このページの本文へ

「avenue jam」特別対談第16回

対談・Planetway CEO 平尾憲映×取締役 事業推進本部長 大山健司対談 第1回

AWSやAzureでの不可能をプラネットウェイが可能にするワケ

2018年02月07日 10時00分更新

文● 盛田 諒(Ryo Morita) 編集● ASCII

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 サイバー国家エストニアのセキュリティー技術を応用した情報インフラを設計するプラネットウェイ。いま同社には業界のトップランナーが次々と集まっている。2月1日付でジョインしたのは日本IBM BlueHub企画推進室長として知られる大山健司氏。大企業とスタートアップを結びつけ、新たな事業を生み出すオープン・イノベーションのプロフェッショナルだ。大山氏はプラネットウェイが新世代のオープン・イノベーション・プラットフォームの草分けになると確信している。顧客情報を活用した新たなサービスをつくりたいが、情報漏えいの恐れから承認がおりない──大手新規事業担当が抱えがちな悩みを、セキュリティーを担保した上、大手IT企業の囲い込みとも無縁なオープンな環境で解決できるはずだ。大山氏はなぜプラネットウェイへの移籍を決めたのか。同社代表・平尾憲CEOとの対談で明らかにする。(全3回)

Speaker:
プラネットウェイ 代表取締役CEO
平尾憲映

1983年生まれ。エンタメ、半導体、IoT分野で3度の起業と1度の会社清算を経験する。学生時代、米国にて宇宙工学、有機化学、マーケティングと多岐にわたる領域を学び、学生ベンチャーとしてハリウッド映画および家庭用ゲーム機向けコンテンツ制作会社の創業に従事。在学時に共同執筆したマーケィングペーパーを国際学会で発表。会社員時代には情報通信、ハードウェアなどの業界で数々の事業開発やデータ解析事業などに従事。

プラネットウェイ 取締役 事業推進本部長
大山健司

1972年生まれ。コンサルティングファーム、証券会社(M&A部門)、ベンチャー企業を経て2012年より日本IBMの事業戦略コンサルティング部門に赴任。2016年より、スタートアップの事業育成支援と、大手企業とスタートアップのオープン・イノベーションを促進するIBM BlueHubのリーダーとして主に事業開発を担当。事業戦略策定、新規事業企画/開発、国内/海外のM&Aアドバイザリー、IPO関連コンサルティング等の実績多数。

オープン・イノベーションで企業間連携をするときに
欠かせないプロダクトだなと感じて

平尾 あらためて大山さんのご経歴を伺ってもいいでしょうか。

大山 初めはアンダーセン・コンサルティング(現アクセンチュア)で、総合電機や半導体メーカーに向けての企業コンサルを7年ほど。その後、同社出身者で起業したベンチャー企業で、1年半ほど取締役を勤め、大手の新規事業をプロデュースする事業を手がけていました。その後、ドラスティックに会社を発展させるにはどうすればいいかと考えていた頃、ちょうどM&Aが隆盛していた2006年に、SMBC日興証券でM&Aアドバイザリーに移り、国内だけはなくクロスボーダーの案件も手がけるようになりました。そこで6年間。その後、2012年よりIBMでM&Aのッバックグラウンド実績を生かした戦略コンサルティング業務に携わり、クロスボーダーM&Aの実行支援とその前後のサポートをしてきました。それを3年間ほどやった後、2016年1月にIBM BlueHubを前任者から引き継ぎました。

平尾 BlueHubについてあらためてご説明いただいてもいいですか。

大山 BlueHubは、当初はスタートアップを育成するプログラムとして始まり、年に5社を採択し、半年間メンタリングしてIBMテクノロジーを活用した事業育成を行なってきました。それに加えて、私の就任後は、IBMに多くいる大手クライアントから、新しいことをやりたい、スタートアップのような外部の企業と一緒に新しいことを手がけたいという声を多くいただいていたこともあり、そうした企業向けにオープンイノベーション・プログラムを立ち上げました。平尾さんと知りあったきっかけがまさにそこでした。2つのテーマ(自動車とヘルスケア)でプログラムを立ち上げたのですが、その両方にプラネットウェイが入ってくれました。オープン・イノベーションにはセキュアな企業間データ連携が不可欠なので、プラネットウェイの「avenue-cross」がまさに最適なプラットフォームだと感じました。これは業種に関係なくクロスインダストリーで活用できる 社会インフラになり得るのではないかと。

平尾 初めて出会ったのは2016年9月でしたよね。印象的だったのは3分間ピッチ。うちの内容を3分間で理解するのは無理があり、ピッチを終えたあと誰もが理解できずポカーンという感じだったんですが、大山さんがまさにこれという質問をしてくれたんですよ。「APIとの決定的な違いは何か?」や「これはあらゆる業界に使えるインフラのようなものなんですよね?」と。そこからほかの方からも一気に質問があがって、そこで初めて東京海上日動さんとも知り合えました。そのオープン・イノベーション・プログラムの成果発表の場であるDemoDay(2016年12月)でも自動車部門とヘルスケア部門それぞれで優勝と特別賞をいただけました。当初の大山さんの質問がきっかけとなり、参加企業との具体的な協業案が生まれ、そのプログラム全体での成功に繋がりました。まさに成功の立て役者ですよ。

大山 東京海上日動はかなり本気モードだったので「これはいい」と言っていましたよ。分かる人には分かるプロダクトだったんでしょうね。

平尾 そうなんです、後日すぐに「CIOの許可降りたのでやりましょう」と言われて、話が早いなと。ただヘルスケアは大変でした。普通はスタートアップ1社に大手1社くらいなんですが、うちは1社につき大手や自治体、病院など4社も入ってしまって。

大山 そこはBlueHubで音頭をとらせてもらって協業アイデアを形にし、なんとか発表にこぎつけましたね。

平尾 avenue-crossはインフラのようなプロダクトなので、何ができるのかというのは考える人によって変わります。当時プラネットウェイとプレイヤーの連携によるアイデアは子育て世代向けだったり、高齢者向けの医療介護を変えていこうというテーマだったんですが、審査員特別賞をいただいたのは電通だったんですよね。

大山 広告やメディアで使えるんじゃないかと。その後、徐々にプラネットウェイの可能性がわかる人が増えてきたんじゃないですか。

平尾 当時は正直少なかったと思いますね。その後は、東京海上日動の話が進むにつれて数十社ものパイプラインが広がって理解が広がってきたという印象があります。ぼく自身、BlueHubに参加する1年前からいろんな企業に言ってきましたが、それまでは門前払いでしたよ。「そんなものうちでもできるからいらない」と。上場企業のCTOにも話はしましたが、相当ひどい扱いもされました。転換期はやはりBlueHubです。どうすれば短い時間でも自分たちの思いを伝えられるかがわかったし、3ヵ月間しっかり話を聞いてくれる大手企業がいた、いいプログラムでした。その頃から「BlueHubいいなあ」というより「大山さん欲しいなあ」と思うようになってきて……。

大山 はははは。

平尾 その後、自動車部門の優勝チームで集まって事業化に向けた打合せを定期的にしていたんですが、大山さんに進捗を話しながら「どうですか」とそのたびに言い続けましたよね。

大山 月次ペースでくどかれてましたね。

平尾 それは大山さんの一言で会社が変わったという実績があったからですよ。「一緒に仕事をしたこともないのに、いきなり大手企業のランクが高い人を入れて大丈夫なのか」という声も社内にはあったんですが、「すでにやっているし実績もある」と言ってきました。会社のパイプラインはすでに70社以上に増えている。70社も集まっていて、しかも業界の垣根がないのなら、うちがオープン・イノベーション戦略をつくるべきだよねと。そこで大山さんにやってもらおうと考えたわけですよ。

大山 BlueHubでやってきた中でも、オープン・イノベーションは腹の探り合いというか……やりたいと言ってもできないことが多かったんです。なぜかといえばデータを使いたいと言うと「個人情報は出せない」「漏えいするからダメ」という議論が出て、そこから話が広がらなくなってしまうんです。プラネットウェイのavenue-crossが必要だなと思ったのはそこですね。不安や懸念を解消しうるソリューションなので、企業間連携には欠かせないプロダクトだなと。企業間連携はavenue-crossを中心に広がると思うので、早くパイプラインを確立したいですね。

平尾 今までのオープン・イノベーションの限界を超えたいんですよ。

大山 今までになしえなかったことがやれるかもしれないですからね。情報の壁をとっぱらってあげられるような。たとえば、生命保険会社が契約者の情報を出せないといったような。個人情報保護という厳格な法律がある中で、それでもセキュアに情報を活用してユーザーのために何かをやりたいとは考える。それをサポートするにはAWSやAzureの仕組みだけじゃダメなんですよね。データをもってさえいれば、パブリッククラウドでなく、オンプレミス同士でもavenue-cross経由で接続できる。間にブロックチェーンのような台帳をもつ必要もなく、ピア・ツー・ピアで連携できる。その上、連携するときにデータをもたない仕組みだからハッキングされる恐れもない。仮に盗み見たとしても、誰が見たかをトレースできる。ロシアのサイバー攻撃を受けても漏えいすることがなかったというエストニアでの実績を見ても問題がない仕組みですからね(詳細: 新たな社会価値の創出へ「プラネットウェイ」情報発信基地を新設 )。

(第2回に続く)

カテゴリートップへ

この特集の記事

新生avenu jam開設に寄せて

「avenue jam」特別対談