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“ギガが減る”時代の必須インフラ、「つながる」ではなく「使える」を目指すこだわり

バス車内にも広がるフリーWi-Fi、その裏側をWi2とラッカスに聞いた

2017年12月20日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 全国最大規模のエリアをカバーする公衆無線LANサービス「Wi2 300」のほか、「TRAVEL JAPAN Wi-Fi」アプリを通じて訪日外国人旅行客へのフリーWi-Fiサービスを提供するワイヤ・アンド・ワイヤレス。昨年から今年にかけて、空港リムジンバスや高速バスなどの車内におけるフリーWi-Fiの提供も急拡大させている。

バス会社が乗客向けの無料サービスとして提供するフリーWi-Fi。その多くをWi2が提供している(画像はラッカスのプレスリリースより、バス各社のサイン例)

 そして、そのフリーWi-Fiを提供する機材には、ラッカスワイヤレスの無線LANアクセスポイント(AP)が数多く採用されているという。今回はワイヤ・アンド・ワイヤレスとラッカスワイヤレスに、バス車内におけるフリーWi-Fi提供のいきさつや技術的な裏側、日本における今後のフリーWi-Fi市場の見通しなどを聞いた。(インタビュー実施日:2017年11月22日)

ワイヤ・アンド・ワイヤレス 営業本部 本部長の辻徳康氏ラッカス ワイヤレス 事業開発部 テクニカルディレクターの小宮博美氏

訪日旅行客の増加をきっかけに、バス車内でのフリーWi-Fi提供が急増

――まず、ワイヤ・アンド・ワイヤレス(以下、Wi2)ではいつごろから、バス乗客向けのWi-Fiサービスを提供されているのでしょうか。

Wi2 辻氏:バス車内でのWi-Fiサービスを提供し始めたのは2009年です。最初は、当社の公衆無線LANサービス「Wi2 300」をバス車内で提供するところから始まりました。

 フリーWi-Fiの提供は2年前(2015年)の、神戸市の観光向け循環バス「シティ・ループ」からです。訪日観光客向けに神戸市街のフリーWi-Fiを整備する委託事業の一環として、観光施設や案内所だけでなく、移動中のバス車内でもWi-Fiを使えるようにしようというものでした。この年は、仙台市や鹿児島市などの観光ループバスでも同じようにフリーWi-Fi提供を始めました。

――やはりインバウンド観光客の増加がきっかけだったのですね。その動きは今年になってさらに活発化しているようですが。

Wi2 辻氏:そうです。昨年あたりから民間バス会社でのご採用も増え、現在(11月22日時点)ではおよそ45のバス会社、1000台以上のバス車輌で、Wi2がフリーWi-Fiをご提供しています。さらに12月からは、東京空港交通のリムジンバス401台でも提供を開始します。

Wi2のプレスリリース一覧より。2017年前半からバス会社へのフリーWi-Fi提供の発表が急増している
12月からは東京空港交通のリムジンバス全車輌でのフリーWi-Fi提供もスタートした

 バス車内でのフリーWi-Fi提供では、Wi2のシェアは高いですね。そして搭載バスのおよそ9割に、ラッカスさんのAPが入っています。

――なぜラッカスのAPを選択したのでしょうか。

Wi2 辻氏:いちばんの理由はこれまでの実績です。Wi2はKDDIグループの一員であり、「au Wi-Fi SPOT」などの公衆無線LANサービスで、ラッカスのAPを大量に導入してきました。もちろん導入前に検証もしましたが、電波品質の高さや故障率の低さ、運用のしやすさといった実績があったので、ほぼ迷うことなくラッカスを選びました。

――具体的に、バスの車内にはどのような機材が載っているのですか。

Wi2 辻氏:運転席のそばに、このようなボックスが取り付けられています(下写真参照)。ここに、LTE対応のモバイルルーターのようなものと無線LANのAPが入っており、バス車体の電源ケーブルをつなぐだけで動作します。バスによってはDC電源しか取れない場合もありますから、コンバーターも内蔵しています。

バス車内にはLTEルーターや無線LAN APを内蔵したボックスが取り付けられる(写真はモックアップ)

ラッカス 小宮氏:内蔵しているAPはエンタープライズ向けの市販製品そのもので、11ac Wave 1(導入時期によっては11n)のモデルです。車内はそれほど広くありませんし、ラッカス独自技術の「BeamFlex」で端末との“つながる力”が強いですから、特別なAPは必要ありませんでした。

 ただし「耐久性」には注意しました。車内なので防水性能は必要ありませんが、走行中の振動によって故障が起きるおそれがあるのです。ここにもラッカスの優位性があります。ラッカスが自社開発しているアンテナは基板と一体に(基板上のパターンに)なっており、基板にアンテナを外付けしている他社製品よりも振動に強いのです。エンタープライズ向け製品なのですが、実は鉄道向けのENシリーズ(鉄道搭載機器の国際技術規格)のテストプロシージャも通しており、バスの環境でもそのまま使えました。

――「振動に強い」というのは意外なメリットですね。ちなみにラッカスでは、これまでバスへの導入実績はあったのでしょうか。

ラッカス 小宮氏:海外事例も含め少し調べてみたのですが、鉄道やヨット、軍艦といった乗り物へのAP導入事例はあるものの、バス車内という事例は見つかりませんでした。もしかしたらWi2さんと一緒に、ラッカスとして世界で初めてのチャレンジをやっていることになるのかもしれません。

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