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電子国家計画の中枢機能

エストニアの電子通貨「エストコイン」構想を担当大臣が明かす

2017年12月26日 19時45分更新

文● 天野透/ASCII

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デジタル国家「e-レジデンシー」

 バルト三国のエストニアはスカイプ発祥国として知られるなど、国家政策として情報技術の開発を掲げて公的サービスの電子化を進めてきた。エストニア政府は、外国人にネット上でエストニア国民に準ずる行政サービスを提供する電子住居権「e-レジデンシー(e-Residency)」なども提唱している。技術開発を推めた結果、エストニアでは130万人の国民をはるかに超える“ユーザー”の行政処理能力を持つようになり、世界初の「データ大使館」計画も検討中だという。

 そんな電子化の取組の一環に「エストコイン(Estcoins)」と呼ばれる電子通貨計画がある。これは言うなれば、エストニア政府が電子通貨を発行するというもの。近年注目が集まる“ICO(イニシャル・コイン・オファリング)” と呼ばれる資金調達方法だ。

 エストコイン計画に対して、エストニア政府のカスパー・コージュス電子化担当相がブログでビジョンを明らかにした。

 エストコインのポイントは3つ。コミュニティーの形成と活性化、デジタル取引の安全性向上、ユーロにひも付けされた電子通貨ということ。

 1点目のコミュニティーについて、エストニア政府は居住地に縛られない「デジタル国家」構想を掲げており、その中核にエストコインを流通させようとしている。現在の計画では、エストコインはe-レジデンシープラットフォーム上で売買が可能で、利用促進のため、導入企業には報酬制度などを予定しているという。

 e-レジデンシーに登録すると、エストニア国民でなくともエストニアで起業できる権利が与えられる。その中核通貨となるエストコインは、企業誘致の意味合いも込められている。

 2つ目のデジタル取引の安全性向上について、政府発行という事実とブロックチェーンを基盤とする事を2本柱に、活用の幅を広げるという。仮想通貨ビットコインの中核でもあるブロックチェーン技術をエストニア政府が管理することで、流通市場に偽造を許さない秩序を与えている。

 エストニア政府が国債の代わりにエストコインを発行するICO活動では、信頼性向上のためにe-レジデンシーを使用するよう投資家や起業家に促す計画も。エストコインで調達された資金は官民パートナーシップ(PPP)が管理し、e-レジデンシーの開発やメンテナンスなどに充てられるほか、人工知能開発などの技術的公共部門に投資されるという。

 コージュス氏によると、エストニア政府はエストコインプログラムを構築するため、世界中から人材を集めているという。管理のためのより高度な専門家を招くことも計画中としている。

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