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ディープラーニング適用の照合エンジン、カメラ映像最適化技術、監視システム統合などの特徴

パナソニック、高精度の顔認証サーバー「FacePRO」を発表

2018年02月21日 07時00分更新

文● 大河原克行 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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 パナソニックは2018年2月20日、ディープラーニング技術を応用した顔認証サーバー「FacePRO」を今年8月に発売すると発表した。NIST(米国立標準技術研究所)評価による世界最高水準の顔照合性能を持つエンジンを核とした高精度の顔認証システムで、上下左右の斜め方向、濃色のサングラスをかけた顔映像などでも照合を可能にしている。

パナソニックが発表したディープラーニング顔認証システム「FacePRO」。エンジン+カメラ+監視システム統合という3つの特徴を持つ
パナソニック コネクティッドソリューションズ社セキュリティシステム事業部 事業部長の島田伊三男氏パナソニック コネクティッドソリューションズ社セキュリティシステム事業部 市場開発部 部長の朝比奈純氏

 パナソニックでは2017年5月、ディープラーニングの応用で世界最高水準の顔照合技術を開発したことを発表していた。今回のFacePROは、このエンジンに加えて顔認証用のインテリジェントカメラ技術、監視システムとの統合により実現されている。

 FacePROでは、撮像段階で顔認証に最適な顔画像を自動調整する「iA(インテリジェントオート)」モードを搭載している。同梱するライセンスキーをパナソニック製ネットワークカメラ「i-PRO EXTREMEシリーズ」にインストールして併用することで、たとえば「顔の画像サイズが一定以上ある」「顔の向きが指定角度以内」「目が開いている」など、顔認証に最適な画像だけをカメラ側で切り出し、サーバーに送信できる。

 この機能(顔ベストショット技術)では、カメラ側のAIでサーバー負荷の大きい画像解析処理の一部を受け持つことにより、サーバー負荷が従来比で約5分の1、ネットワーク負荷が約10分の1に軽減される。そのため、同機能を使わない従来型システムと比べて、およそ40~50%のシステムコスト削減が可能になるという。

「顔ベストショット技術」で必要な画像のみをカメラ側で切り出し、サーバー送信することで、システムコストの大幅な削減も可能になるという

 「顔認証システムでは、激しい逆光や低照度などの厳しい撮影条件、斜めやうつむきなどの顔の向き、またサングラスやマスク、経年変化といった克服すべき課題がある。今回のシステムでは、最新の顔認証エンジンによってこうした課題を解決した。従来比で2倍以上の検出精度を実現しており、正面ではない顔、サングラスやマスク、経年変化の認証にも強い」(パナソニック コネクティッドソリューションズ社セキュリティシステム事業部市場開発部 部長の朝比奈純氏)

 FacePROの顔認証エンジンでは、「正面に強いディープラーニング」「斜めに強いディープラーニング」など、傾向が異なる複数のディープラーニング技術を組み合わせたほか、複数の類似度計算手法を組み合わせた独自アルゴリズムにより、顔照合性能を最大5倍に改善しているという。

複数のディープラーニング構造を融合することで、高精度な顔照合を実現

 なおiAモードは、デジタルカメラの「LUMIX」シリーズで10年以上にわたり採用してきた技術を応用したもので、さまざまなシーン(撮影条件)を自動で認識し、カメラの設定を最適化できるのが特徴だという。

 「昼や夜、移動物体の速度やサイズ、人物の顔、逆光状況などを自動シーン認識し、これを独自のパラメータ設定と組み合わせて、変化するシーンにも最適に調整された画像で撮影できる。薄暗い環境でも動きに追随してシャッタースピードを調整してブレを抑制。厳しい撮影環境における顔認証精度を、約10%向上させた」(朝比奈氏)

「カメラ、レコーダー、ソフトウェアを1社で開発しているからこそ」

 FacePROの特徴は、新規開発したディープラーニング顔認証エンジン、顔認証用のインテリジェントカメラ、監視システムとのリアルタイムでの統合運用という3つだ。最大2000台のカメラによる大規模/多拠点システムが構築可能で、複数エリアにまたがる要注意人物の警備を支援することもできる。複数店舗を持つ小売業、交通機関やスタジアムなどの大規模なセキュリティシステムの構築にも対応する。

 複数のカメラで撮影した映像を時系列で追うことができるため、対象者がどこにいるかを判断しやすく、さらに一緒に映っていた人物についてもクリックするだけで検索できるため、犯罪捜査などのケースでは共犯者の特定などにも使える。「こうした使い勝手の良さは、カメラ、レコーダー、ソフトウェアを1社で開発しているパナソニックだからこそ実現できる」(朝比奈氏)

FacePROでは監視システムとのリアルタイム統合運用にも対応している

 今回発表された顔認証サーバーでは、最大4台までのカメラが接続でき、1万件までの顔登録ができる(オプションキットで最大20台のカメラ、3万件の顔登録まで対応)。価格はいずれもオープン。「カメラやレコーダーなどとのセット販売になるため、想定価格は明確にできない。目安としては、カメラ4台とレコーダー、顔認証サーバーソフトウェアの組み合わせで500万円から」(朝比奈氏)としている。

 なお、マスクを着用した顔の照合も可能にする機能拡張も、2018年中に提供開始予定だ。

 パナソニック コネクティッドソリューションズ社セキュリティシステム事業部 事業部長の島田伊三男氏は、同社のセキュリティシステム事業が60周年を迎えたことに触れ、「IoT時代に向けてセキュリティシステム事業が生まれ変わる気持ちで取り組む」と述べた。

 「これまでのセキュリティシステムは、高画質で撮影することが中心だった。撮影した情報から“見えない情報”を狙って撮りにいくアクティブ・センシングと、情報をリアルタイムで高効率に活用するアクティブ・アナリティクスをパナソニックの特徴として提案することで、情報取得と情報活用の進化を果たし、顧客の業務生産性向上に貢献したい」(島田氏)

 パナソニックでは、2011年から監視カメラによる顔認証システムを販売してた。これまでに空港や小売店、スタジアム、高齢者介護施設などで導入されており、現在、顔認証システムとして全世界で1500サーバーが稼働しているという。

デモ映像。サングラスやマスクを着用していても照合することができた
同じ人物の顔をカメラごとに時系列で追うことができるため、どう移動したかもわかる

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