や研究所では、最新の実験機器が導入できず、やりたい実験ができない研究者がいる一方、数千万円の機器を導入したが、あまり使われていない研究機関も存在する。そこで、CO-LABO MAKERは、実験機器や技術をもつ研究機関と、それらを利用したい研究者をつなげるシェアリングプラットフォームを提供している。具体的には、実験機器や技術が探せる検索サイトを運営し、マッチングと利用手続きを代行。現在1300台の機器が登録されているそうだ。

軽く、長く使える低価格スマートフォン向けOSを新興国向けに開発

 アメグミは、スマホ向けのOS 「SUNBLAZE OS」を開発。安価で動作が軽く、ハードの買い替えが不要な、長く使える端末を実現するため、シンプルな機能、アップデートはセキュリティーのみに限定。バッテリーは自分で交換可能だ。生産には中国の受託生産工場(EMS)を活用。アフリカやアジアの新興国市場を主なターゲットとして、5000円程度の端末価格で販売する計画だ。

クリエーターの作業を効率化する最新入力デバイス「O2」を開発

 BrainMagicは、イラストレーターや動画クリエーターの作業効率を上げる入力デバイス「Orbital 2(通称O2)」を開発。イラストレーターやゲームデザイナーは、キーボードやマウス、ペンタブレット、専用コントローラーなど複数のデバイスを併用し、アプリごとに異なるキーボードショートカットを覚えなくてはならないのが現状だ。これらの負担を軽減する、入力デバイスとして開発されたのがO2だ。ジョイスティック型で、傾ける、回転する、ボタンを押す、の3つの動作を組み合わせることにより、最大8つのダイヤルとスイッチに機能を登録できる。Adobe製品をはじめとする主要なクリエイティブソフトに対応。クラウドファンディングのMakuakeで750万9900円を達成している。

お店の空席状況をデジタルサイネージにリアルタイム表示

デジタルサイネージにお店の空き状況を「○」(空きあり)、「△」(残席わずか)、「待ち時間」で表示

 バカンは、IoTとAIを用いた空席情報システムを提供している。2018年1月より空席状況表示システム「VACAN」として製品化し、成田国際空港施設内や横浜駅西口の相鉄ジョイナス、高島屋横浜店などで本格導入を開始。施設内に入店している飲食店にセンサーやカメラを設置し、空席状況をサーバーに自動送信することで、ビルや店頭のデジタルサイネージにリアルタイムの空席状況を提供する。少人数で回す小さなお店でもオペレーション不要で導入可能なので、駐車場や病院、公共施設などへの展開も視野に入れているそうだ。

空席状況常時システム「VACAN」がトリプル受賞

 質疑応答は、登壇者の発表中にSlidoを利用。来場者が専用ウェブサイトに匿名で質問を投稿し、共感する質問があれば「いいね!」を押すことで、賛同者の多い質問順から答える方式がとられた。

 1対1の質疑応答では時間の制約上、答えらえるのはせいぜい数件だが、この方式なら多数のフィードバッグが得られる。さまざまな意見を広く聞きたいスタートアップにとっては、ありがたい試みだ。ぜひほかのイベントでも取り入れてほしい。

来場者から発表者への質問、問い合わせは専用サイトで投稿

 発表後に審査員とスポンサーによる審査と、一般来場者の投票が行なわれた。

 優勝は、バカンの空席状況表示システム「VACAN」が受賞。Amazonギフト券3万円分とSlash Tokyo招待券が贈呈された。バカンは、2016年4月から提供しているトイレの空き情報IoTサービス「Throne」から一貫して、着々と世の中の空席情報の可視化サービスを展開していることが評価された。

 準優勝は、BrainMagic(特典:Amazonギフト券1万円分)、3位は、アメグミ(特典:Amazonギフト券5000円分)が選ばれた。

 スポンサー賞は以下のとおり。Amazon Web Service賞は、アメグミ(特典:Amazon Fireタブレット)、クックパッド賞はInaho(特典:クックパッドバッグ、ステッカー、Tシャツを2セット)、Salesforce賞はバカン(特典:Salesforce Herokuクレジット、ノウハウの個別提供)、日本マイクロソフト賞はGAUSS(特典:MSエンジニアと1週間程度の開発合宿「ハックフェス」への参加)、ネットプロテクション賞はVACAN(NP掛け払いを含む決済サービスの固定費が1年間無料)が受賞。さらに、一般来場者の投票によるオーディエンス賞にもバカンが選ばれ、トリプル受賞となった。

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