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「日本一電気料金が安い」北陸電力の苦境

2018年02月13日 06時00分更新

文● 週刊ダイヤモンド編集部(ダイヤモンド・オンライン

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過去最大となる30億円の
連結最終赤字の見通し

 富山県、石川県、福井県で電力供給を担う北陸電力が苦しんでいる。

 1月31日、電力10社の第3四半期決算と今期決算予想が出そろったのだが、同社の2018年3月期第3四半期累計は、連結で1億円、個別では過去最大の24億円の最終赤字に陥ったのだ。

 18年3月期通期決算は、過去最大となる30億円の連結最終赤字の見通し。他の電力各社が黒字を確保するなか、北陸電力は唯一、2期連続最終赤字となり、“一人負け”となっている。

 主な要因は同社の主力石炭火力発電所2機が同時期に定期点検によって稼働停止し、落ち込んだ発電量を補うため石油火力発電所等を稼働させなければならず、その燃料費がかさんだことだ。

 火力発電所は定期検査が義務づけられており、電力会社は点検を実施する際、急激な発電量の減少とコスト増を避けるため、検査時期が重ならないようにする。

 今回、北陸電力はやりくりがうまくいかず、2機合計140万キロワット、同社の石炭火力発電所の能力の約半分を止めなければならない状況に陥ったのだ。

 しかし、同社の厳しい収益環境は過渡的なものではなく、今後も続く。来期以降、今度は老朽化した送電設備等の修繕費が押し寄せ、加えて今年11月に運転開始するLNG(液化天然ガス)火力発電所の償却負担ものしかかるからだ。

 北陸電力は昨年11月、大口顧客やオール電化住宅向け料金メニューの顧客を今年4月から値上げすることを決定し、1月16日から顧客への説明会を始めた。

 当然ながら顧客からは「値上げの前にもっと効率化をすべき」などの厳しい意見が噴出。当初22回の予定だった説明会を57回まで拡大することを決め、顧客の理解を得るためにひたすら頭を下げる覚悟だ。

北陸は草刈り場に?

 文字通り厳しい冬のまっただ中にいる北陸電力だが、電力業界内ではさらに同社が窮地に追い込まれる可能性が指摘されている。

 同社はこれまで、「日本一電気料金が安い」ということが唯一の自慢で、その“看板”を維持するために東日本大震災後、各社が値上げする中で、ひたすら値上げせずに耐えてきた。

 結果的にこの“看板”は、16年4月の電力自由化以降、最大の武器となり、新電力にとっての参入障壁となった。そのため今でも他電力へ切り替わった割合はわずか1.8%で、業界内で最低水準だ。

 今回の値上げは、“看板”の維持はできる水準になるが、翳りがでることは否めない。ある大手電力会社幹部は「無風だった北陸電力管内が今後、(顧客の)草刈り場になることも考えられる」と話す。目下、その動向が注目されているのは、東京電力ホールディングス傘下のテプコカスタマーサービス。同社は全国で、採算度外視で大口顧客を奪いにかかっているからだ。

 北陸電力にとって頼みの綱である志賀原子力発電所は、原子炉建屋直下に活断層があると原子力規制委員会に判断され、再稼働の見込みは薄い。

 業界内では、北陸電力が苦境を脱するには、他社との提携が欠かせないと見られている。それは電力業界内の勢力図が大きく塗り変わるため、関係者は固唾を飲んで北陸電力の動向を見守っている。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 片田江康男)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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