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クルマがスマホ化する時代 ポルシェ ジャパン社長に聞く

「EV時代のポルシェ」に見るMacとの共通性

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EVポルシェはインテルMacだ!?

 EVの時代になっていくと、自動車の製造は大きな変革を迫られる。部品点数が減り、モーターやバッテリーなどの部品が共用化され、本格的な「コモデティー化」の時代がやってくる。スマホになって携帯電話から個性が失われたように、自動車も「違うのはボディーとブランドだけ」になる可能性がある……と指摘されることは多い。そこにポルシェはどう対応して行くのだろうか。

 「独自のものを作ればいいのですが、そうすると非常にコストが高くなります。ブランドとして我々がどうすべきか、を決めなければいけません。非常に危ないのは、その際にポルシェのアイデンティティーが崩れることです。本当は、コストの積み上げで製品を作ってはいけないのですが、そうせざるを得ない時が来るかもしれません。自動車メーカーとして重要なのは、セールスとマーケティングと最終クオリティーのコントロールです。しかしポルシェはそれ以外の部分に注力します。結果コストは上がる可能性がありますが、我々にはそれを正当化するだけの自信があります。車に自信があるからです」

 そのための技術開発ももちろん行なっている。車のためのソフトウェア、というと自動運転や車内エンタテインメントなどが思い浮かぶが、ポルシェはあくまで「走り」にこだわり、走行制御などのソフト開発に注力してきた。操縦性・走行性で差別化することは、ポルシェの「スポーツドライビング」へのこだわりそのものである。

 そうした時、「ポルシェがEVなんか作って」という声は小さくなる、と七五三木社長は確信している。

 「ジョブズがアップルに戻り、MacのCPUをインテルに変えた時、ものすごい反応がおきましたよね? 中には『あんなのに変えやがって』という方もいた。OS Xが出た時もそうです。『こんな使いづらいものを誰が使うんだ?』と言われた。でも、1年後にはみなさんの声も変わっていきましたよね。そのときにみんななぜ許したかというと、Macそのものの魅力が高くなったからです。OSもそうですよね。そこでMacにこだわった人がいたのと同じようなこだわりを、我々は車で出せると思っていますし、お約束できると思っています」

ポルシェであってもスタートアップと同じ働き方が必須に

 とはいえ、自動車業界は、今後10年で大きく変わるのは間違いない。その波の中では、ポルシェ ジャパンも変わっていかざるを得ない。

 「これまでと同じ顔でいいのか? 車に対するちょっと違う要望があるんじゃないですか? ということは考えていかなくてはいけません。98年からの10年間での解決しなければいけない課題と、2008年からいままでの課題、そして今日から後の課題とでは、まったく違います。そこに現在いる人員で対応していく必要があります。自動車がネットワーク化され、スマートモビリティー化するなど、用途もニーズも多様化します。過去の命題を軽やかに解決していた人々でも、新しい課題には頭を抱えてしまうんですよ。

 たとえば、いきなり充電設備の敷設を担当しろ、と言われてもできませんよね。必要な情報を知らないんですから。今の人員のうち、3割・4割・5割が、まったく新しい知識を求められるようになる。すなわち、ポルシェ ジャパンという会社であっても、スタートアップと同じような働き方をせざるを得なくなるんです」

 七五三木社長は、今後に大きな危機感を持ちつつ、「それでも、ポルシェはみなさんの期待に100%応え続ける」という。スポーツドライビングの価値を提供する、という軸はぶれないためだ。そのためにどのような組織と知識が必要なのか。その変革は大変なものだが、なんのために変化すべきなのか、ということをぶらさないことが重要なのだ。

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