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「お騒がせ企業」レンタルのゲオで労働組合が結成されていた

2017年12月28日 06時00分更新

文● 週刊ダイヤモンド編集部(ダイヤモンド・オンライン

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photo:DW

レンタルビデオショップなどを運営するゲオホールディングスで、新たに労働組合が結成されていたことが分かった。労働組合は今後、団体交渉を行い、現場に疲弊をきたす施策や人事評価制度などの改善を要求していくという。(「週刊ダイヤモンド」編集部 山本 輝)

 2017年12月初旬、茨城県のある会議室には、各地から集まったゲオの社員の姿があった。「ここからが、本当のスタートだ」。約2年の準備期間を経て、ようやくこの日、労働組合であるゲオユニオンが結成された。

 ゲオは1986年、創業者の遠藤結城氏が愛知県で開業したビデオレンタル店が始まりだ。その後に業容を拡大し、足元ではレンタル事業の不振が続くが、衣料系のリユース事業やゲーム関連のヒット作などが好調。今期は2850億円の売上高を見込むなど、業績は悪くない。

 だが、ここ数年、創業家出身で現社長の遠藤結蔵氏と、元会長の沢田喜代則氏ら前経営陣との内紛や不祥事が度々メディアでも取り沙汰されてきた。世間では“お騒がせ企業”として知られて久しい。

 そうした経営陣のいざこざを冷ややかに見る社員は多い。「権力争いに終始し、現場の実態を知らない社長が、周囲の幹部の言うことをうのみにする。だから、一貫性のない施策が出てくる」(ゲオ関係者)。39歳の若社長の手腕に疑問を投げかける社員は多い。

 組合が今後要求していく項目はいくつかあるが、柱の一つが、現場に混乱を招く施策の是正だ。

 その代表例が、ゲオがエイベックス・デジタルと共同で2016年2月からサービスを開始した定額動画配信サービスの「ゲオチャンネル」だ。競争激しい動画配信事業だが、全国で1000店舗を超えるゲオの店舗網を生かしたサービスの提供や会員獲得などで、競合との差別化を図ると当初は意気込んでいた。

 ゲオチャンネルの会員獲得のために、ゲオは店頭での会員獲得数をノルマとして課した。店舗ごとの成績を公表して競わせるなど、過激なノルマが引き金となって、現場は大混乱に陥った。

 人手が少ない中、ゲオチャンネルの説明のために長時間を割くことで、ほかの業務にしわ寄せが及んだ。時には店舗にいる客を捕まえて勧誘を行うなど、過激な行為もあったという。「会社は、ゲオチャンネルの会員獲得のための活動を『サジェスト(提案)』と表現するが、店舗への指導の実態は“セールス”に近い。これではお客様にとっても快いはずがない」(前出関係者)

 ゲオチャンネルは、サービス開始からわずか1年半の17年6月にサービスを終了した。共同事業を展開していたエイベックス・デジタルは、ゲオチャンネル関連で約20億円の損失を計上した。唐突な施策に従業員が振り回された格好だ。

「現場の混乱を招く施策だけでなく、人事評価制度なども不透明で、モチベーションが維持できない社員は多い。組合を通して、少しでも会社の状況を良くしていきたい」と、ゲオユニオンの渡辺直樹執行委員長は言う。

 ゲオユニオンによれば、現在の組合員数は200人強(パート・アルバイト含む)。グループ全体で正社員の従業員が4000人程度いる中、今後はいかに規模を拡大していくかが焦点になる。

 この件に関して、ゲオホールディングスは本誌の取材に対し「組合の存在は把握している。今後、協議の場を設けることを積極的に検討していく。個別の要求に関しては、現時点ではコメントを差し控える」と語った。

 経営陣の“内乱騒動”で、何かとガバナンス不全が指摘されるゲオ。ついに声を上げた従業員の言葉に、経営陣は真摯に耳を向ける必要がある。


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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