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スバルが冬季限定イベント「ゲレンデタクシー」を続ける理由

2018年01月11日 06時00分更新

文● 雪岡直樹(ダイヤモンド・オンライン

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スバルが2014年から冬季限定で実施しているイベントがある。「スバルゲレンデタクシー」がそれだ。スキー場のゲレンデを仕切り、クルマが走れるように整備して、リフトの代わりにゲレンデ上部までスキーヤーやスノーボーダーを送り届けるというものだが、このようなイベントを行い続けるスバルの狙いとは何か。(取材/写真/文 ライター・フォトグラファー 雪岡直樹)

カタログでは分からない楽しさ
「スバルゲレンデタクシー」

 カタログでは分からない楽しさがある「スバルゲレンデタクシー」――。

 クルマを買おうとするときに、まず目を通すのがメーカーのホームページであったりカタログだろう。そこにはさまざまなイメージを湧かせる文言と綺麗な写真が並ぶ。そして後半の機能の説明や諸元情報のところで、車体寸法や燃費などを見るのが一般的だと思う。

 その次は、いざ実車を見てシートの作りであったり、使い勝手であったりを考える。試乗が許されれば一般的な市街地を試乗してくる。街中だけでの使い方を考えれば、それでいいのかもしれないが、ちょっとアクティブにキャンプやアウトドアスポーツに使うには、実際荷物がどのくらい積めるのか、悪路での走行性能はどうなのかが未知数のままだ。

 特に雪道での走行性能などを試したくも降雪地域以外ではそうそう試せない。ましてやアグレッシブに走るなどもってのほかだ。

 しかし、スバルが冬の期間に毎年行っており、今シーズンで5年目を迎える「ゲレンデタクシー」では、助手席と後席でアグレッシブに走るSUVの性能と機能を思う存分体験できる。

「ゲレンデタクシー」とは、2014年から開催されているイベントで、スキー場のゲレンデを仕切り、クルマが走れるように整備して、リフトの代わりにゲレンデ上部までスキーヤーやスノーボーダーを送り届けるというイベントだ。

 受付で誓約書にサインし、展示車などの前で写真撮影を行い、「#ゲレンデタクシー」のハッシュタグを付けてSNSにアップすれば、誰でも無料で乗れる。使用されるのは、今年新型になった「XV」、アウトドアには頼もしい「フォレスター」、都会派にも使いやすい「レガシィ・アウトバック」の3車種だ。どれも派手なラッピングを施し、ルーフには「TAXI」の行灯とキャリアを装備している。

 ゲレンデサイドを結構なスピードで走行し、パワフルな走りを体験できるだけでなく、下りも乗車可能となっており、そこではドリフトなどのパフォーマンスが行われたり、「X-MODE」と呼ばれる4輪のトルク配分とブレーキ制御を適正化し、1輪が空転するような状況でも適切に走れる機能や、「ヒルディセントコントロール」が作動し、一定の速度を維持しながら確実に下ることができる機能の説明などもしてくれるのが特徴的だ。

 X-MODEのような雪道や泥道で有効な機能は日常では使うことはなく、いくらカタログなどを読んでも理解しにくい部分だが、このような路面で実際に体験してみることで、その優位性を理解できるのもこのイベントの特徴的なところだろう。

イベントのキモは
「スバルでしかできないイベント」

 今シーズンは北海道札幌市のサッポロテイネスキー場を皮切りに、ゲレンデタクシーのイベントがスタート。実際に乗車した人からは「こんな動きをしても平気なんですね、びっくりです」「雪道の走破性がすごくて驚きました」「次に買い換えるならスバルもいいなと思えました」などの感想が聞けた。

 クルマをドライブするのは皆プロドライバーなのだが、世界ラリー選手権や、全日本ラリー選手権で活躍するトップドライバーの新井敏弘選手が操るゲレンデタクシーも走る。新井選手のパフォーマンスを体感できた人はラッキーだっただろう。世界で活躍するトップドライバーと身近に話ができるのもいいところだ。

 イベント終了時には、安全確保が確認されたゲレンデを封鎖し、新井選手が操るWRX STIによるドリフトパフォーマンスも行われた。走るために整備された訳ではないゲレンデを疾走し、観客の前で派手に雪煙をあげながらドリフトする姿はラリーでも見られない風景だ。これも一見の価値のあるパフォーマンスだろう。

 このイベントのキモは、「スバルでしかできないイベント」ということ。スバル車に搭載されているAWD性能を体感してもらい、スバル車だからこそ、このパフォーマンスが行えるのだ。

 スポーツ性能とSUV性能を併せ持つクルマはそう多くない。クルマの性能に興味を持たないユーザーや、移動の手段としかクルマを見ていないユーザーに、スバル車の性能を示すには格好のイベントといえる。

 従来からスバル車に乗るコアなスバルファンならば、AWDの性能などは知っているだろうが、そうではない一般のユーザーに向けて、「AWDはいいですよ!」とカタログやCMで訴えても伝わりにくい。しかしこのようなイベントを行うことで、AWDの性能の良さを訴えることができる。

 それだけでもイベント行う価値はあるが、さらにはスキー場という場所に来る人とスバルがターゲットとする顧客層も合致する。アクティブに活動し様々なフィールドに遊びに行く。そのためにはアイサイトを代表とする安全性能と、アクティブに使える走行性能は必要不可欠なものだろう。

 開催初年度からスタッドレスタイヤを提供しているミシュランや、同じく初年度からキャリアを提供しているTHULEも、このイベントに自社の商品を提供することで、それぞれの会社イメージアップ、商品の良さを直接ユーザーに訴求できるのが好都合だという。

 実際、商品を購入しました!という連絡が来ると、このイベントに提供していて良かったと感じるのだという。スバルとの親和性の高さ、三者の顧客層が合致しているところも、長年パートナーシップを組んでいられることに繋がっているに違いない。

 またスバルオンラインショップもブース展開しており、アウトドアウェアのMarmotとコラボレーションしたスキーウエアや、メイドインジャパンにこだわるスキー板のVECTOR GLIDE(ヴェクターグライド)とコラボレーションしたスキー板も展示した。これらは来年3月からの発売をめどにしているという。

今シーズンは5周年
過去最大の4会場で開催される

 これらの商品群は、クルマには興味がなくてもアウトドアは好きというユーザーに対してのアピールを行っており、これらも新たなスバルのブランドイメージに繋がりそうだ。

 今シーズンは5周年ということもあり、過去最大の4会場で開催される、すでに北海道での開催は終了し、今後は1月20~21日に岩手県の安比高原スキー場、2月3~4日に長野県の栂池高原スキー場、ラストに2月17~18日に新潟県の苗場スキー場で開催される。中でも苗場スキー場では、「SUBARU SNOW FES」と銘打った大々的なイベントが行われる予定となっている。

 苗場のイベント内容はまだ公表されていないので、何が行われるのか非常に楽しみではあるが、このような名前が通った大きなスキー場で行われるイベントは必然的に注目を浴びる。ここでコアなスバルファンだけでなく、一般ユーザーにどれだけスバルのAWDの頼もしさと、アクティビティの高さをアピールできるか。

 シンメトリカルAWDはいいですよ!とカタログやイメージビデオ、CMなどで伝えても、実際に乗車しその動きを体感してみないと、その良さは理解されない部分も多い。どのメーカーも実際に乗ってみてもらいたいところだが、そうそう大きなイベントなどできないし、ましてや天候が崩れてしまえば一切開催できなくなるこのようなイベントは、どのメーカーも躊躇してしまいがち。

 それでも開催し続けるスバルは、新たなブランドイメージの構築をしたいのだろう。コアなスバルファンをないがしろにするわけでもなく、コアなファンでも本当の性能を感じてほしい、また新たなユーザーには、「スバルはこういう事もできますよ。ユーザーのアクティビティがアップするかもしれません。その助けをスバルを使う事によってできるかもしれません」というアピールを行いたいところなのだろう。

 不適切な事案が続いた後だからこそ、しっかりとした信頼を取り戻すためにも、このような実際に体験できるイベントを継続していき、ファンの獲得を続けてほしいところだ。


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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