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三菱UFJが巨額買収でインドネシア進出、3メガ銀の競争はアジアへ

2017年12月29日 06時00分更新

文● 週刊ダイヤモンド編集部(ダイヤモンド・オンライン

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インドネシア大手銀行の買収計画を示した三菱東京UFJ銀行。同行は、今回の買収をアジアのネットワーク構築の集大成と位置付けている Photo by Takahisa Suzuki

 総額7000億円——。12月26日、3メガバンクの一角である三菱東京UFJ銀行が、邦銀最大規模となる海外銀行の買収計画を打ち出した。

 買収先はインドネシアのダナモン銀行。銀行業界において時価総額で同国第5位を誇る商業銀行で、大企業や中小企業の融資に加え、自動車ローンも得意とする。

 三菱東京UFJは、今回の買収によって出資分の利益を連結決算に取り込みながら、地場企業との関係強化も戦略の柱に据える。

 すでに買収計画は動き始めている。第一段階として、ダナモン銀行の現親会社であるシンガポールの政府系投資ファンド、テマセク・ホールディングスから、2017年内に19.9%の株式を取得。その後、段階的に出資比率を高め、第二段階として来年9月までに40%に引き上げる計画だ。

 さらに、早急に第三段階として出資比率を73.8%以上に持っていき、連結子会社化する考えを示している。これら一連の株式取得にかかる総額が、実に7000億円規模となる見込みだ。

 もっとも、インドネシアは外資による出資の上限を最大40%に設定しているため、参入障壁は決して低くはない。そのため、第二・第三段階の株式取得は、インドネシアの関係当局の許認可が必要となるが、「当局とも相当な頻度で交渉を進めており、関係は良好だ」と、川野博史・同行国際企画部事業戦略グループ次長は、計画の隙のなさを強調する。

メガで差が開く海外事業

「もはや伝統的な銀行のビジネスモデルは持続可能ではない」

 三菱東京UFJの親会社である三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)の平野信行社長は、公の場で幾度となくこの言葉を繰り返してきた。背景には、日本銀行の金融緩和に起因する低金利環境などにより、銀行の本業である利息による収益が低迷しているという事情がある。

 こうした構造不況は3メガバンクに共通しており、それぞれが新たな柱の一つとして活路を見出しているのが海外事業だ。

 だが、海外事業の収益への貢献度は、3メガで大きな開きがある。各行の統合報告書によると、17年3月期の銀行連結決算において、三菱東京UFJは業務純益(一般企業における営業利益)の46%を海外事業が占める一方で、みずほ銀行が28%、三井住友銀行は22%でしかない。

 各行ともアジアや欧米を中心に海外展開に注力しているのは同じだ。だが、三菱東京UFJはベトナム、タイ、フィリピンの銀行へ次々と大型出資や買収を仕掛けており、中でも13年に買収したタイのアユタヤ銀行からの利益が業務純益全体の14%を占めるなど、他の2メガを大きくリードしている。

 かたや三井住友も負けじと、13年にインドネシアの年金貯蓄銀行BTPNに40%出資するなど攻勢を見せる。だが、「アジアのネットワーク構築の集大成」(川野氏)と位置づけている今回の買収が実現すれば、16年度決算で年間1億9700万ドルの純利益を生み出した銀行が三菱東京UFJの傘下に入ることとなる。

 ASEAN最大の経済圏であるインドネシアの“攻略”が完了すると、他の2メガがアジアでの勢力図を塗り替えるのは、一段と難しくなるだろう。

(週刊ダイヤモンド編集部・田上貴大)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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