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松村太郎の「西海岸から見る"it"トレンド」 第198回

アニ文字 vs DJスミロック――第60回グラミー賞のTVCMでのApple vs Google

2018年01月31日 10時00分更新

文● 松村太郎(@taromatsumura) 編集● ASCII編集部

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Googleはアジア最高齢DJをCMに抜擢

 一方のGoogleはPixel 2のCM。東京育ちの筆者からするとどことなく見覚えのある風景だなーと思っていたら、完全にロケ地は東京です。そうかと思っていたら、画面に大きく「DJ スミロック」とカタカナが現れたではありませんか(https://www.ispot.tv/ad/wJkA/google-pixel-2-a-deeper-story)。

 Googleが放映したCM「Deeper Story」の説明には、次のようにあります。

 「Google Pixel 2のレンズを通して、私たちはスミコさんの、83歳の一般的な生活と、週末の世界最高齢DJとしての活躍を発見しました」

 CMで使われた写真は、おそらくPixel 2で撮影されたもので、レンズに問いかけようというメッセージが流れます。

 岩室純子さんは、19歳の時にOLと家業の「餃子荘ムロ」の二足のわらじを履くようになり、77歳からDJスクールに通ってデビューしており、今回グラミー賞のGoogleのコマーシャルに抜擢されました。

 2017年4月にアメリカのMashableで採り上げられましたが、CMが流れてから、記事への注目度のグラフも急上昇しています(https://mashable.com/2017/04/12/japanese-82-year-old-dj/#dHVZQXpGzmqZ)。

多様性とテクノロジーによる可能性の拡大
でも実際の日本の現状はどう?

 Google Pixel 2のCMは、日本人が登場していたという内容からひいき目に見ても、グラミー賞が意識していた多様性、長年の功績によるコミュニティへの貢献、自分らしさといったテーマをうまく表現していたといえます。

 Appleは昨年のWWDC 2017で、おそらくDJスミロックさんと同い年で最高齢参加者である若宮正子さんを基調講演の冒頭で紹介しました。

 多様性や世代間格差の問題に対処している姿勢を示す上で象徴的な存在としてシリコンバレー企業が頼っている側面はありますが、日本の80代の活躍は「バイタリティあふれる年長者が活躍している日本」というイメージを強めているようにも感じました。

 では、日本の国内では実際はどうでしょうか。テクノロジーがよりポジティブに、長い人生をサポートする存在として評価・昇華されていくには、もう少し時間がかかるようにも思います。


筆者紹介――松村太郎

 1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。米国カリフォルニア州バークレーに拠点を移し、モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。

公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura

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