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年末にはじまる4K・8K放送の基礎知識 第1回

今年開始の4K・8K放送で知っておくべき7つのこと

2018年02月17日 12時00分更新

文● 鳥居一豊、編集●ハシモト/ASCII編集部

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知っておくこと その3:今BS/110度CSを見ている家庭でもアンテナ交換は必須

マスプロやDXアンテナでは右左旋円偏波対応のBS/110度CSアンテナを販売している

 4K・8K放送は現在でも放送が行なわれているBS/110度CSの衛星を使って放送される。

 しかし、チャンネル数が大幅に増えるので、衛星からの電波の送出が新しい方法が使われる。そのため、これまでのパラボラアンテナなどの受信設備では、一部の4K・8K放送は視聴できない。4K・8K放送に対応したアンテナやブースターといった機材が必要になる。

 ちなみに、こうした4K・8K放送対応のアンテナやブースター、接続ケーブルはすでに発売されている。対応機器は「4K・8K対応」という表示が付いているので、これを頼りに製品を選ぶといい。もちろん、アンテナを変えても従来のBS/110度CSは視聴できる。

 具体的な機材の詳細は次回紹介するとして、引越などで放送設備も更新するという人は、このあたりを頭に入れて置いて、今春に受信のための準備を進めよう。

 ちなみに、4K・8K放送で新しいBS/110度CSアンテナが必要になる理由だが、BSと110度CSで放送することのできるチャンネル数は今でもめいっぱいで、従来のアンテナのままではチャンネル数を増やすことができない。そこで採用されたのが、左旋円偏波による送受信だ。

右旋円偏波/左旋円偏波のイメージ。点線部分が新たに加わる部分

右旋円偏波/左旋円偏波のイメージ。点線部分が新たに加わる部分

 これまでのBS/110度CS放送は右旋円偏波で放送波を送受信している。簡単に言うと、放送のための電波は渦巻き状に螺旋のように飛んでくるが、渦巻きの方向が右周りというのが、右旋円偏波(右旋)だ。

 これに加えて逆回りの左旋円偏波(左旋)でも電波の送信を行なえば、理論上はチャンネル数を倍に増やせることになる。というわけで、左旋円偏波による送信が採用された。結果として、これを受信するために左旋円偏波の信号を受信できるアンテナを新たに使う必要があるのだ。

 理屈としては上述の通りだが、まあ、右旋や左旋のことを詳しく理解する必要はない。左旋対応のBS/110度CSアンテナは「4K・8K対応」のマークが付く。

JEITAが認定している機器については「SHマーク」が付く

JEITAが認定している機器については「SHマーク」が付く

 4K・8K放送を受信できる規定を満たした製品には必ずマークが付くので、難しい理屈を覚えるよりも、「これから衛星アンテナ関連の製品を買うときは“4K・8K対応”のマークのものから選ぶ」と考えておけば間違いはない。

知っておくこと その4:地デジ放送は4K・8K放送にはならない

地上波が見られなくなるわけではないので2011年の地上アナログ停波の時のような騒ぎにはならない

地上波が見られなくなるわけではないので2011年の地上アナログ停波の時のような騒ぎにはならない

 地デジ放送は今もこれからもハイビジョン画質の放送のままで変更はない。勘違いされやすいが、4K・8K放送はBS/110度CSを使った新しい放送なので、地デジ放送はそのままだ。

 BS/110度CSについては、各放送の帯域が制限され、1920×1080で放送していた一部の放送局の解像度が1440×1080に下がる(NHKなどすでに実施済み)などの影響はあるが、既存の機材で2018年12月以降も放送を楽しめる。

 少なくとも、地上アナログ放送が地上デジタル放送に変わったときのように、すべての家庭でテレビやアンテナを買い換えないと放送が見られなくなってしまうということにはならないので安心してほしい。

 逆に言えば、4K・8K放送を見たいという人は、最低でも受信用のアンテナが必要になるし、当然ながら視聴するテレビも4Kテレビや8Kテレビなど、新たな機材が必要だ。

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