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松村太郎の「西海岸から見る"it"トレンド」 第195回

“インスタ映え”の時代でも、あえてTwitterの周辺で起きる出来事に注目したい

2018年01月13日 10時00分更新

文● 松村太郎(@taromatsumura) 編集● ASCII編集部

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“インスタ映え”という言葉とともに、日本でも一般に広く浸透したInstagramですが、筆者が2018年にあえて注目していきたいのがTwitterです

 クリスマスから正月を東京で過ごし、先程サンフランシスコに戻って原稿を書いています。東京に滞在していた年末年始はとても寒かったです。筆者が住んでいるカリフォルニア州バークレーでは、なかなか摂氏でマイナスになることは少なく、東京から比べれば5~10度は気温が高い、そんな気候です。まあ、暖かいわけではありませんが。

 そんなバークレーに戻ってきて、今回はリカバリーにも時間がかかる時差ボケを解消しながら、2018年のスロースタートを切っていくことになりました。

 バークレーから東京に戻ると、美味しいものにあふれていて、しかもどれもとても安く感じられます。たとえば、刺身用の魚がスーパーで1人前が498円あたりで売られていると、驚きしかありません。5ドル以下で新鮮な刺身なんて食べられませんので。

 また、別に2017年末に始まったことではないと思いますが、滞在していた駅の近くにある牛丼屋は、400円弱の牛丼に「無添加」のマークが付いていました。カリフォルニアは食への意識が高い地域で、「Organic」「No GMO」「No MSG」、つまり有機食材や遺伝子組み換えでない食材、人口調味料不使用の食材を選ぶことができますが、それなりに割増料金を払わなければなりません。

 しかし、日本の牛丼チェーンは選択肢として無添加のメニューを用意しているのではなく、それをスタンダードにして成立させているわけで、日本の方がより安全な食への意識が向けられ、価値として理解され、普及していることがよく伝わってきます。

日本ではひたすら聞いた「インスタ映え」という言葉

 東京に帰ると、なるべくテレビをたくさん見るようにしています。もともとテレビ好きなのですが、アメリカでは満足に視聴できない環境であることから、その反動というべきでしょうか。バラエティーからドラマ、お笑い、ドキュメンタリーと、この年末年始も色々と楽しみました。

 その中で、妙に頻繁に耳にしたのが“インスタ映え”というキーワードです。情報バラエティーではこのフレーズが意識されていましたし、お笑いのネタにも組み込まれていました。大御所のお笑い芸人さんがInstagramを始めてみることがコンテンツになっているというのは、あまりアメリカでは見ない光景でした。

 アメリカだとSNSでのアピールは存在証明のようになっていて、そのなかでもInstagramは最も重要視すべきアプリとなっていることから、Instagramを今から始めることが企画になるという様子を見かけることを珍しく感じたというわけです。

 Instagramは写真をクールに見せびらかすことができるiPhoneアプリとしてスタートし、Facebook買収後にメキメキと成長が加速しました。写真を投稿するだけでなく、ビデオに対応したり、24時間で消えてしまうストーリーズによってアプリを開く頻度を高め、コミュニケーションツールとしての側面を備えるようになりました。

 今のところ、日本の“インスタ映え”は、通常の写真投稿に偏っていて、ストーリーズの使いこなしまでは扱いきれていない印象です。確かにビシッと構えてとびきりの1枚を投稿するのと違い、ライブ感、経験の追体験、デコレーション、ストーリー性など、とても高度なコンテンツを、24時間途切れないように載せ続けなければ成立しないわけです。

 ストーリーズは、そもそもSnapchatに対抗して導入した機能ですが、Instagramにとっては、ある強力な目的を果たしてくれることになりそうです。

逃げ場を作ったInstagram

 日本では2017年にヒットしたドラマを年末年始で再放送をしていたので小見出しに使ってしまいましたが、SNS業界ではまさにユーザーが逃げまくり、サービスは逃げ場を作り続けている、といった印象を覚えます。

 SNSにはサービスそれぞれの特徴が備わっていますが、利用する人が増え、その属性が多様化するに連れて、その意味合いが変化し続けます。特に世代間でのせめぎ合いは強く、たとえば若者にリーチしようとすればFacebookからInstagramに移り、SnapchatやMessengerへと次々に最も有効なアプリは変遷していきます。

 もちろんユーザーの年齢も上がっていき、ライフステージの変化なども存在します。ただし、若い人は特に親世代がそのサービスに流入してくると、他のサービスへと主戦場を変えていく動きがありました。

 その点で言えば、Instagramが日本でもこれだけマスメディアに取り上げられ、幅広い年齢層の人たちが流入してくることによって、若い人たちにとっての“イケてる”サービスではなくなっていく可能性があります。

 しかしInstagramには、ストーリーズがあります。同じアプリでありながら、ただ写真を投稿するのとは異質な場。友人の最新のストーリーズをチェックするには、15分に1度はInstagramアプリを開きたくなります。友人のストーリーズを真っ先にチェックすることで、パブリックな既読マークをより早くつけ、これが関係性の深さのアピールにもつながります。

 投稿と閲覧が高度にひも付き、しかも24時間という時限だけでなく、いかに早く見たかまでがコミュニケーションに含まれるストーリーズは、Instagramにとって、インスタ離れを食い止める手段になっていることでしょう。

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