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RSA暗号でも楕円曲線暗号でも瞬時に解きかねない量子コンピューターの普及に向け

NICT、量子コンピューターでも解読が難しい新暗号「LOTUS」

2018年01月12日 16時30分更新

文● 行正和義 編集●ASCII

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公開鍵暗号の変遷

 国立研究開発法人 情報通信研究機構(NICT)は1月11日、量子コンピュータでも解読が困難な格子理論に基づく新暗号方式「LOTUS(ロータス)」を開発。国際標準化に提案したと発表した。

 インターネットを利用する際の通信秘匿性としては、「RSA暗号」や「楕円曲線暗号」などが用いられているが、これらの公開鍵暗号方式は性能の高い量子コンピューターを用いれば簡単に解読できることが数学的に証明されている。最近になって量子コンピューターの商用販売やクラウドでの利用といった普及が進み、現行の公開鍵暗号は安全でなくなりつつある。

格子暗号の概要

 新暗号方式LOTUSは、強力な暗号方式である「格子暗号」を採用。空間内に並んだ点の集合の性質を行列で表現する数学的な暗号方式で、量子コンピューターでも解読が難しいとされる。また、解読が難しいだけでは実装しにくいため、復号の際には暗号文が破損していないことチェックする機構を追加して汎用性を付与。

 NICTでは、暗号の強度と汎用性を確認して新暗号方式として国際標準化として提案、米国の国立標準化機関であるNISTが標準化を進めている耐量子計算機暗号のひとつとなった。4月12日・13日に米フロリダで開催される会議First PQC Standardization Conferenceにおいて発表。専門家による詳細な解析・評価ののちに普及に向けた活動が行なわれる。

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