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ベストセラー「職場の問題地図」の沢渡あまね氏、サイボウズ伊佐政隆氏と語る

働き方を変えたければ、やり方とプラットフォームを変えよう

2018年02月09日 10時30分更新

文● 大谷イビサ/Team Leaders 写真●曽根田元

提供: サイボウズ

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ITに自信がない人でもkintoneの世界観を体験できる

大谷:実際、kintoneって、どんな感じで相談が持ちかけられるんでしょうか?

伊佐:kintoneの入り口は圧倒的にExcelです。社内にシステムはあるんですが、しっかりしすぎて現場のために融通が利かない。お金も、期間もかかるから、Excelでがんばってきたけど、そろそろ限界というところがほとんどです。

大谷:なるほど。業務課題は明確で、それに対してExcelを使ったシステムでなんとかしてきたというわけですね。

よく考えてみたら、サイボウズ Officeも最初に導入したのって、グループウェア未体験の中小企業よりかは、製品のインパクトを理解していたエンタープライズの部門なんですよね。そういう意味では現場部門のIT導入って、真新しいわけではないんですよね。

沢渡:情シスの役割の変化も大きいと思います。特に大企業での情シスの役割は、基本的にITガバナンス、セキュリティ、全社共通基盤の運用。現場の情報共有は基本的に現場でやってくれという流れです。私が所属していたグローバル製薬会社も今はそうなっていますし、調査会社のレポート見ても予算はどんどん情シスから現場部門にシフトしています。

ITの予算はどんどん情シスから現場部門にシフトしています(沢渡)

こうなると部門単位でベンダーとやりとりしてITを導入・運用していかなければなりません。でも、現場はITの素人なので、ベンダーとやりとりしてもうまく行くはずがない。だから脱情シス、クラウド化の流れが強まる中で、一般ユーザーのITリテラシを高めていかないとまずい時代に突入しています。kintoneが評価されるべきポイントはまさにそこですね。

大谷:こうしたITリテラシの高くない人に対して、kintoneがどのようなアプローチをとっているかをぜひ伊佐さんに聞きたいです。いろいろな方策がありますが。

伊佐:方策は1つではないです。初めてkintoneに触る人に対してのチュートリアルはもちろん、kintoneの世界観を理解してもらうシミュレーションやコンセプト動画も用意していますね。ツールによる変化をビジュアルと体験(UX)で見せていくのが大事だなと思っています。いったん体験してしまえば、怖いこともないので。

沢渡:体験ってすごく重要です。人はなぜ脱属人化を進めたくないのか?変化に抵抗するのか? 単純です。先が見えなくて怖いからなんですよね。「この仕事がなくなったら、明日の自分はどうなるのか?」「仕事のやり方を変えたら、面倒くさくなるかも」みたいな先の見えない怖さが変化にする抵抗感に化ける。なので、改革を推進する人の役割は一歩先の明るい未来を見せることですと話しています。まさに先の世界を見せ、体験してもらうのはすごく大事ですね。

大谷:働き方改革の面倒なところで、理想が高すぎて、リアリティがないんですよね。だからいくらいい話を聞いても、聴衆は「サイボウズだからできるよね」とか、「グーグルだからできるよね」みたいな突き放しに入ってしまうんです。その点、kintoneシミュレータは半径5~10mの出来事なので、リアルだなと思いました。「仕事早く終わったから、30分早く帰れるかも」みたいな小さな幸せが見えるんです。

沢渡:成功体験が手に届くところに見えるのがいいですよね。

業務改善をスキルとして具現化していく

伊佐:シミュレーターやチュートリアルはまず使ってもらうところですが、次はスキルの見える化です。業務改善ってすばらしい仕事なんですが、必ず縁の下の力持ちになってしまって、根付いてしまうと、やる前を思い出せないんですよね。

大谷:せっかく30分早く帰れるようになったのに、なんで帰れなかったのか思い出せないということですね(笑)。

伊佐:瞬間的にはすごく感謝されるんだけど、あっという間に忘れられてしまう。こんな場面をよく見ているのですが、すごくもったいない。業務改善ってうまくいく会社と、いかない会社があるし、熱意やアイデアも重要なんですけど、最後はやっぱりスキルが必要。僕らはそれを資格として具体化していきます。

沢渡:「業務改善を通じて、こんな人材になれるよ」という成長イメージだと思うんですよね。業務改善って、ただですら忙しい目先の仕事を止めて、業務を整理し、抵抗勢力と向き合って、いい感じにおさめていくわけです。これってすごいスキルだし、それができる人はどこでも通用する人材になれる。

大事なのは、会社がこれを仕事として認めることです。トップが改善活動に光を当て、成功事例や活動を社内広報し、勉強会への参加を推奨したり、ツールにお金をかけることです。「働き方改革はやれ! でも、お金も、時間も与えないし、仕事としても認めない」なんて話だったら、会社にとってだけ都合がいい。

大谷:単なるやりがい搾取ですよね。でも、これから外部のコンサルティングとは別に、業務改善できる人が専門職として社内に居場所を得ていくと面白いです。

沢渡:そうすると、組織も、個人も成長するので、働き方改革がますます楽しくなりますよね。

カルタを囲みながら議論を重ねる3人

いまの日本人の働き方って、30~40年かかって培ってきたメンタリティじゃないですか。なので、一日二日で変わるわけない。そんなにすぐ変わったら気持ち悪いですよ(苦笑)。当然、1つのやり方が正しいわけではないので、それを理解した上で、覚悟を決めて走るしかないです。

伊佐:そうですね。誰にとっても、都合のよすぎることはないんで、しっかり向き合っていくという話です。

沢渡:でも、働き方改革というキーワードで「働き方をよくしていきましょう」という追い風が吹いているので、昔よりもいろいろ言いやすい環境は整ってきています。このムードを利用して、どうコミュニケーションを設計すればよいか、みんなで考えていきたいと思います。

大谷:これからも楽しい働き方改革のために、いろいろやっていきましょう。ありがとうございました!

(提供:サイボウズ)

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