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週替わりギークス第63回

「光る」ハイボールの作り方 オシャレなお酒を科学で作ろう

2018年03月06日 17時00分更新

文● 五十嵐美樹

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 初めまして、五十嵐美樹です。学生時代に「ミス理系コンテスト」でグランプリをいただいて以来、科学のおもしろさを体現すべく全国各地で科学実験教室やサイエンスショーなどを実施しています。

  大人向けの連載は初めてなのでドキドキしていますが、みなさまの毎日が少し楽しくなるような科学にまつわる情報をお届けしていきたいと思います。

ブラックライトで光るお酒

 今回のテーマは、「光るお酒」です。少し怪しい空間に行くと、白いシャツや前歯が光ってちょっとうれしくなった経験がある方も多いのではないのでしょうか? そこで使われているのが、ブラックライトです。

 ブラックライトを使うと、お酒を光らせることもできるのです。今回は光るお酒をつくって飲む実験をしてみたいと思います。

 白いシャツや前歯以外にも私たちの身近なところに「え、それブラックライトで光るの?」というものがあります。

 たとえば、私が企業でエンジニアとして働いていたときに毎日のように飲んでいたあのエナジードリンクも、実はブラックライトを当てると写真のように黄緑色に光り輝くのです。

ブラックライトに当てたエナジードリンク

 黄緑色に光るものを仕事中に飲んでいると思うと個人的にはちょっと楽しくなりますが、なぜこのようなことになるのでしょうか。

光るのはビタミンB2

 エナジードリンクには、光で分解してしまうような栄養成分が含まれているため遮光性を備えた褐色瓶に入っているとされています。たしかに、ほとんどの瓶詰エナジードリンクが褐色ですよね。こうして守られながら届けられる栄養成分たちの中には、実は蛍光物質の一つである「ビタミンB2(リボフラビン)」が含まれていて、これが光るのです。

 ビタミンB2(リボフラビン)の構造がブラックライトの紫外線を吸収し、その吸収したエネルギーを可視光として排出するため光り輝きます。

 紫外線のエネルギーを受けたビタミンB2(リボフラビン)の電子が励起(れいき)して、エネルギーが高い状態になります。エネルギーが高い状態では不安定ですので、低いエネルギー準位へ電子が落ちることでエネルギーを放出します。このエネルギーの放出の際に、光が発っせられます。

 では、アルコールをエナジードリンクで割れば光るお酒が飲める! と思いたいところなのですが、実はこの2つの組み合わせはかなり酔っぱらいやすくなる可能性があり、危険であるという報告がされています。

 オーストラリアの研究者によると、エナジードリンクで割ったアルコール類はアルコールの吸収量が多くなるため、ほかのドリンクに比べ血中アルコール濃度を高める可能性があるとのことです。

 エナジードリンクを飲んだ後にお酒を飲むのは、酔いが回りやすくなりよろしくない可能性があるということですね。これでは光るお酒を心から楽しめないので、今回はほかの方法で考えてみたいと思います!

トニックウォーターもブラックライトで光る

 実は、ブラックライトで光り輝くのはビタミンB2(リボフラビン)だけではありません。苦み成分であるキニーネと呼ばれる物質も光ります。

 そこで、似た構造を持つ香料が入っている市販の「トニックウォーター」をブラックライトに当ててみましょう。すると、なんと綺麗な青色に発光しました!

ブラックライトを当てた水(左)とトニックウォーター(右)

 写真左側の水と比べて、右側のトニックウォーターは青色に光っていることがわかります。トニックウォーターは、スーパーなどですぐに手に入ります。海外ブランドのものを選んだ方が光ることを確認しやすいです。ブランドによっては光らないものもありますので、ご注意ください。

 ちなみに、キニーネも先程のビタミンB2(リボフラビン)と同様に、構造がブラックライトの紫外線を吸収し、その吸収したエネルギーを可視光として排出するため光り輝くのです。

 今回はこのトニックウォーターを使って、晩酌が少し楽しくなるようなお酒を作って飲んでみたいと思います!

美しくきらめくハイボールを科学的につくってみた!

 私がトニックウォーターを使って真っ先に飲んでみたいと思ったのは、「ハイボール」です! いまや専門バーもできるほど大人気で、疲れたときにぐいっと一杯たまらないですよね。

 そんなハイボールを、のどごしだけではなく科学の力で、目で見ても楽しめるようにしちゃいましょう。

 用意するものは、こちらです。

【材料】
・コップ
・氷
・お好みのウィスキー
・トニックウォーター
・ブラックライト

 それでは、レッツサイエンス!

 手順は普通のハイボールを作るのと変わらずいたってシンプルです。

 まずは、コップの中にお好みの量の氷とウィスキーを入れます。私は濃いめが好きですが、今回は見た目重視なので、トニックウォーター多めでうまく自制しましょう。

 普通にハイボールを作るときはソーダなどを入れますが、ここでは代わりにトニックウォーターを入れます。今回使ったのは「シュウェップス トニックウォーター」です。

トニックウォーターで作ったハイボール

 色合いは、少し黄色がかっていて普通のハイボールとまったく変わりません。しかし、ブラックライトに当てると、見事に青色に光りました!

光るハイボール

 暗闇の雰囲気も含めて良い感じではないでしょうか! 演出の肝は、照明を落とすタイミングとブラックライトの仕様です。

 私は、手持ちの小型ブラックライトも好きですが、今回のように横長で設置型のブラックライトが暗闇から登場すると、テンションがあがります。どちらのブラックライトもすぐにネットで手に入るので、ぜひ使い比べてみてください。

美味しいけど炭酸は弱め

 見た目はとても素敵なのですが、気になるのはそのお味ですよね。ということで、早速いただいてみたいと思います。

 とても美味しいです! しかし、炭酸がそこまで強くないので一発目にのどの奥にくるあの爽快な感じは、残念ながら少ないです。トニックウォーター特有の風味が加わり、少し苦みを感じるかもしれません。ウィスキーの水割りが炭酸と苦みを少しずつ含んだ感じでしょうか。とにかく独特の風味が不思議なうえにさらっとしていて飲みやすいので、ごくごく、ごくごく。

 少し飲み過ぎちゃいました♥

 暗闇にブラックライトという幻想的な雰囲気のなか、光るお酒を飲む実験をするとちょっといけないことをしているような気持ちになりました。とはいえ、思ったよりも綺麗で美味しいので、楽しい時間を過ごし元気になることは間違いないです。

 今回は「光るハイボール」にチャレンジしてみましたが、ほかのお酒でもトニックウォーターで割ればブラックライトで光ります。フルーツなども浮かべて、皆様もお好みのお酒でぜひ試してみてください。

 とはいえ、ブラックライトをついつい見続けてしまったり、お酒が入るといたずらしたくなってしまったりする、おおきいお友達はマネしないでくださいね。

 実験は、楽しく安全に!

五十嵐美樹(いがらしみき)

 科学のお姉さん。1992年東京都、生まれ。上智大学理工学部機能創造理工学科卒業(物理学専攻)。2018年4月より東京大学大学院 情報学環・学際情報学府に進学し、科学コミュニケーションを専攻予定。学部在学時に「ミス理系コンテスト」でグランプリを獲得後、子どもから大人まで幅広い層に向けた実験教室やサイエンスショーを全国各地で主催、講師を務める。Great Explorations in Math and Science取得。また、大企業エンジニア職での経験を活かして理系女子キャリアイベントの講師としても活動し、理系女子未来創造プロジェクト理事を務める。さらに、女の子に科学の面白さを伝える機会を提供する企画団体「Girlz Science Outlook」を立ち上げ、ボランティア活動などにも積極的に取り組んでいる。

協力:QREATOR AGENT

 起業家、デザイナー、研究者など、職業・業界にかかわらず、クリエイターの才能を最大化することを目的に結成されたPR会社。江渡浩一郎(メディアアーティスト)、落合陽一(メディアアーティスト/筑波大助教)、きゅんくん(メカエンジニア)、坂巻匡彦(プロダクトデザイナー)など、約170名のクリエイターが所属している(2016年8月上旬時点)。

http://qreators.jp/qreator/ichiran

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