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武田薬品・元社長有力候補の「意外な転職先」

2018年02月15日 06時00分更新

文● 週刊ダイヤモンド編集部(ダイヤモンド・オンライン

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安川健司・アステラス製薬次期社長CEO(右)と握手する畑中好彦社長CEO Photo by MasatakaTsuchimoto

 どの会社であれ、大物の人事にまつわる話は蜜の味。製薬業界でトップ2社に関する人事が話題を集めている。

 まずは国内製薬業界2位のアステラス製薬。社長CEOの交代が1月末に発表され、本誌(週刊ダイヤモンド1月13日号「人事天命」)既報など、大方の予想通り、安川健司副社長が4月1日付で就任することとなった。畑中好彦社長CEOは代表権のある会長となる。

 畑中社長CEOは2011年6月からトップを務め、前任者の任期を既に1年余り超えていた。また大型製品の特許が切れて売り上げが一気に落ち込むパテントクリフが迫る中で18年度は新たな中期経営計画がスタートするタイミング。加えて畑中氏は16年から務める業界団体「製薬協」会長を今年で退任見込みだったことから、“節目感”は誰の目にも明らかだった。

 とは言うものの、一時は長期政権説も出ていたので、注目が集まっていた。

 次期社長の人物は順当。開発畑の安川氏は12年から経営戦略担当役員を務めた。昨年副社長に昇任し、後継者レースではっきりと抜きん出ていた。

「57歳という年齢がインパクトに欠ける」(あるアナリスト)などの声がないわけではなかった。しかしそこは、“業界の優等生”と評されるアステラス製薬。手堅いバトンタッチとなった。

タケダ有力OBがなぜ日清食品幹部に?

本田信司氏

 大きなサプライズとなったのは、最大手である武田薬品工業に絡んだものだ。年明けにある大物OBの驚きの人事情報が業界内を駆け巡った。

 元社長有力候補だった本田信司取締役(当時)。昨年、武田薬品を辞めたがその転職先は、なんと畑違い。日清食品ホールディングス(HD)執行役員経営企画担当に1月1日付で就任(2月11日付で執行役員CSO〈グループ経営戦略責任者〉)した。

 役員人事ゆえ、日清食品HDは昨年末に発表していたが、リリースの前歴欄は空白。そのため「元タケダ」と気付く人は少なかった。

 本田氏といえば、武田薬品社長CEOのクリストフ・ウェバー氏が外部から招致されるまで、長谷川閑史・前社長の後継者と一時目された人物。ウェバー体制後も、取締役としてとどまっていたが昨年6月、長谷川氏が会長から相談役に退くタイミングで、最後の株主総会に姿を見せることなく会社を去っていた。

製薬最大手・武田薬品工業の元幹部を起用した日清食品ホールディングス
Photo by MasatakaTsuchimoto

 本田氏の退任後、外国人幹部が新たに取締役に起用されて外国人による経営体制が強化されており、「やはりウェバー社長と反りが合わなかったのではないか」(武田薬品OB)などと憶測が飛び交った。

 59歳なのでまだひと花咲かせる気では――。一部業界関係者は本田氏のセカンドキャリアを気にしていたが、その舞台が他業界。驚きの結果だった。

 製薬会社幹部がその経験を生かして同業他社、あるいはヘルスケア関連会社へ移るパターンは散見される。幹部級以外も転職する際は同業系への転籍が多い。そんな中で食品会社は珍しい。

 ある武田薬品関係者は「共に大阪創業という縁ぐらいしか思いつかない」と驚くとともに、「本田さんは同族経営が懐かしくなったのかも」と冗談交じりに話す。

 というのも、武田薬品は2代前の武田國男社長が03年に会長に退くまで、代々創業家筋がトップだった。一方の日清食品は安藤家が君臨する企業だ。

 日清食品HD傘下には現在、製薬はもちろん、ヘルスケア関連もほとんどない。本誌は本田氏起用の意図などを日清食品HDに尋ねたが、日清食品HDは「取材対応は遠慮させていただきます」とのこと。転籍の背景は今のところ謎である。

 運命の歯車次第では、製薬業界1、2位の企業トップ同士で逢いまみえたかもしれなかった2人。同じ時期に耳目を集めたのは運命のいたずらだろうか。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 土本匡孝)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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