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年末にはじまる4K・8K放送の基礎知識 第1回

今年開始の4K・8K放送で知っておくべき7つのこと

2018年02月17日 12時00分更新

文● 鳥居一豊、編集●ハシモト/ASCII編集部

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知っておくこと その5:4K・8K放送はどんなところが凄いのか?

BT.2020の色域イメージ図

BT.2020の色域イメージ図

 4K・8K放送の大きな特徴は、やはり4K(3840×2160)や8K(7680×4320)の高解像度だ。しかし、それだけではない。

 高解像度化に合わせて、表示できる色域も拡大され、放送規格でいうと「BT.2020」という新しいものが採用される。これは、肉眼で識別することのできる色のほとんどをカバーできるという広色域規格だ。

HDR対応テレビ(左)と非対応テレビ(右)の比較。左の方が黒が締まって見える

HDR対応テレビ(左)と非対応テレビ(右)の比較。左の方が黒が締まって見える

 そしてもうひとつ、「HDR」(ハイ・ダイナミック・レンジ)という高輝度規格も採用される。

 地デジなどの今までの放送は明暗の表現の幅が最大100nit(輝度の単位)となっていた。しかし、人間の目はその100倍くらいの明暗の差を認識できるので、実際に見た映像とテレビなどで見る映像の明るさには大きな差があった。

 この差を可能な限りなくし、肉眼で見るのと変わらない明るさを表示できるようにするのがHDRだ。

 HDRでは、明暗の表現の幅は最大1万nitにまで拡大される。実際には、テレビの表示能力の問題もあり、1000~3000nitsほどの明るさが表現できるようになる。これでも十分にまぶしいほどの明るさが得られる。

 逆にリアル1万nitの光は直射日光のレベルで直視すれば眼を痛めることになるので、現実的には必要のないものだろう。

 こうした次世代の放送規格は、すでに4K動画配信サービスやUHD Blu-rayでも採用されており、BT.2020の広色域規格もHDRの高輝度映像も楽しめるし、現在発売されている4KテレビのほとんどはBT.2020やHDRに対応している。

 4K・8K放送自体にはあまり興味がない人もいるかもしれないが、少なくともこれからの映像コンテンツは、4Kあるいは8Kの高解像度、広色域、高輝度を備えた次世代規格となるので、テレビなどの買い換えでは、こうした次世代規格への対応を意識しておこう。

知っておくこと その6:4K・8K放送といっても、8K解像度で放送を行なうのはNHKのみ

BS右旋で4K放送を行なう放送事業者(チャンネル名)
NHK(NHK SHV 4K)、ビーエス朝日(BS朝日)、BSジャパン(BSジャパン)、BS-TBS(BS-TBS 4K)、BS日本(BS日テレ)、ビーエスフジ(BSフジ)
BS左旋で4K放送を行なう放送事業者(チャンネル名)
SCサテライト放送(ショップチャンネル)、QVCサテライト(QVC)、東北新社(映画エンタテインメントチャンネル)、WOWOW(WOWOW)
BS左旋で8K放送を行なう放送事業者(チャンネル名)
NHK(NHK SHV 8K)
110度CS左旋で4K放送を行なう放送事業者(チャンネル名)
スカパー・エンターテインメント(スカチャン4K 1~8 計8チャンネル)

 4K・8K放送も、すでに放送免許の割り当てが済んでおり、多くの放送事業者が12月1日の放送開始に向けて準備を進めている。

 それらの内訳を見ていくと、ほとんどの放送事業者が行なうのは4K放送ということがわかる。4K・8K放送のチャンネルにはまだ空きがあり、今後新規の放送事業者が増え、新しいチャンネルが加わる可能性はあるが、今のところ、8K放送を行なう予定となっているのはNHKのみだ。

 ここが悩ましいところで、1つだけのチャンネルのために8Kテレビを選ぶか、かなり買いやすい価格のモデルも出て来ている4Kテレビで十分と考えるかの選択になる。

 これについては、実際に4K・8K放送に対応したチューナーを内蔵した4Kまたは8Kテレビが発売されるようになってから検討しても遅くはないだろう。

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