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持ち帰り残業も多発、日本企業は「とりあえず残業時間短縮」から先の改革へ進めるか

「働き方改革」の実情、「ICTの取り組みはまだ10%程度」IDC調査

2018年01月19日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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「国内働き方改革ICT市場」分野別の予測データを発表

 12月に発表された国内働き方改革ICT市場全体の予測では、2016年の国内市場規模(支出額ベース)が1兆8210億円であり、これが年間平均成長率(CAGR)7.9%で推移して、2021年には2兆6622億円規模に達すると分析/予測していた。同期間におけるICT市場全体のCAGR(2.1%)と比較して、大きく伸びることが予測されていた。

 今回の発表は、同市場を構成するICT製品/サービスを「ハードウェア」「ソフトウェア」「ITサービス/ビジネスサービス」「通信サービス」の4分野に分類し、それぞれの規模および成長率を示したものとなる。

※注:なお、IDCが定義する「働き方改革ICT市場」とは、「時間と場所に柔軟性を持たせた働き方の実現」「労働生産性の向上」「ワークライフバランスの向上」「創造性の向上/ルーチンワークの削減」のいずれかに対応するために導入するICT製品/サービスの市場を指す。IDCが各製品/サービスで予測している市場規模から、該当するものだけを抽出して積み上げて算出している。

IDCによる2016~2021年の「働き方改革ICT市場」予測概要

 4分野の中で、最も市場規模が大きいのがハードウェア分野だ。ここには、社外に持ち出すことが許されているノートPCやスマートフォン/タブレットのほか、クライアント仮想化を実現するためのサーバーなどITインフラ製品、フリーアドレスやリモートオフィス向けに導入されるプリンターやモニターなどが含まれる。

 IDCの予測では、同市場ハードウェア分野の2016~2021年CAGRは3.7%で、2018年には1兆円を超え、2021年には1兆358億円規模に達する。ただし、ノートPC/タブレット/スマートフォン市場全体の成長鈍化に影響を受け、2019年をピークにマイナス成長へと転じる。

2016~2021年「働き方改革ICT市場」ハードウェア分野の予測

 ソフトウェア分野には、クライアント仮想化ソリューションのほか、セキュリティソフトウェア、CRM、SCM、ERM(エンタープライズリスクマネジメント)、オフィスプロダクティビティ製品(Web会議/ビジネスチャット、Eメール/スケジューラー、ファイル共有ソフトウェアなど)、RPA(ロボティクスプロセスオートメーション)製品などが含まれる。ただし「『働き方改革』に資するもの」という観点から、クライアント仮想化とRPAを除いてクラウド製品のみを抽出、合算している。

 IDCでは、このソフトウェア分野はCAGR19.8%で推移し、2018年に5000億円を突破、2021年の市場規模は7030億円になると予測している。なお、同分野で最も大きな部分を占めるのはクライアント仮想化ソリューションである。

2016~2021年「働き方改革ICT市場」ソフトウェアの予測

 市場規模は小さいものの、最も高い成長率が予測されているのがITサービス/ビジネスサービス分野だ。ここには、上述したクライアント仮想化など、「働き方改革」を目的としたITシステムの企画/構築/運用管理/サポート、ITコンサルティング、BPOなどが含まれる。

 予測では、ITサービス/ビジネスサービス分野はCAGR19.8%で推移し、2021年には5333億円規模に達する。市川氏は今後、「働き方改革」関連のITシステム導入案件が、数、規模ともに拡大していくことを予測していると述べた。

 また、法人向けモバイルデータ通信サービスを指す通信サービス分野は、CAGR2.6%とほぼ横ばいで推移し、2021年の市場規模は3900億円。

 こうした調査予測結果についてIDCでは、すでにビジネスモビリティを実現するための基本的なハードウェア環境(ノートPCやタブレットなど)は整っているものの、ハードウェアを最大限活用するためのソフトウェアの導入、システムの構築や統合、運用管理にまつわるITサービス/ビジネスサポートの活用については、まだ「発展途上」の段階にあると指摘している。

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